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ぼっちの演劇ワークショップ体験 <<心の処方箋>>

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:あき (ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
画面をじっと見つめ続けた。
体に残る余韻がまるで時間を遡るように私をあの場所に引き戻していくようだった。
 
「うわぁ、姿勢悪いなー」
 
「声、小さくて聞こえん……」
 
映像として客観的に映る自分をみるのは馴染みがない不思議な感覚。
残念ながら、その姿はけっしてかっこいいものではなかった。
 
他人からこう見られてるんやなと反省しつつ、それでもイヤな感情がまったく湧かない。
それはもう一度やりたいと思えるほど魅力的な体験だったからだろう。
 
まさかこんな自分が短い時間といえ、『演劇をしてる姿』など少し前まで想像できなかった。あっという間に過ぎた二日間を私はゆっくりと思い起こした。
 
ドクン、ドクン、ドクン。
鼓動が次第と速くなる。
 
目の前に何人くらいいるだろう?
だいたい15人。たったそれだけの前で最初の自己紹介をするだけ。
なのに自分の順番が近づくにつれ緊張と不安が高まっていく。
 
在宅のリモートワークを始めて5年経つ。
対面で人と接する機会はめっきり減っていた。
元々の人見知りが加速するように自分の殻に閉じこもることが日常となった。
だからこそ自分を表現する場を増やさないと、もっと人と関わる新しい体験をしないと社会から取り残されていく気がして焦っていたのだ。
 
そんな私が思いっきり背伸びして参加したこの場所。
それは福岡天狼院書店が開催する演劇ワークショップ。
脚本、演出、俳優までこなすプロの講師から演劇の基礎から実践までを学べる機会だった。
 
講師の『中嶋さと』さんは劇団FOURTEEN PLUS14+主宰で、2008年には福岡市文化芸術振興財団創作コンペティション最優秀賞など多くの実績がある素晴らしい方だった。
 
初心者向けワークショップと謳われてるが、実際どうなんだ?
学生のとき文化祭で経験してたり、日常でも明るいアクティブな人ばっかなんだろうか。
何となく演劇をする人というイメージを膨らませると少しの不安は徐々に大きくなっていく。
 
だって、『演劇』だよ!!
私にとって『演じる』ことはテレビに映るそれは華やかな俳優さんだけが持てる特殊能力のことだった。
 
もちろんやったことない。それどころか普通に人前で話すことも苦手なわたしには無縁な世界のはずだった。音楽の授業で一人で歌わされるとき、顔が赤くなって頭が真っ白になった小学校の記憶が蘇る。今までの自分だったら間違いなく見向きもしない。
 
それでも参加することを決断できた理由があった。
去年11月、福岡天狼院書店で初めて演劇を観た体験。
『極楽こたつ』という舞台から得たのは大きな感動だった。
 
小さな本屋という場所で客席のすぐ目の前で繰り広げられた別世界のような空間。
たった30分の舞台で感情のボルテージが一気に高まって惹きつけられた。
 
「うわー、おもしろそう! やってみたいな……」
演劇ワークショップのイベント告知を見たとき最初に心の中で思わず感じた。
それは小さいけども純粋な好奇心だった。
 
「楽しそうだから」
シンプルな気持ちだけで動いてみても今回はいいのかもな……。
 
演劇『極楽こたつ』を通して感じた1つが、まさに『純粋な想い』を大切にすることだった。
感情が動くってこういうことなんだろう。
心の中に生まれた想いを行動という形に移したくなったのだ。
 
演劇ワークショップでは、まず講師の方から簡単な説明があった。
演劇の基礎として必要なものは大きく二つ。
『想像力』と『発信と受信』とのことだ。
 
例えば、この場所が『アマゾン奥深くのジャングル』だとしよう。
あなたの目の前には広大な森林と多種多様な生物がきっと見えるだろう。
 
だけど、共演者の一人でも『いやいや、ここはビル2階のコンクリートの中でしょ?』と冷めると一気に魔法が解ける。
 
また発信者は言葉や動きでどう伝えるのか? そしてそれをどう受け取っていくのか?
相槌であっても、表情であっても全身を使ったコミュニケーションがそこにはある。
 
共演者同士はもちろん、ときには聞き手となる観客であってもそうかもしれない。
舞台全員の連帯感で一つの世界を作り上げていくものなのだ。
 
こうやって聞くと誰しもそれぞれの役割を普段から演じているのかもしれない。
仕事で優秀だと思われたくて堂々としてるとき。
目の前の人が辛そうなときに手を差し伸べたくなるとき。
興味がない話題でも空気を読んで笑顔で相槌を打つとき。
色んな場面で誰しも自分に魔法をかけた経験はないだろうか?
 
演技することはテレビの向こうの遠い世界ってわけじゃなかった。
実は社会で生きるすごく人間らしい行為の中にも潜んでいたんやなと感じる。
 
講師の説明が終わり、緊張をほぐすストレッチ後に参加者全員で丸い輪になった。
そこで始まったのが『シアターゲーム』と呼ばれるもの。
演劇に必要な発想力、連帯力、表現や発声などを学ぶ演劇稽古用のミニゲームらしい。
 
横や向かいの人に「あるもの」を回していくゲームなのだが一つの肝があった。
「軽くて白いボール」、「熱いラーメン」などお題として出されたものを実際にあるかのごとく渡していく。まさに『想像力』と『発信と受信』がお互いに求められるものだった。
 
参加者全員でまるで目の前にあるかのように「わー! きゃー!」と言いながら全身を使って表現するゲームは初心者同士でもすごく盛り上がり、緊張も徐々にほぐれていった。
 
2時間半のワークショップは二日間とも本当にあっという間だった。
ジェスチャだけでキーワードを伝える伝言ゲームや与えられたお題を言葉以外で表現する短い芝居などを経験した。
 
そして最後が四人グループで実際に与えられたセリフを読んで演じる実践編。
これがやってみると、まあ難しい。
だけど、その何倍も何倍も楽しいものだった!!
 
セリフの行間を感じ、返す言葉をどう表現するのか?
「ここはそっけなくでいいよね?」
「この人は必死にもっと訴えかける感じがいいかも!」
 
『想像力』と『発信と受信』を意識して人物の背景や舞台の情景をどう設定するのかグループメンバーと話し合って一つの短い劇を一緒に作っていった。
考え出すと奥深く、休憩時間すら楽しすぎて話し合う光景があちこちでみられた。
 
参加者の中には表現豊かな方やコミカルで引き込む方もいた。
私自身の演技が上手いか下手かでいうと明らかだったと思うけど、この二日間はそんなことどうでも良くなるほど全ての時間が魅力的で、一緒に仲間と何かを作る過程を含めてとにかく楽しんだ。
 
よくよく考えたらこのイベントは本屋さん主催。
天狼院書店が掲げる本の先の「体験」を提供するという言葉通り、演じる側になってセリフの背景や行間をより深く想像してみる面白さも知れた。
 
新しい体験はいつだって心が踊るもの。
歳を重ねるごとに同じ日常が当たり前と思ってしまう自分を呪ってしまいたくなった。
 
想像しなかったイベント参加は終わってみるとなんてことはない。
ただ『一歩踏み出してみる』だけで良かったのだ。
 
自分の演技する姿が映った動画を改めて見てみた。
「声小さっ! 姿勢わるっ!」
 
こんなふうにみえてるのか……ふふ。
客観的に自分を見る機会あまりなく思わず笑った。
心の中の小さな想いを行動に移した自分は意外と好きだった。
 
さて、今度は何しよかな?
ただ前に進んでみよう。
その先にもっと良い自分と出会える気がした。
 
 
 
 
***
 
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2023-03-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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