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自己肯定感が低い私が鏡を見て笑顔になる理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:南雲小夜花(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
「鏡よ鏡よ、鏡さん♪ この世で一番美しいのはだーれ?」
 
白雪姫の継母が唱える、有名なこのフレーズ。白雪姫をお城から追い出し、小人とのワイルドな生活の後に毒リンゴまで食べるはめになったきっかけの一言だ。
 
この一言を、私はずっと理解できなかった。
 
幼心に気付いたのだが、継母は純粋に「美しい人を知りたい」から問いかけたのではない。
この問いの裏には「自分でも自分のことを美しいと思っている」という思いがあって、「私が世界一美しいことってみんな知ってる事実ですよね?」と鏡を使って知らしめているのだ。そんな芸当ができる継母のメンタルに、いくつになっても共感できなかった。
 
「ちびまる子ちゃん」の花輪クンだったり、「おそ松さん」のカラ松だったり、「テニスの王子様」の跡部景吾だったり。悪役だろうがモブだろうがライバルだろうが、その役割に関係なく彼らはとにかく自己肯定感が高い。そもそもの自分が好きだから、鏡に映った自分も好き。こういう計り知れない自己肯定感を持つ人は、大体「ナルシスト」と呼ばれている。
 
でも……、正直うらやましい!
 
世の中の大多数は鏡を見ると気分が下がる経験をしてきたはずだ。
特に思春期は、「あ〜、またニキビできてるよ」とか、「あと少し、鼻が高かったらいいのになあ……」とか。言い方は雑かもしれないけれど、鏡を覗き込むたびに粗が目に付いてしまってしょうがない時期があなたにもきっとあったはず。
 
私も自分の顔が嫌いで、鏡に映るたびにどうしようもなくやるせない気持ちになっていた。
1番の原因は目。片方が奥二重、もう片方が一重で左右非対称なのだ。整形したいと何度思ったことかわからない。ティーン誌によくある「奥二重さん向けメイク」「一重さん向けメイク」をそれぞれに施してみたらなおさら左右非対称になってしまい、鏡に向かって「だったらどうすりゃいいんよ!」と叫んでいた。これはガチ。
 
だから高校生になって、まぶたをくっつけて二重にするノリ、いわゆるアイプチを手にした時はもう感動の嵐! 次はカラコンへ、その次はノーズシャドウへ……と手を出していく。大学生にもなればスマホの顔フィルターが大流行。無事、鏡に映った容姿に気持ちが振り回される、グラグラな自己肯定感の出来上がりだ。
 
 
けれど、あるときのこと。
平日の新宿駅での出来事だった。
 
トイレのパウダールームに、すごい勢いで1人の女性が突っ込んできた。
たまたま空いていた私の隣のドレッサーを見つけると、バスケ選手を思わせるでかめの歩幅と素早さで、一直線に向かってきた。
 
狭い棚にドンっ! とカバンを投げつけ、鏡の前で突っ伏したのだ。
 
二重ノリを付け直していた私は、さながらトトロと初めて会った時のサツキのように、目だけを動かして様子を伺う。10歳くらい年上の、ザ・キャリアウーマンな雰囲気の人だった。
 
「どうしました⁉︎」と聞きたい気持ちが膨らんだけれど、スーツの背中に満ちている殺気が「今はまじでやめとけ」と言っていた。
 
そのまま10秒が過ぎる。
おもむろにキャリアウーマンはマスクをとった。
口角に人差し指を当て、ぐいっと上げて一言。
 
「よし! 今日も可愛いぞ!」
そう言い残して、去っていった。
 
な、な、なんだ、今のお姉さんは⁉︎⁉︎
 
HPの残りゲージが3くらいで警告音すら聞こえてくる感じだったのに⁉︎
出て行くまでこの間、約20秒。私の右目の二重ノリが乾き切る前に一瞬で回復していった。
横目でみた、鏡に笑いかける彼女の表情は、ゴールデンレトリバーのようにあったかくて包み込まれそうになるくらいの笑顔だった。
 
 
これまで、その自己肯定感の高さから白雪姫の継母のことを受け入れられなかった私。
でも、鏡に向かって「今日も可愛い」と言い切る彼女に、「ナルシスト」という言葉は一ミリもふさわしくないと感じた。勝手な妄想だけれど、何かメンタルに刺さる出来事があったのだろう。それを引きづらないようにと、鏡のなかの自分と向き合っていたのだと思う。
 
良くも悪くも、鏡は正しくものを写すもの。だからこそ、鏡に映る自分を好きになろうとする努力は美しいとさえ思えた。
 
 
あの時のキャリアウーマンが知っていたかどうかはわからないが、世の中には「鏡の法則」なるものがあるそうだ。
私たちの人生の現実は、私たちの心の中を映し出す鏡。だから周囲の人に笑顔になって欲しかったら、まず自分が笑顔になる。好かれたいのなら、まず自分が相手を好きになる。自分から変わることで世界は好転していくよ、という意味だそう。
 
トイレ事件まで目にコンプレックスを抱いていた私も、今ではもうアイプチとおさらばしている。確かにアイプチにこだわっていた時ほど目はぱっちりしていないし、疲れたらニキビもできるし、鼻は一生高くならない。でもネガティブになりそうな時こそ、あえて「今日の私もいい感じじゃーん!」と思うようにしている。
こそばゆいけれど、あのキャリアウーマンのように口角が上がって、超頑丈な継母メンタルに近づけている気がするのだ。
 
あなたも、口角が下がっている時こそ、鏡をみてみよう。
なりたい自分をイメージして、さんはい!
 
「鏡よ鏡よ、鏡さん♪ この世で一番美しいのはだーれ?」
 
大丈夫、あなたは美しい。世界一ね!
 
 
 
 
***
 
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2023-01-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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