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もうだめだな。明日、辞めるって言おう。

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記事:
 
 
もうだめだな。
明日、辞めるって言おう。
 
職場で朝イチバンに先輩から、「今日はずっとあなたを見て、問題点をチェックしていくから」と言われた。
朝から、私の行動を見ては、私から見えないように何かメモをしていた。
そのたびに、
今の何か悪かった?
えっ、何?
ドキドキしたのを覚えている。
 
でも、その後のことは、今でも覚えていない。
業務終了後に、そのメモを見ながらダメ出しをされたのだろうか?
 
 
 
 
 
30歳過ぎてから、学校に行って年下の子たちと一緒に勉強して資格を取った。
そして、その資格でなんとか就職した。
4月から新卒として一緒に入った同僚は、当然20代前半、私は30代半ば。
同僚は、先輩たちに可愛がられていたけど、
先輩より年上の私は扱いにくいらしく、よそよそしかった。
それで、私は変に気を回して、頼ったらいけないんだと思い込み、
ひとりで抱え込みで、ひとりで空回りをはじめた。
 
初めの半年は、まだ私も同僚も失敗ばかりでうまく行っておらず2人でうなだれていた。
しかし、半年過ぎると、同僚は徐々に成長していき、私は同じところでずっと足踏みをしていた。先輩からは、もうあの子はこれできてるよ、あの子と差がついてきてるよ、とチクチク言われ出した。先輩に尋ねると、1回教えたよね?ともう尋ねられない雰囲気。
なので、仕事ができないから残業してから家に帰って、ひとりで仕事の復習していると、あれもしないと、これも、と色々しないといけないことが思い浮かんできた。
この復習じゃなくて、こっちが先?
色々手を出すから、どれも中途半端で終わらず。
そして、不安になって胸がドキドキしはじめ、ぐったりして何もできず。
そして、しないといけないことは、重々わかっているが、眠れないならまだしも、眠くて眠くてしかたなかった。
 
 
それからは、朝礼を聞きながら、自分が今日、仕事をこなせるか心配になって気が遠くなるのを毎回感じた。
 
そして、朝、出勤する前、家の玄関のドアを開けるのに勇気が必要になった。だから、9時間後には、ここに帰ってくるはずだからと言い聞かせて、そして、早く帰って来れますようにとお願いをしてから、家を出るようになった。
 
そんな中、上司から、この頃、笑ってないけど大丈夫かと尋ねられた。いや、笑顔というか、仕事できてないしと思っていた。
 
 
でも、気持ちと裏腹に、家に帰ったら、やっぱり眠くてしょうがなかった。
だから、帰宅したらすぐ寝る、でも、早く起きて復習、勉強しようと思って寝た。
そしたら、朝起きれないし、なんとか起きて復習してても、また、あれもしない、これもしないとと気持ちばかり焦って、なんで4月からすぐに復習してなかったんだって落ち込んで、結局頭の中がごちゃごちゃして時間が過ぎていった。
 
新しいことが覚えられない私は馬鹿かもしれない。
あんなに周りの人に応援してもらって就職した手前、辞めれないよね……。
それに、1年も持たなかったから、次の就職先ないよね?
もう、逃げ出したいけど、辞めることもできないし、私、事故に遭わないかな、そしたら、仕事に行かない理由、もしかしたら辞める理由ができるのに。
 
だんだん肩こりがひどくなり、のどがつっかえた感じがするようになった。
 
家では仕事の復習するため、ネットを見ないようにしていた。
でも、たまたまネットでコント動画を見たら、笑ってしまった。その時に、笑う時の口角が上がる感じを久しぶりに感じ、今まで笑っていなかったことに気づいた。このことを上司を言っていたのか。
 
それがわかったからって、仕事ができないのは相変わらずで、職場でお荷物扱いになってるのを肌で感じた。
 
そして、仕事ができないとは、こんなに辛いことであることを身を持って感じた。
 
 
 
 
資格を取るための学校に行く前に働いていた職場は、働いて3年くらいでユニットでサブリーダーを任された。その時、すぐに、リーダーが体調不良で休職となった。なので、私が、代理でリーダーをして、リーダーの復帰を待っていた。しかし、半年後、リーダーは復帰することなく、結局は退職することになり、私がリーダーをすることになった。それから、私は、自分の仕事をしながら指導することになり、なんでこの人たちは、仕事できないんだろうと思っていた。教えてもすぐに忘れるし、しないし、家で何も仕事の復習してないでしょと思った。
そして、私は仕事ができる方だと、大きな勘違いをしていた。
 
 
 
 
 
辞めて実家に帰ってきた私を見た母は、残念そうな表情をした。
母はもう少し頑張ったらとずっと言ってくれたのだ。
でも、私は、もう限界だと思い、辞めた。
 
そして、私は自分の部屋ではなく、私の家でお座敷と呼ばれるリビング横の和室に布団を敷いて、朝も昼も夜もずっと寝て過ごした。こんこんと眠り続けた。食事をどうしてたのか覚えていない。
しばらくすると、睡眠時間が溜まったのか、目が覚めるようになった。
けれど起き上がる気力がなく、ずっと寝たまま過ごしていた。すると、だんだん暇を覚えるようになった。
その時に、リビングのテレビから携帯ゲームの宣伝が聞こえ、携帯でちょっとやってみようか始めたら、意外と楽しかった。
ゲームなんて時間がもったないと思って今までしてこなかったから、ポイントをもらうのに時間が経たないと貰えないことを初めて知った。だから、複数のゲームを時間差で行った。
そして、寝ながらゲームをして過ごしていたが、自分で決めた日がきたので、自分の部屋に戻った。そして、昼間は起きて過ごし、次の就職先を調べた。もっと、緩いところを探そう。
 
 
 
そして、なんとか再就職することができた。
 
でも、仕事ができるかとても不安だった。ここでも出来なかったら、どうしよう。
仕事を始めて、職場の先輩は、「分からなかったら、何度でも聞いてね。何度でも教えるよ。私もすぐに覚えられないからね」と言い、本当にその通りに何度聞いても優しく教えてくれた。
何よりも業務が少ないから、仕事を取り合うくらい暇で、ゆっくりと仕事ができた。
残業もないから、帰りにカフェに寄って仕事の復習してから帰宅するようにしたら、仕事をすることができるようになった。
 
今、思うことは、頑張ってもできない仕事はあるし、合わない職場はあるのだ。
それならば、違う場所に移動していいのだ。人間には、足があるのだから。
 
 
本当に、辞めてよかった。
 
 
 
 
***
 
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2023-03-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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