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あの子のように綺麗だったら、私は今より幸せだった?


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記事:筒井 美桜(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
「ねぇ、せっかくみんなで集まったんだし、一緒に写真撮ろう!」
そう言うとすかさずスマホをかざし、私の顔のすぐ横に美しい顔を寄せてくる友人たち。
私はそんな友人たちを横目に見ながら、「この子たちのように綺麗だったら、私はもっと自分に自信が持てたのかな」と、そんなことをひっそりと考えていた。
 
 
それは楽しみにしていた友人たちとのおでかけの日のことだった。
数日前からコーディネートを考えて、新しい洋服を買いに行き、気合いを入れて一軍コスメでメイクして。「我ながら自分史上最高にかわいい!」とセルフィーまで撮ったのに、待ち合わせ場所に向かう道中で見かけた綺麗な人たちや待ち合わせ場所にたたずむ美しい友人たちを目にした途端、それまでの自信はどこへやら。彼女たちと自分とを比べて、ふいに落ち込んでしまったのだ。
 
「人は見た目より中身が大切」。そんなことは私も百も承知だ。実際、顔や体型、肌や目の色などの外見の美しさとは関係なく、内面の美しさが内側から滲み出ている人はたくさんいるし、私もそんな人たちを魅力的だと思う。
 
それでも自分のこととなると話は別なのだから難しい。もし私もあの子のように整った顔立ちだったら、モデルのようにスラっとした手足だったら……と、考えるだけで心底うらやましくなる。それに私が彼女たちのように美しかったら、こうして見た目に悩むことも、誰かをうらやむこともなかったのではないかと思うと、なんともやり切れない気持ちになるのだ。
 
 
思い返せば、私は長いこと誰かが決めた“美の基準”に縛られ続けてきた。
 
「こんな足じゃミニスカートなんてはけないよ。正直、よっぽどの美脚じゃない限り、周りの人も見たくないだろうし、太い足を見せるのは迷惑だよね」
 
これは高校生の時に友人がふともらした一言だが、こうした発言をしていたのは彼女だけではなかった。実際、当時の私も着たい服があっても私が着たら見苦しいと思われるんじゃないかと思い、諦めてしまうなんてことがよくあった。大人になった今は、美醜だけで人の価値を推し量ることはできないということを重々理解しているが、当時の私たちにとっては美醜こそ最も分かりやすい“ものさし”だったのだ。
 
しかも、その“美の基準”は当時の私たちが夢中で観ていたドラマや映画、ファッション誌の中の人たちだったから、目がパッチリ二重の細身のかわいい女の子が「美しい」とされ、その特徴に当てはまる人がもてはやされた。そうした“美の基準”が明確かつ単一だったから、そこから外れたパーツはあっという間にコンプレックスに早変わりした。今にして思えばそうしたコンプレックスこそがその人の個性であり魅力なのだが、当時は自分の奥二重や太い足が嫌で嫌でたまらなかった。
 
 
最近では、ドラマや映画、雑誌の世界でも、当時よりはさまざまな見た目の人が増えてきたため、昔より“美の基準”も多様化しているように感じる。よく美の象徴と称されるK-POPアイドルの中にも目が一重で人気の人がたくさんいるし、「プラスサイズモデル」と呼ばれるふくよかなサイズのモデルも珍しくなくなった。そうした変化に伴い、ルッキズム(外見を重視する考え方)をやめようなんて声もよく見聞きするようになり、ちょっとずつだが「ありのままの自分を愛そう」という風潮が生まれているようにも思う。
 
だが、世の中的に「どんな自分でも愛そう!」という考えが主流になったとしても、自分の好きじゃない部分を無理矢理好きになるのはそう簡単じゃないところが、また難しい。長年指針にしてきた“美の基準”はそう簡単に払拭できないものだから。それに、コンプレックスは誰かと比べた時に生じることが多い気がする。だから、自分に自信を持つのはすぐには難しいかもしれないけれど、「自分が好きなんだからいいんだ」「“好き”を誰かと比較する必要はない」と割り切って、自分を許容してあげることが大事なのかもしれない。
 
あとは、自分の“美の基準”を相手に押し付けないようにしたいものだ。「太い足を人目に晒す=見苦しい」という言葉が私を長らく縛り続けていたように、私が意図せずにはいた言葉で誰かの生き方を制限するようなことは決してあってはいけないから。
 
正直、私はまだまだルッキズムから抜け出せそうにはない。だけど、私は私としてしか生きられないのならば、とりあえずは心が感じた「好き」に正直に私という人間を楽しんでいきたいものだ。
 
 
 
 
***
 
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2023-01-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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