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冒険はつづく。つづくったらつづく。


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記事:信行一宏(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
ポケットモンスター、略してポケモン。
1996年に発売された、ゲームボーイ専用ソフト。ジャンルはRPGだが、一番の魅力は、ポケモンたちを捕まえて、育てることにある。以降、シリーズ化され今もなお、人気に陰りが見えない。初代の赤・緑版の発売から1年後の1997年からアニメシリーズが始まり、これもまた現在に至るまで、子どものいるお茶の間を賑わしている。その人気は、日本だけにとどまらず、「Pokemon」といえば、もはや世界共通語にもなっていると言えるだろう。
 
私は、1989年生まれの34歳。アニメ・ポケモンの初回放映時は9歳で、サトシの設定である10歳とはほぼ同学年。画面の向こうにいるサトシは勇敢で、いつも前向きで、誰とでも友達になって、まさに理想の少年がそこにはいた。ポケモン放映時から、毎週の放送が楽しみでならなかった。残念なことに、当時の私はゲームボーイを持っていなかったため、ゲームのポケモンは遊ぶことができなかった。それにも関わらず、ゲームの攻略本を買って、一日中眺めていた。それぐらい夢中だった。
 
時は流れ、1999年。小学5年生の時。ノストラダムスの大予言は見事に外れた11月中頃。私はついに、念願のゲームボーイとポケモンの2作目である金銀バージョンを購入した。ちなみに銀である。画面の中には、今まで見たことないポケモンたちが動き回っている。夢中になった。狂ったようにのめり込んだ。懐中電灯を持ち込み、布団の中で一晩中遊び通したこともあった。これでやっと、自分もサトシに近づけるような気がした。今まで、サトシの冒険を見ているだけだった私が、ようやくサトシと肩を並べて冒険が始められたような気がしたのだ。
 
中学生になっても、相変わらずポケモンをやっていた。その時は3作目のルビー・サファイアバージョンをプレイしていた。多くの友人たちからは「まだポケモンとかやってんの?」といった、冷ややかな目線があったが、ごく少数の仲間内で盛り上がっていた。何も変わっていないように見えるかもしれないが、当時の私には大きな変化があった。アニメは見なくなったのだ。アニメを見るということが恥ずかしくなっていた時期でもあったからだ。あんなに夢中になっていたサトシとの冒険は、ここで終わってしまった。
 
そして、高校生。もう、ゲームのポケモンはやらなくなっていた。その期間は、ポケモンのことなんて忘れていたと言っても過言ではないだろう。勉強や部活など、ポケモン以外にも夢中になることや、やらなければならないことが増えてきたからだ。サトシとの冒険は思い出すこともないほど、記憶の奥底に眠ってしまった。
 
大学生になって、少しだけポケモンのことを思い出した。初めて買ったポケモン銀バージョンのリメイク版が発売されたからだ。懐かし思い出と、怠惰を極めた大学生の親和性は高く。久しぶりに、ポケモンに熱中していた。しかし、長くは続かない。もう、サトシと冒険していた頃とは違うのだ。ポケモンに対する情熱は、社会に生きる大人として、自分のやるべき日常の中に、溶けて無くなってしまった。
 
それから随分経った。ポケモンとの思いがけない再会が訪れた。私は幼稚園で働いていた。いわゆる管理職だ。といっても、実力で勝ち取ったポジションではなく、いわゆる家業の跡取りというだけの理由で、そのポジションにいた。
あるとき、職員から当時のアニポケの主題歌を、幼稚園の発表会用に編集してほしいという依頼を受けた。その楽曲を聞いた時、眠っていたポケモンの思い出が蘇ってきた。
 
「1・2・3」(After the Rain 作詞作曲:まふまふ)
 
かつてポケモンと、少年時代を過ごした皆さんには是非聞いてほしい。聞けばわかる。楽曲の各所に、ゲームボーイの電源を入れた時の独特な起動音や、作中のBGMなどが散りばめられていて、夢中にポケモンを追いかけていた日々が、泉のように溢れ出してきた。なぜか涙も出てきた。楽曲を聞いて涙したのは、この時が初めてだった。
 
いつの間にか、こんなに大人になっただろう。社会にもまれ、冒険を忘れていた、心にその楽曲は強く、深く染み渡っていった。そして、思い出した。毎日のようにサトシと冒険を続けてきたことを。
 
そこから、私はサトシの冒険について調べてみた。驚くことに、2019年まで、サトシは1度も劇中で最強の存在になっていないのだ。アニメ初回放送から数えて22年。それでも諦めず、ただひたすら研鑽を積んでいたのだ。私はとても恥ずかしくなった。サトシは、めげずにずっと研鑽を続けていたというのに、今の私の姿はなんだ?
 
夢中になること。必死に食らいつくこと。仲間を集めて一緒に楽しむこと。すべて、幼い頃にサトシが教えてくれたことだった。大人になって、どうしてそんな簡単で大切なことを忘れてしまったのだろう。
 
2023年3月24日。ポケモンの歴史の中で、一つの大きな区切りを迎えた。26年もの旅路の果てに、アニメ・ポケットモンスターの主人公を務めてきた、サトシの旅がついに終わりを迎えたのだ。アニメのポケモンはこれからも続くらしいが、サトシの冒険はこの日幕を閉じた。
 
初めて買った、ポケットモンスター銀バージョンは、今でも引き出しのポケットの中に眠っている。内蔵電池も切れてしまって、もう起動することもないけど、そのポケットには確かに思い出が詰まっている。忘れた時期もあったけど、たしかに、私は、ポケモンと一緒に成長してきた。そして、夢中になることなど、人生における大切なことを思い出させてくれたのもポケモンだ。そして、その思い出にはいつもサトシがいた。
私の人生の伴走者であったサトシは、今もどこかで旅をしているに違いない。誰も見ていなくても、あの最終回の続きを、きっとどこかで続けている。
 
だから、私も敗けないよ。
 
 
 
 
***
 
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2023-03-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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