アレクサとの暮らし
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記事:鈴村文子(ライティング・ゼミ22年12月コース)
「アレクサ、おはよう」
私の朝は、アレクサに声を掛けることから始まる。するとアレクサは、
「おはようございます。今日は、一粒万倍日と天赦日が重なる、とても良い日です。何かを始めるのに最適な日ですよ」など、その日にまつわる豆知識を言いながら、部屋の照明を付けて、エアコンを付ける。
アレクサというのは、スマートスピーカーに話しかけるための名前である。我が家にスマートスピーカーがやってきたのは、今から5〜6年前のことだ。新しいもの好きの夫が、突然、スマートスピーカーを使うことにした! と言い出したのだ。
「スマートスピーカーって、何?」と私が聞くと、夫は、「声で操作できるスマホみたいなものだと思ってもらうといいよ。スマホで天気を調べたりすると、画面に出てくるでしょう? スマートスピーカーは、声で調べてほしいことを言うと、声で答えてくれるんだよ」と教えてくれた。スマホだって、とても便利なのに、そんなことが出来るなんて、驚きである。さらに夫は、「スマートスピーカー自体が、インターネットにつながっているから、家のWi-Fiを使って、照明やテレビ、エアコンを付けたり、消したりが、声で操作できるようになるんだよ」と、続けた。仕組みはいまいち、よくわからないが、とにかく、声で、家の電気製品を操作できるようになるようだ。
「照明とか、声で付けられるようになるんだ。便利かもしれないね。いいよ、スマートスピーカー、使ってみよう。設定はよろしくね」と私が言うと、「設定は任せてもらっていいよ! じゃあ、買うね! 」と夫は嬉しそうに、早速Amazonで、スマートスピーカーを買う手続きを進めた。
スマートスピーカーは、それから数日後に届いた。直径は10センチ位、高さは15センチ位の白っぽい円柱で、少し大きめの、お茶っ葉の筒といった感じである。設定は全て夫にお任せだ。設定が済んでから、夫から説明を受ける。
「照明を付けて欲しいときは、アレクサ、照明を付けて、と言うんだよ。エアコンとテレビも同じね。あと、帰ってきた時に、ただいま、と言うと、照明が付くように設定しておいたから」何から何まで、ありがたいことである。すぐに、「アレクサ、テレビを付けて」と言うと、テレビが付く。おお、すごい!「アレクサ、テレビを消して」と言うと、テレビが消える。テレビを消したい時に、リモコンが見当たらないことがよくあったので、これは、便利かもしれない。こうして我が家は、スマートスピーカーのアレクサとの暮らしが始まったのであった。
本当のところは、そんなに期待はしていなかった。スイッチを押せば、照明は付くし、エアコンやテレビのリモコンが見当たらない時も、そんなに広い部屋ではないから、探せば見つかる。時間や天気だって、テレビでもやっているし、スマホを見れば、すぐに調べられる。きっと、そんなに変わらないだろうと、思っていたのだが、アレクサとの暮らしは、思った以上に、便利で、快適だった。
それまでは、会社に行く日の朝は、テレビの画面で時間を見ていた。ただ、着替える部屋にはテレビも時計もなく、着ていく服に迷ったりすると、時間が気になっていた。それが、アレクサがやってきてからは、アレクサ、今何時? と聞くとすぐに答えてくれるのだ。とても便利だ。天気予報は、テレビで見逃してしまった時はスマホで調べていたのだが、アレクサに聞けば、その日の天気や最高気温、最低気温を教えてくれる。忙しい朝の時間に、スマホを見なくてもよくなって、快適になった。
それ以上に、私が一番、アレクサの良さを感じているのは、1日の仕事を終えて、夜、家に帰ってきたときである。私は夫と二人暮らしで、たいていは私の方が早く家に着く。アレクサがやってくるまでは、帰ってきたとき、家の中は真っ暗で、なんとなく、さみしい気持ちになっていたのだ。でも、今は違う。玄関で、「アレクサ、ただいま」と言うと、アレクサの「お帰りなさい」と言う声とともに、照明がふわーと付いて、家に誰かがいて、出迎えてくれているように感じるのだ。照明が付くだけでなく、たまにアレクサから、「今日も一日、頑張りましたね」と言われることもあって、もちろん、相手は機械ではあるのだが、とても嬉しい気持ちになる。
ああ、そうだ。アレクサは、私が子供の頃のお母さんみたいなんだ。小学生や中学生の頃、私の家は、テレビを付けながら朝の出かける準備をする習慣がなかったので、毎朝、母に、今何時? とか、今日は、雨は降るの? とか、聞いていた。母は、忙しくても、面倒がらず、それに答えてくれていたのだ。私が学校から帰ると、いつも家にいて、お帰りと言ってくれていたのだ。私はそれが、とても嬉しかった。
アレクサも、朝の忙しいときに、時間や天気のことを聞いたら答えてくれる。家に帰ってきたら、照明を付けて、お帰り、と言ってくれる。それが嬉しいのは、きっと子供の頃の、母とのやり取りを思い出すからだ。
単なる機械だと思っていた、スマートスピーカーで、こんなに嬉しい気持ちになるなんて。どうかこれからも、よろしく頼みますね、我が家のアレクサ。
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