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「相手の見た目が好みじゃない」だから結婚した。


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ハタナカ(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「うーん、ちょっと見た目が好みとかけ離れてるな……」
それが初めて、現在旦那となっている人を見た時の感想だった。
 
23歳の頃、マッチングアプリを始めた。
きっかけは大学の先輩に「マッチングアプリで彼女出来そう」と言われたことだった。
 
マッチングアプリって怖いイメージあったけど、本当に恋人出来るんだ……。
 
興味を持ったので先輩に使っているアプリを教えてもらい、自分なりに色々注意点を調べてダウンロードした。それまで恋愛とは無縁だったので、初めてのまともな恋活にドキドキしていた。
 
……しかし初めてたった2週間、心がほとんど折れていた。
知らない人とやりとりするのはしんどいし、ようやく会ってみた人とも会話が弾まない。
まともに恋愛経験も無い私は、恋愛対象として相手を見るのも見られるのも妙に慣れず、
ドキドキより疲れの方が勝るようになっていた。
 
私には向いてなかったな、もうやめよ。
 
そう思っていた時いいねを貰った。研究をしている同い年の大学生だった。そして冒頭の感想になる。
言っておくが私は見た目への拘りは他の多くの女子よりは薄い方だと思う。
そもそも人をどうこう言えるほど自分が立派な見た目をしていないことも分かっている。
それでも異性として意識する最低基準くらいはあって、その人は残念ながらそれを下回っていた。
 
見た目以外は悪くないけど、異性として好きになるのは無理よなあ。
 
プロフィールを見て多少悩んだものの、結局スルーした。
その翌日くらい、元々マッチングが成立していた人らとの会話がほとんど途切れ、いよいよやめようと思っていた。
アンインストールする前「やっぱ昨日の人と最後に話しとくか、研究の話気になるし」という気分になった。
私は人の打ち込んでいる話を聞くのが元々好きで、異分野の話への興味が勝っていいねを返した。話を聞くだけ聞いて合わなければやめればいい、そんな感じだった。
ところがどっこい、めちゃくちゃ話が合った。
ここ2週間の苦労はどこへやら、初めてとは思えない程テンポよく会話が弾み、lineの交換をし、直接会う約束を取り付けるまであまりにもスムーズに進み過ぎて正直ビビった。
 
これは……もしかしたらもしかする?
 
そんな考えがよぎりつつ、やはりネックは顔だった。人として、友達としてなら間違いなく気が合う。しかし異性として考えると……うーんないかなあ、だった。
初めて会って直接見ても、やはり好みではなかった。私はどちらかと言えば丸顔寄りで目が大きい人が好みだ。でもその人は面長で目も細かった。見事に好みと真逆だ。
 
しかし困ったことにめっちゃ気が合う。
初対面でも会話が弾み、何より気楽でいられた。その後も連絡は途絶えず、電話をし、2回目の会う約束をして食事をし、その後も連絡をし……流れで言えばこの上なく順調だ。それなのに、どうしても恋心は生まれない。
どうしようと悩んだ末、3回目に会う時に相手から付き合う提案をされればその時考えよう。そうでなければもう連絡を取り合うのをやめよう。そう決めた。
 
そして3回目に会った日、どうなったかというと……無事向こうから付き合うことを提案された。付き合うことになった時、遠慮がちにこうも言われた。
「でも正直、気が合うとは思ってるけど、好きかと言うとそういうわけじゃなくて……」
そう言われて私はむしろホッとしたのを覚えている。
「私も正直好きではないけど、まあ合わなかったらその時は別れればいいだけだし」
「……まあ、そっか。うん、そうだね」
そんなわけでお互い好きではない者同士で付き合うことになった。
 
付き合ってすぐの1ヶ月は向こうが修論追い込みが忙し過ぎて全く会えず、3ヶ月後には私の就職の都合で片道3時間の遠距離となった。
しかも向こうが土日祝が休みなのに対し、私はほぼ平日休みで、本当、全く会えなかった。月に1回、私が平日に2連休を取って会いに行く程度。旅行はおろか、昼間にゆっくり過ごすことなんてのも片手で数えられる程度だった。
 
それでも続いたのは、元々そんなに好きじゃなかったというのが大きいと、結構本気で思っている。
確かに付き合い始めてからはそれなりに意識するようになり、ドキドキする気持ちが無かった言えば嘘になる。
ただそれでも相手に求めるハードルは低く、一緒にいなくても執着心はさほど強くない為悩むことはあまりなかった。特に用事がなければ1週間連絡が途切れることも珍しくなく、でも電話で話す時や直接会う時は心から楽しいと思える。その温度感が居心地良かった。
 
もし居心地悪くなれば、その時は別れればいいしな。
 
これが最初の基本スタンスだった。それが明確に変化したのは付き合って10ヶ月経った頃だった。
私が仕事でメンタルをやられ1ヶ月弱休職し、初めて1週間ほど毎日会える生活をした。
それまでは一緒にいなくても楽だから付き合っていたが、毎日会えるというのは妙に落ち着き、そして良いなと思えた。
すると急に毎日のように会っている世の中のカップルが羨ましくなった。復職場所が片道4時間の場所に決まったのもあって、その気持ちは一層強くなった。
何となく、しかし明確に、結婚してもいい気持ちになってきた。
それでもただ一つだけ心につっかえがあった。即ち「顔が好みじゃない」ということを打ち明けていないことだ。
ここまでくれば顔の好み云々は付き合う上で重要ではない。別に打ち明けなければいけないことでもない。
ただ折角前向きな気持ちになってきた中で、恋愛関係で重要になりがちなことを秘密にしているのは何となく罪悪感があった。
 
でも伝えるタイミングを間違えれば、傷つけてしまいそうだな……。
 
相手と気まずくなる想像を随分して、悩みながらも自然と言えるタイミングを待った。
そして復職する直前くらい、何となく駄弁っていた時にさらっと伝えてみた。
「正直顔はそんな好みかと言われると、うーんってとこはあるかなー」
会話の流れで出来るだけ冗談っぽく、そしてふわっと伝えた。
すると、
「まあかっこよくない自覚はあるからねー。それに僕の方も別に顔は好みとは違うしね」
…………。…………ん?
「え、まって。私の顔好みじゃないん? アプリでそっちからいいねしてきたのに?」
予想外の返答に私の方が衝撃を受けてしまっていた。
「好みではないなーと思ったけど、院生で研究してるっていうのを気になったのが最初だった気がする」
さらに衝撃を受けた。
付き合う前の頃、「気が合うけど好きじゃない」が同じだったのは聞いていた。
でもまさか、「見た目は好みじゃないけど研究してるっていうのが気になった」というとこまで同じなのは初耳だった。
顔が凄く好みだったけどゾッコンになり過ぎて酷いフラれ方をしたという元カノの写真を見たら、私と顔の傾向と全く違った。
 
顔が好みじゃないの、私だけじゃなかったんだ……。
 
胸のつっかえがようやく全部取れた気分になって、傷つくどころかむしろ私は安心すらしていた。
 
そんなわけでそこから約1年後、無事籍を入れた。
結果だけ見れば「顔が好みじゃない」と言われたことが結婚した理由の一つとなっている。
それでも今のところ問題なく過ごせているので、結婚の理由は本当人の数だけあるのだろうなと身をもって実感している。
 
 
 
 
***
 
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2023-04-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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