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大好きだったスシローに、私が行かなくなったわけ

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:上平恭代(ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
週1でスシローに行くより、月1できちんとした寿司屋にいく方がいい。
でもそれは、昨今出回っている不衛生な拡散動画のせいじゃないことは、先に伝えておこうと思う。
 
コロナが流行り始めて少し経ったころ、最寄り駅と自宅の間の通勤路にこじゃれた店ができた。
もとは女性は絶対に入らないような大衆食堂だったのが閉店し、白木を基調にした外観に改装されて、着物を着た女将がいそうな小料理屋か、コース仕立ての蕎麦屋か、あるいは回らない寿司屋か、どれができても通いたくなるような、そんな印象の店舗ができあがっていった。
 
お店の内装がほとんど終わったころ、店名が入った小さな看板が入り口の扉のわきに付いた。調べると、日本酒をメインにした居酒屋をチェーン展開する会社が母体になっていて、その新店舗は寿司屋であることが判明した。もちろん日本酒の在庫には力を入れているようだった。
その頃はコロナもまだあまり危険視されていなくて、私は毎日出社していたから、朝と晩、店の前を通るたびに内装工事の進捗状況をチェックしては、オープンを心待ちにしていた。
ここからなら這ってでも帰れるし、場所がら肩ひじ張る感じにはなりそうもなく、すっぴんでも来れる!
 
かくして夏前、そのお店はプレオープンという形で予約を取り始めた。
当初、土日祝日は15時からオープンしていたので、初回の訪問は土曜日の15時、カウンターでのおひとり様。
まだ明るいうちから飲める幸せ……!
その店は私の生活スタイルに非常にマッチした。
 
前菜から始まって、基本的には握りとつまみが交互に出てくるスタイル。
コースは日々研鑽を積んだプロが組み立てているので間違いようもなく、盛り付けも、盛られている器も美しく、細部にまでこだわりが感じられる。
カウンターで握ってくれる人も、日本酒の説明をしてくれる人もみなさん気さくで、距離感もちょうど良く、1人でもとても楽しく時間を過ごすことができた。
 
私はそれまでうんちくはあまり好きじゃなかったんだけど、「○○さんっていうすごい漁師がいて」とか「■■さんの神経締めの手技がすばらしくて」など、その食材がどこでどんなふうに獲れて、というようなストーリーを聞くのが思いのほか楽しかったり、以前は銘柄を覚える努力さえしかなった日本酒も、「××県の△△っていう酒蔵で●●酵母を使って作られていて」なんて聞くと、なんだかとても愛着が湧いてしまう。
また、「北海道の真昆布がだんだん採れなくなっていて」とか「魚が高騰して、豊洲で取り合いになってる」などと聞くと、ニュースの中の話も自分ごとに感じられたりするものだ。
 
そして何度かその店に訪れているうち、私は回らない寿司屋の楽ちんさに味をしめてしまった。
コースだからいちいち頼まなくていいし、最初だけ嫌いなものや苦手なものを伝えればよく、なんならそれすら覚えていてもらえる。
江戸前だからか、そのあたりはよく分からないのだけど、ネタにはタレやツメが付いた状態で出てくるので、自分でしょう油を付けなくてもいい。
こう書くと「どんだけ面倒くさがりなの」と言われそうだけど、これが私にはちょうどいい。
さらに、寿司には日本酒のペアリングをすることもできるから、料理に合わせて酒も勝手に出てくるのが控えめに言って楽すぎる。
しかも日本酒の有資格者がセレクトしているので、料理との相性ももちろん抜群。
 
で、やっぱり気になるのはお値段ですよね! ということになると思うんだけど、例えばスシローに週1回行くとして、私の場合は1回あたり3,000~4,000円かかっている。
これはスシローでは高額設定のビールを何杯も飲むこと、都心部の店舗に行くため価格が130円からと割高になっていること、高いネタを何度もリピートすること、が理由だ。
この1回あたりの金額の、3,000~4,000円の間を取って3,500円として、月に4回だと14,000円になる。スシローも意外に安くないのだ。
行きつけの回らない寿司屋は、料理の内容が月替わりゆえ月に1度しか行かないけど、コースに日本酒のペアリングを付けてもスシロー4回分よりちょっと高くなるだけなので、洗練された空間で、衛生面も心配なく食事できると考えると非常に満足度が高くなる。
 
これを読んで「私も回らない寿司屋に行こう!」と思ってもらえたらこのコンテンツは成功と言えるのだろうけど、本当のところ、食べるものはとんかつでもフレンチでもなんでも良くて、要は、少し勇気を出してのれんをくぐれば、想像以上に美味しく楽しい世界に足を一歩踏み出すことができるよ、ということなのだ。
 
 
 
 
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2023-02-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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