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「技術力」とは何だろうか? そして、今後求められる技術力とは?
~技術力に関する一考察~


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:佐伯勇輔(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「最近は、昔と比べ、技術力が落ちてきている」
そんな話を、私の業界では、よく聞く。
「技術力」とは何だろうか。
 
辞書から、「技術力」の定義を引いてみよう。実用日本語表現辞典では、「手段や手法などを用いて物事を成し遂げる能力」とある。辞書より、技術力が高い人とは、困難な状況でも突破する能力がある人物と考えられる。
 
しかし、技術力は、業界によって意味が異なるだろう。ライターであれば、人を惹きつける文章をかけることだろう。製造業であれば、精巧な部品を作れることや図面どおりに正確に製作できることだろう。
 
優れた技術力を持つ人材は、引く手あまたである。なぜなら、その技術力のすべてを、マニュアル化することができないからだ。仮に、マニュアル化できたのであれば、誰でも人を惹きつける文章を書くことができ、精巧な部品を作れることになる。そうなれば、そのような作業に必要な技術力は不要となる。つまり、技術力とは、「マニュアル化できない何か」であると思われる。
 
プロの料理人と素人を分ける大きなポイントは、「マニュアル化できない何か」にある。両者とも卵焼きレシピや調理法は知っているけど、プロと素人では味が大きく違う。この違いには、「マニュアル化できない何か」が潜んでいる。同じ塩や卵の分量を使い、同じようにフライパンに油を引いて調理したのに、味は全然違う。両者とも美味しいのだが、何かが違う。何が違ったのか。
 
プロは様々な材料の状態に合わせた調理をしている可能性がある。卵一つとっても、すべて同じではない。黄身と白身のバランスやそれに応じた塩の量、火の入れ方など、調理におけるノウハウがある。じゃあ、それをマニュアル化できれば、より多くの素人がプロ顔負けの料理を提供できるようになるはずだ。
 
しかし、よく考えてみると、一部そのようなことは行っているだろうが、すべてを行うのは難しい。大量のパターンがあるため、一つ一つのマニュアル化が難しい可能性が高い。卵の状態から調理器具の性質、塩の種類等の組み合わせをすべてマニュアル化をすることが難しいだろう。
 
もう一つの例として、私も所属している建設業界の例で挙げよう。建設業界も他の業種と同じように、外注により仕事を進めることが多い。様々な技術的な検討は、コンサルタントが行い、その結果を精査しながら建設工事を進める。
 
「技術力が落ちた」という例でよく引き合いに出されるのが、コンサルタントの成果を鵜呑みにした担当が上司に報告した際に、現在の現場状況からは到底不可能な提案だったり、技術的におかしな設計だったという例だ。つまり、コンサルタントの成果に対して、技術的な精査ができない職員が増えたということである。
 
この問題について、もう少し具体的に考えてみる。まず、マニュアルや基準等を参照しながらコンサルタントの成果を確認していなかった可能性がある。これは、ただ単に技術力の問題ではない。基本事項が守れていないだけだ。
 
または、マニュアルや基準に基づくものであったとしても、現場状況等によって技術的に不可能だったケースである可能性がある。これは、技術力の問題かもしれない。建設現場は地質や地形等の条件が異なるため、いわゆる一点モノである。それゆえに、マニュアル化は難しく、経験がものを言うケースが多々ある。つまり、この点が建設業界の技術力と考えられる。
 
やはり、技術力は、「マニュアル化できない何か」であると思われる。それでは、優れた技術力を培うためには、何をすれば良いのか。答えは、経験値を積むしかないということだろう。現在、終身雇用を前提としない社会になりつつあり、積極的に、様々なことにトライをしていく姿勢が求められる中、「技術力」は他人との差別化を図る大きな要素だ。
 
一方で、技術力の考え方・あり方も技術の進歩で変化していく。不要になる技術力もあり、新しく求められる技術力もある。無人改札機が整備されたことにより、切符を切る駅員は不要になった。切符を切るという技術が不要になった訳だ。これまで単純労働と思っていなかったことが、機械に代替される。例えば、議事録を作成し、それを要約することも携帯アプリで代替されつつある。単純作業ではなく、ある程度テイラーメイドに行う必要があった作業も技術の進歩により不要になりつつある。
 
それでは、新しく求められる技術力とは何であろうか。先ほどの定義に戻るとやはり、「マニュアル化できない何か」である。AIをはじめとする、技術の進化でマニュアル化できる範囲が拡大している。
 
では、今後「マニュアル化できない何か」とは何だろうか。「組み合わせ力」ではないだろうか。全く異なる分野の要素を組み合わせる。既存のモノ・コトを、他の分野を知識を組み合わせてアップデートする力だと推測する。近い将来、ある特定の分野での既存の成果から最適な解決策を探し出す能力は、AIに代替されると思われる。しかし、異分野との組み合わせによる成果は、予測が難しく、正解がない。そんな発想力が「マニュアル化できない何か」になるだろう。
 
 
 
 
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2023-04-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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