断捨離が、私に与えたもの・私から奪ったもの
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記事:ゆか(ライティング・ゼミ10月コース)
私は「断捨離」が好きだ。物を手放すと心地良く、逆に所有することはストレスに感じるときがある。
先日、自転車を購入した。私の家は駅やスーパーから少し離れた場所にあるため、移動を楽にするために購入した。しかし、大きな物を所有していることがどうもストレスに感じてしまい、数日後にはその自転車を友人に引き取ってもらった。あると便利なものでさえ捨てたくなってしまうのだから、もはや病的だな……と自分でも感じていた。
物を手放すようになったのは、4年前。同居していた彼が家を出ていき、荷物の整理を始めたことがきっかけである。
はじめは文房具類から整理した。その後、テレビ周りに置いていたアロマディフューザーや、旅行の思い出に買ったアルパカのぬいぐるみを手放した。見る機会が減った、テレビも手放した。
クローゼットがない部屋だったので、洋服はベッド下の引き出しと小さめのハンガーラックに収納していた。ただでさえ少ない洋服をさらに手放すうちに、ベッド下の引き出しは空っぽになり、引き出しを捨てた。
当時私はユニットバスの部屋に住んでいたが、トイレと浴槽を仕切るカーテンを捨てた。また、部屋のすぐ横がビルの壁で人目が気にならない立地だったこともあり、部屋の窓のカーテンも捨てた。カーテンについてはさすがに友人に驚かれたし、心配された。でも、私は部屋から物がなくなっていくことがうれしくて仕方がなかった。
断捨離に励むうちに、人間関係も変わっていった。それまで私は、人からの誘いはなるべく断らないようにしていた。しかし、当日の飲み会の誘いなどは断るようになった。LINEのグループも、正直付き合うのはしんどいな……と思うものからは抜けた。人との関係を整理するなんて、ドライだと思われるかもしれない。しかし、私はこれで良かったと思っている。
いろいろ手放して気付いたことは、私は今まで「自分のキャパシティ以上のものを抱え込んでいた」ということ。もともと器用ではない私が、限られた時間の中で大切にできる人の数は多くはない。なるべく多くの人と関係を維持しよう! と思わなくなってからは、身近な人をより大切にできるようになったと感じている。
そうして、断捨離のメリットを享受していたはずだった。しかし、いきすぎた断捨離は、デメリットをもたらすのだ――。
断捨離を始めてから、時間の使い方も見直すようになった。朝起きたら、英語とファイナンシャルプランナーの勉強をして、通勤中は読書。帰宅後は筋トレとウォーキングをして寝る……。ToDoリストを作り、それをこなす日々を過ごすようになった。すると、おすすめに流れてくるYou Tube動画を眺めたり、ゲームをしたりするなど、目的のない行動の後は、罪悪感に苛まれるようになった。
友だちと丸一日出掛けたら、日々のToDoをこなす時間がなくなるな……と、自分から友人を誘う回数は減り、外出したときにはすぐに家に帰りたくなった。大好きだった旅行にも、めったに行かなくなっていた。
断捨離を始めてから数年が経ち、私は毎日が何か物足りなく感じるようになっていた。仕事や家庭に大きな不満があるわけでもない。何不自由ない毎日を過ごしているはずなのに、私が見る世界は彩りを失っていた。
一体、何が足りないんだろう――。
退屈さを感じながら過ごしていた私だったが、ある時、昔の友人との会話を思い出した。「普段の生活でも、ドラマみたいにBGMがずっと流れていたら良いよね〜。音楽がかかっているだけで、どんな状況も楽しい気持ちになるよね!」
学生の頃はよく音楽を聴いていた。学校に行くの嫌だな、友だちとつまらないことでけんかしてしまったな……。気持ちが落ち込んだときは、音楽に元気をもらっていた。しかし断捨離に取り組むうちに、音楽を聴く時間は教育系You Tuberの動画やニュースを聴く時間に変わっていた。
私に足りなかったものは、これかもしれない――。
私はYou Tubeを開き、最近流行っている曲のメドレーを聴いてみた。すると、心の底からふつふつとプラスの感情が湧いてきた。私はしばらく忘れていた“ワクワク”する気持ちを思い出したのだ!
音楽は、日々の生活に役立つ知識を与えてくれるわけではないかもしれない。しかし、人生を豊かにしてくれるとても大切なものである。そんなことを思い出した数日後、友人からこんなLINEが来た。「今日飲みに行きませんか?」突然の誘いだったが、私は行くことにした。「たまにはこういうのも良いじゃん」。そう思えるようになっていた。
私は断捨離にのめり込むうちに、大切なものまで手放していた。断捨離で得られるメリットは大きいが、これから取り組もうとしている人にはぜひ、心を豊かにするものまで手放さないように気を付けてほしい。
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