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ストレスコントロールの鍵は「相手より自分」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:あこ(ライティングゼミ2月コース)
 
 
「相手に期待しないでいれば、傷つくことも減るんだよ」
これは、以前付き合っていた彼が、よく言っていた言葉だ。
 
この言葉を初めて聞いた時、よく意味が分からなかった私は、彼に聞いた。
「相手に期待しないって、寂しくない? 相手のことを信じていなかったり、可能性を感じてない、という意味にも聞こえる」
「そういう意味じゃないんだよね。相手がどう動くか、相手がどう思うか、を期待しないってことかな。自分の思う通りに他人は動かないから」
「うーん、わかるような、わからないような。だって、相手に動いてもらいたいから、自分は頑張って働きかけるんじゃないの?」
「そうなんだけど。働きかけはしても、動くのを決めるのは相手だから。自分は最善を尽くすけど、相手が動かないことには、いちいちガッカリしない、ってことに近いかも」
 
彼とこの会話をした時の私の感想は、「わかるような、わからないような話だな」ということだった。
けれど、私はこの会話が「相手との関わり方」を考える際に、よく頭の中に出てくるようになった。
 
相手にこう動いてほしい。相手にこんな風に思ってほしい。相手に何かをしてもらいたい。
人と関わる限り、この思いを持たずにいることは難しい。
相手への要求を言葉にする・しない、の差はあっても、相手に要求しない、ということ自体を心掛けられる人が少ないのではないか。
いや、「相手に要求している」こと自体に気づいていない人が多いのかもしれない。
 
自分を振り返っても、「わかって欲しい」「理解してほしい」「動いてほしい」「好きになってほしい」「放っておいて欲しい」……●●してほしい、だらけだなあ、と思う。
確かに、要求されるばかりだと、相手は疲れてしまうだろう。しかし、相手に対して、要求しない、なんてことができるのだろうか?
 
仕事でも家族でも恋愛でも、相手が動くことによって出る成果、というものが一定ある。
だからこそ、「相手を動かす」ことに興味を持つ人が多いし、無自覚に相手を動かそうと頑張る人が多い。
ただ、相手が行動するかどうか、決めるのは「相手自身」だ。そのため、相手に働きかけたにもかかわらず、自分が思った通りの結果にならないこともあり、そこに失望したり、悲しむ人が多いのも事実だ。
 
だから、「相手に期待しない方が傷つかない」という彼の言葉も一定理解できる。
ただ、相手に期待しない、のに、「相手に働きかける、最善は尽くす」という部分が矛盾しているように感じて、腑に落ちなかった。
 
そんなモヤモヤを抱えていた私が、彼の言っている意味が少しわかった経験が2つある。
 
ひとつは、実家の母について話した、姉との会話からだ。
母の目下の悩みは、結婚をしない私のことである。
一時期、連絡を取る度に「あなたが結婚しないと、安心できない。死んでも死にきれない。結婚に向けてちゃんと行動してください」と言われることが多かった。
結婚するか、しないか、は私の問題だから、放っておいて欲しい、と言うと、2倍言い返される。
母には、私の主張は全く理解されず、私は悲しさも感じていた。
その話を、姉に相談すると、彼女はこう言った。
「母と自分達とでは、生きている時代も環境も違うから、分かり合えないのも仕方ないんだよねー。でも、自分の話が理解されない、と悲しんでいる辺り、きっと私たちも母に理解してほしい、という期待を捨てきれていないんだよね」
 
なるほど。私は、母が自分を動かそうとしてくることにストレスを感じているのだと思っていた。
「相手(=私)が動かない」ことに対して、母が感情をぶつけてくるから、嫌な気持ちを持つ、と思っていた。
しかし、私自身も母に「理解してほしい」と要求していたんだ、ということに気づかされた。
 
もう一つは、仕事での経験だ。
私が、あるプロジェクトに対して「よかれ」と思ってした発言が、相手から反感を買うことがあった。正確には、「言っていることは間違っていないが、苦労してそのプロジェクトに関わっている人達の気持ちを砕く」と言われたのだ。
その言葉に非常に傷ついた私は、会社の元同僚に相談した。
その時に、元同僚に言われた。
「貴女はやりたくてやったし、正しいことをしたと思っているでしょう?なら、それでいいんだよ。相手がどう思うか、はコントロールできないし、全員からよく思われることも不可能だ。だから、行動した結果、自分が傷つくことになってもそれは受け入れるしかない。けれど、自分がちゃんと考えて行動したら、それを良いと思ってくれる人も必ずいるから」
 
この言葉を聞いた時も、私は「相手が自分の言う通りに動くこと」を期待していたんだな、ということを理解した。
だから、自分の期待と違った行動が返ってきて、傷ついた。
けれど、自分がコントロールできない「相手の行動」に振り回され続ける限り、私は自分がしたいことも出来ないし、ストレスを抱えることになる。それなら、傷つくことは受け入れたうえで、自分がしたいことをした方がいいな、と思った。
 
「相手に期待しない」とは、「相手の行動をコントロールしようとしないこと」じゃないだろうか。
相手に要求することや期待することはやめられない。
場合によっては相手を動かすために、手を尽くすのもよい。けれど、相手がどう動いたか、という結果に一喜一憂をするのはやめた方がいい。相手が動くことばかり望むのではなく、自分が動くことに集中する方がずっといい。だから、「相手にどうしてほしい」ではなく、「自分がどうしたい」に意識を向ける方が、よい、ということだ。
 
私は、仕事柄企業の新人教育に関わることも多く、新卒採用のニュースなどにもよく見る。
今年の新卒採用は売り手市場のため、各企業が福利厚生や就業条件を前面に出し、学生を集めようとしているらしい。
採用数を確保したい企業のその戦略はわからなくもない。けれど、学生の目線が「自分にとって企業は何をしてくれるの?」になっていないだろうか。
どちらかが一方的に求める関係は長くは続かない。
自分らしさや多様性にフォーカスされがちな最近だが、自分らしさ=自己中心、ではないと思う。
自分らしくいること=他者に自分の要求を叶えるために動いてもらうこと、ではない。
その違いを、理解してほしいな、と思う。
 
相手に求めすぎない、相手をコントロールしようとしない。その分自分に注力する。
これができるようになると、人生のストレスはずいぶん減るのではないか、と思った。
 
 
 
 
***
 
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2023-03-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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