メディアグランプリ

休日の朝を小さなリセット時間にすることの幸せ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:のもちゃん(ライディング・ゼミ12月コース)
 
 
最近の新刊、『人を「惹きつける」話し方』(佐藤政樹著)を読んだ。
著者は劇団四季で主役を務めたことのある経歴の方で、退団後は講師などで活躍されている。
 
youtubeで「感動を創造する言葉の伝え方」を見て以来、佐藤さんの魅力に惹きつけられた私は、
新刊が出ると知り、すぐに予約購入した。
 
話し方の上手さより「実感して語ること」の大切さが書かれていたが、
私は人と話すことが苦手で、ものすごく人嫌いというわけでもないのに、
誰かと一緒にいると気疲れしてしまうことが多く、一人になりたいという思いに捉われてしまって、
そんな風に感じてしまう自分をどうすることもできず、いつももどかしく感じていた。
 
私から出る言葉はどこかよそよそしく、
本心に違いないのに、どこかから借りてきたような言葉だと話すたびに感じていた。
 
なぜそう思うのか……。
何となく理由はわかっていたが、それは「今この瞬間」を生きていないからだろう、と改めて思った。
誰かと話していても、頭の中は常に先のことを考える癖があった。
何を求めているのかもわからないのに、
「今この瞬間」には知りたい答えがないと考え、未来へと答えを求める。
 
今の自分ではなく、常にアップデートされた自分へ変わりたがっている。
 
そういう思いがあるから、誰と一緒にいても話していても
「今じゃない、ここじゃない」という気持ちになり、この瞬間に自分を置くことができなかった。
 
これは私の心の育ち切れなかった未熟さの部分から、
無意識に行っている防御反応からの思考パターンだと思う。
前へ前へと進むことで、自分には価値があると思いたがっているのだ。
 
どうすれば「実感して」「自分の言葉」で話すことができるのか。
本を読んだ後、しばらく考えていた。
 
私は平日の朝ごはんは小豆玄米に発酵醤油の卵かけ、そしてみそ汁を食べている。
仕事の都合で昼食をとるのは早くて午後2時過ぎになる。
そのため、朝食はかならず食べている。
 
この朝食メニューはお腹の底から力が湧いてくるようなパワーを実感できるので、もう何年も続けている。
 
けれどふと思いついて、休日の朝は水分と果物だけにして、
朝10時まではごはんを食べないことにしてみた。
 
家にあった夏みかんをナイフでカットし、
分厚い皮を剝き、汁がこぼれるのも気にせずに丸ごと1個ひたすら食べる。
夏ミカンの酸っぱい美味しさが頭の中を空っぽにさせた。
 
半分閉じていた五感が朝ごはんを食べないことで、
薄皮を剝くように少しずつむき出しにされていく感覚があった。
 
食べないことで、思考が頭から腹部へと降りてきて、そして無心になる。
目に入る映像、皮膚感覚がなんだかピュアな感じになり、
心地よく、そして心は静かだった。
 
朝10時までごはんを食べないことで空腹感がもたらす幸せなひとときが、
思いがけず心地よく感じられた。
何でもない日常のこの瞬間にフォーカスすることができて新鮮だった。
 
感覚が研ぎ澄まされてくると時間の密度も変わった。
家事をするにしても集中力が高まっているので、
いつもより綺麗に掃除をしたり整えようとしたり、自然に体が動いていく。
 
ふと布巾を手に取り、台所のシンクの台を拭き始めた。
もくもくと拭き続ける時間。
慌ただしい日常にそんな時間はとれない、そう思っていた。
 
五分間ほどひたすらに拭くと、
普段は気づかなかった隅に溜まった汚れなどが目に留まり、
すみずみまできれいに拭き上げることができた。
心の中の淀みまでがきれいに拭いとれたような清々しい気持ちになった。
 
昼食は娘が作ってくれたチーズハットグとコーヒーを食べて、お腹と同時に心も満たされた。
パンの耳を小さく切ったものを周りにまぶして揚げており、
それがサクサクして、一口一口がとても美味しい。
朝ごはんを食べていなかったせいもあって、より美味しさが増したのかもしれない。
 
そして感覚が冴えると人への想いが
いつもより深くなるような気がした。
 
先日、ある人の家族が病気で倒れたと知った。
その方はもともとしっかりした方なので、その時も気丈に振る舞われていたが、
内心動揺されているのが様子から感じられて、
何か出来ることはないかと考えたが、うまく思いつかなかった。
 
人は特別な事情を抱えている時、心がとても過敏に、そして繊細になる。
何か言葉をかけようとしても、
うまく伝えられないような気がして、言葉を飲み込んだままその日は別れた。
 
そして、今日その方と出会った。
 
私の中で気持ちが前へと動いた。
「○○さん、大変だと思いますが無理されないようにしてくださいね」
 
口から出たのはごくごく当たり前の言葉だった。
相手の方は私をまっすぐに見てそして半泣きのような表情になって、小さく頷いた。
私の言葉が心からの言葉として相手にすーっと届いていった。
 
今まで気にも留めなかった小さな可愛らしい花が、道端に咲いているのが目に映った。
桜はほころび始め、春風が優しく頬を撫でるように吹いていく。
 
心が澄み渡り、今この瞬間を過ごせることが、
こんなにも贅沢で心地よいものなのか、としみじみ思う。
 
休日に朝ごはんを食べないことでリセット時間になり、
私が私で在ることで「今」と向き合い、
出会う人たちや物事とのつながりをこれからも感じていきたい。
春の陽だまりのなかでそう考えていた。
 
 
 
 
***
 
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2023-03-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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