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ハッピーエンドで締めくくる人生の作り方

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:沖ノ島大輔 (ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
人生最後の日、人生最後の言葉。
あなたは想像したことがありますか?
 
「俺の人生は最高の人生だった。みんな、ありがとね。じゃあね、バイバイ!」
 
これは65歳で生涯を終えた亡き父の最後の言葉です。
 
自宅のベッドで苦しむことなく、安らかに眠るあの瞬間を私は決して忘れることはありません。
 
60歳で癌が見つかり、再発するまで、父は悔いのない時間を過ごすことができたように思います。
 
世界各国を好きなカメラを片手に巡り、好きだった酒を浴びるほど飲み、全財産を使いました。
 
父はシナリオ通りの人生の幕を閉じました。
 
私をはじめ、家族はみな父に長生きしてもらいたかったため、良いドクターを、良い病院を、良い治療方法を探し、少しでも長く元気でいられるよう、最善を尽くしました。
 
でも当の本人は延命治療を望みませんでした。
 
生物には寿命がある。
花は咲いて、やがて枯れる。
 
それが父の結論でした。
 
病院ではなく自宅で自由に過ごしたい。人の手を煩わせたくない。最後まで、自分の力で生きていきたい。
 
それが父の望みでした。
 
初めはそんなわがままを受け入れることができずにいましたが、やがてその気持ちを尊重し、結局私たち家族は見守ることにしました。
 
思い起こせば、亡くなるひと月前ごろから、身体に異変が続き、黄疸が出て、呼吸も苦しそうで、声を出すのもやっとだった父。
 
病院の先生からも、長くはないと余命宣告をされ、迫る死を目前とするも、日常と変わらず過ごす父の姿に、私はこの世からいなくなってしまうという実感が全く湧きませんでした。
 
そんな時、長男である私は、父に呼ばれ、山積みの本と書類を渡されました。
 
それは病気にならないためのことを書かれた数々の書籍と、自分の葬儀の計画書。
 
葬儀の計画書には
 
・受付にこの本を置くこと
・お清めは生ビールサーバーを手配すること
・お清めは冷えた天ぷらと硬くなった寿司は絶対に出さないこと
・加山雄三の「海 その愛」をBGMとして流すこと
 
と、記されていました。
 
その1週間後に、父は旅立ちました。
 
私は父の希望通りの葬儀を執り行いました。
お盆が過ぎた残暑厳しい夏の日。
 
葬儀のお清めの場は、まるでホテルのビュッフェのような豪華な宴席。
並ぶ料理の下には火が置かれ、どんなタイミングでも食べた時に温かい料理がもてなされ、真夏の暑さを溶かすほどの冷たい生ビールに喉を潤し、カラオケの定番でもあったエンドレスで流れる加山雄三の「海 その愛」に父の姿を思い浮かべ、受付にはくれぐれも皆さん、病気にならない生き方をと、父が付箋をつけた本が置かれ、参列したどの人からも、こんな葬儀にはでたことがない、沖ノ島さんの人柄が最後まで感じられたと、悲しみの中に笑顔が包まれていました。
 
あれから10年以上の歳月が経ち、気がつけば父の亡くなった年齢にだんだんと近づいてきています。
 
もしあの時、父がどんなことがあっても生きたい、という生命力があったとしたら、今生きていたら76歳、無理ではなかったと思います。
 
ただ、果たして、今と同じ時間の過ごし方ができたかどうかはといえば、それは定かではありません。
 
入退院の繰り返しだったかもしれない。施設に入ると高額な費用がかかるかもしれない。おむつを取り替えていたかもしれない。私のことすらも忘れてしまっていたかもしれない。
 
最後に読み込んだ数々の本の中から自分なりの答えを見つけだし、残された家族を想う父の優しさをしっかりと噛み締め、美しい思い出と偉大な父の記憶のまま、残された私たちは今、前だけを見て生きることができています。
 
一般的に、映画やドラマなどの物語はハッピーエンドで終わります。
 
でも、それはあくまでも物語であって、現実はそううまくはいきません。
 
壮絶で過酷な出来事や、悲しい結末が待っていることもあります。
 
しかし、たった一度きりの人生。
 
誰もがハッピーエンドで幕を閉じることができる未来があったら、それは素敵なことだと思いませんか?
 
多くの人は、老いや死を、負けとか終わりとか、ネガティブに捉えたり、「死ぬ話なんて縁起でもない」と、この話題から避けています。
 
ですが、人生のゴールは「死」
 
これは紛れもない真実です。
 
「死」を見つめて「生」を考える。
 
死というものがあるから、むしろよりよく生きられたり、やるべきことや後悔のない決断が積み重ねられるように思います。
 
私は父の死に様、そして生き様からこのことを学び取りました。
 
父が身体をはって教えてくれたこと。
 
それは、人生の主人公は紛れもなく自分自身であること。
 
そして、ハッピーエンドで幕を閉じる脚本を作るのも自分自身だということ。
 
だから私は今文章を書くことを学んでいます。
 
そう、これからの自分の人生のクライマックスを、最大のハッピーエンドで終わる脚本を書くために。
 
人生最後の日、人生最後の言葉。
 
ぜひこの機会に想像してみてはいかがでしょうか。
 
 
 
 
***
 
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2023-02-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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