メディアグランプリ

50人でキッチン・トイレ・バス・ランドリーの共用生活を1年してみて


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:古川 実花(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
春。新生活。環境を変えたい。
そう思って引っ越したシェアハウスに住んで、まもなく1年が経とうとしています。
 
「家に常に誰かいるんやろ?私には無理」
「水回り共用っていうのがな……。ゆっくりお風呂も入られへんやん」
「住んでる人に嫌いな人おったらどうするん?」
 
たしかに合う・合わないはあると思います。
1年住んでみた私が思うのは「この生活じゃないと無理」です。
 
 
50人でのシェアハウス、と聞いて頭の上にはてなが浮かぶ方も多いと思います。ここではテラスハウスのようなものではなく、ちょっとおしゃれな社員寮をイメージしてみてください。5階建てで、1階に共用のラウンジとキッチン。ラウンジには大きなビリヤード台やソファ、テレビが設置されており、キッチンはアイランド型で、3口のIHコンロが4つ置かれた広々空間。各階には一人部屋が10室程度あり、一人あたり4畳半の長方形の空間が与えられています。ちなみに水回りは部屋に一切ありません。顔を洗うにも歯を磨くにも各階にある共用の洗面台を使います。
部屋に水回りがないため、ここまで読んで「無理だ」と拒否反応のあった方もいるかもしれません。ただ、部屋に水回りがないからこそ部屋から出る必要があります。つまり、共用部を使わざるを得ない時間が長いからこそ、ハウス内の交流機会は多くなります。
 
そもそも、住んでいる人はどうしてこの家を選んでいるのでしょうか。その目的でみると主に3つに分けられます。
 
ひとつ。コロナ禍で人とのコミュニケーションが減り、交流したかったから。
ひとつ。駅近で、交通の便がよかったから。
ひとつ。初めての一人暮らしで、初期投資が抑えられるから。
 
多くは1つ目の理由で住みます。ただ、2つ目や3つ目の理由を主として住む方もいます。そういう方だと、1年住んでいて1回も会ったことがない、また1回も会わずに物件を退去されたこともあります。
 
私がこの暮らしを選んだ理由は、3つとも全て当てはまるのですが、決め手となった感情は「人のいない家に帰るのが嫌」というものです。
 
想像してみたんです。残業で帰りが遅くなった日。疲れてお腹も空いていて、とりあえず早く家に帰りたい。
そうして家に帰ると、部屋は真っ暗。電気をつけて、誰もいない空間に荷物をどさっと置いて、疲れた身体でひとりご飯の用意をする。
この状況に私は耐えられるか。いや、耐えられない。
 
実家暮らしなら、まず家の電気がついています。そして、「おかえり、遅かったね」という声掛けがあります。たとえ親が寝ていたとしても私の分のご飯がラップにかけられてあて、一人分が机の上に置かれています。
 
とにかく、真っ暗な部屋に帰ることが嫌。
いまどき、家に帰る直前にリモートで電気をつけることもできる時代ですが、私は人の気配のある家に帰りたい。
 
これが今の家を選んだ最大の理由です。
そして、その想いは無事に叶いました。
 
たとえば、4月3日の月曜日。
人事の仕事をしており、この日は入社式。式の司会に研修講師としての登壇。しかも転職してまだ3ヶ月のため、自社の勝手もまだわかっていない中過ごした1日でした。
残業も入社以来、一番長くなってしまい、気持ちが落ち着かず食欲もわかず。でも何か食べないときっと明日持たない。レトルトカレーだけでも食べようかと明かりのついた共用のラウンジに入ります。
 
「ただいま」
「おかえり」
 
「今日いつもより遅いな」
「今からご飯なん?」
「おつかれ」
「きんぴらごぼう、食べる?」
 
既に事情を知っている人たちからも声がかかります。
 
「入社式おつかれ!」
「まじで研修講師できんのすごい。私にも教えて」
「私も今日異動初日で、残業したわー」
 
これらの言葉に疲れも吹き飛び、明日からの活力をもらえています。
 
さらに、嬉しいことに当初の目的を果たせただけでなく、シェアしてみんなハッピーになる、いわゆるシェアハピの精神が身につきました。
 
1パック買ったけど食べきれないイチゴ。
夏に福引で当てた20束の高級素麺。
卵アレルギーの人でも食べられるみんなへのお土産。
 
そして、ほぼ毎月ある誰かの誕生日会。
どんなものがいいだろうと、プレゼントに迷う幸せな時間。誕生日を祝い、おめでとうとありがとうを言い合う時間。
 
人は「ありがとう」を言われるために生きている、と何かで聞きました。
挨拶とありがとうがあふれた生活は心理的にも良いそうです。
 
 
「家に常に誰かいるんやろ?私には無理」
夜中にドライヤーが壊れたとき、LINEして3分後にはドライヤーが借りられる、ありがたい環境です。
 
なんでも一人でできる、一人でも生きられると錯覚させられる時代。
でも、一人でやるより、誰かと一緒にした方が楽だし楽しい。
一人でいるより、誰かといる時間の方が心安らぐ。助け合う暮らしが日常化した今、一人暮らしなんて、私には無理です。
 
 
 
 
***
 
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2023-04-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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