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ピラティス始めました 


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:岩崎 芳(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
それも「マシン」ピラティスのほう。
スポーツジムに置いてある筋トレマシンみたいなのにぶら下がるやつ。
 
きっかけは単純だった。SNSでフォロー中のイケてる有名人たちがこぞってマシンピラティスをやっていたから。おしゃれに加工された写真の中の彼女らは、都会の一室で引き締まった身体にぴったりフィットするトレーニングウェアを纏い、まるでマシンの中を自在に泳ぐ人魚のようだった。
 
これだ。
直感した。これで私はついに痩せることができる。
 
思えばこれまでのダイエットの道のりはダラダラと長かった。30代半ばに第2子を出産後、丸くなった身体は戻ることなく体重は妊娠前の+7キロを行ったり来たり。独身時代あんなに洋服が好きだったのに、嫁ぎ先の湘南のカルチャーも相まっていつしか鏡の中の自分は気負いのないゆったりした上下にビーサン、というカジュアルかつ体型カバー重視のファッションに変わっていった。
 
これで良いはずがなく、子育てが落ち着くとウォーキングしたりファスティングにチャレンジしたり、時にはヨガやピラティスの単発クラスも受講した。中でもフロアピラティス(床やボール、チューブを使って行うピラティス)はシェイプアップ効果が早く期待できそうだったため一番多く通ったが、キツいばかりで楽しくなかった。そして圧倒的に自分が美しくなかった。そもそもこの緩みきったボディをなんとかするために始めたのだから仕方ないが、スタジオの鏡に映る自分は直視するのが辛いほど理想の姿からかけ離れていた。何度か通って現実に失望、しばらく休んでまた再開。10年もその繰り返しだった。
 
 
しかしマシンピラティスは違った。
駅前に出来たばかりの真新しいスタジオでお試しクラスを受講後、私の直感は確信に変わった。
 
まずクラスは少人数制でむやみに他人と比べなくて済む。マシンピラティスは原則一人一台マシンを使うので、小さなスタジオにはそもそも何十台もマシンを置くスペースがない。そしてレッスン中は、鏡を直視する時間もなく自分の動きだけに集中することができた。
 
次に特別感がある。マシンピラティスは正しいマシンの使い方や身体の動かし方が決まっていて、1、2、3が出来たから4は自己流にアレンジ……というわけに行かず、講師が都度動きを確認してくれる。受講者ひとりひとりの体調や目標に寄り添ってトレーニング内容をカスタマイズしてくれることもある。フォローが手厚いのだ。
 
そして圧倒的に楽しい。マシンのゴムバンドを手足に引っ掛けてゆっくり手足を曲げ伸ばしすると、それまで縮こまっていた身体の骨と筋肉がゴムの力でビヨーンと伸びる。同時に背中部分のベンチが連動して身体が上下にスライドするので、トレーニングというよりまるで公園の遊具で遊んでいるようで気分が高揚する。加えて、身体への負担が少ない分、美しくなめらかにマシンを動かすことに意識を集中できる。過去のフロアピラティスで辛く感じた筋トレ感、悲壮感がなかった。
 
 
いうならば、フロアピラティスが野営キャンプでマシンピラティスがグランピングのようなものだと思う。
 
野営キャンプでは、わざわざ不便な境遇に身を置き自然と自分が一体になる体験を味わう。時に慣れないナイフで指を切り突然の雨にテントがびしょ濡れになるアクシデントに見舞われるが、コントロール不可能な環境下で自然と自分との間に静かに落とし前をつける、その体験こそが楽しいのだ。マットピラティスもまさにそれだ。自分の体重の重みという変えようのないウェイトを使って身体と対話し、ストイックに筋肉を動かす。苦しいが、1クラス乗り切ったあとはなんとも清々しく感謝の念すら沸き起こるほどだ。
 
一方で、グランピングはもっと人工的な遊びだ。施設のオーナーという第三者が提案する自然の楽しみ方をそのまま素直に体験する、いわばテーマパーク的キャンプ、それがグランピングである。オーナーが設えたすばらしい施設と食事を享受し、後方に映る緑をバックに写真を撮る。セッティング済みの環境下で大切な人たちと効果的に美しい時間を過ごすことが最大の目的なのだ。これはまさにマシンピラティスそのもの。トレーニング方法を素直にマシンと指導者に委ねて、美しい動きの中で目標に対しての最大限の効果と楽しさを求める。そこに不便さや悲壮感は必要ない。
 
誤解を招きそうなので言っておくが、マシンピラティスも決してラクな運動ではない。身体の筋肉を縦に長く使う感覚をつかむまで長い時間がかかったし、顔をゆがめるほどチャレンジングな動きも多々ある。
 
そして肝心の効果だが、始めて2ヶ月、少しずつ身体の変化を実感している。出産後長らく「へ」の字だったヘソの形が縦長に戻った。さらに体力がついて疲れにくくなった。疲れないので一日中メンタルが安定して過ごせる。夜ガミガミ母ちゃんに変身しなくて済むのだ。家庭まで平和になるなんて最高じゃないか。
 
 
今日も自分はマシンピラティスに通う。
人魚にはなれないかもしれないが、1年後には好きな洋服を選んで見に纏う幸せな母ちゃんでありたい。
 
 
 
 
***
 
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2023-02-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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