最後に涙を流した日
＊この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか？賞を取れるのか？プロも通うのか？〜
記事：万年ひとり（ライティング・ゼミ4月コース）
世の中には2種類の人間がいる。
歳を重ねるにつれて涙脆くなる人間と、歳を重ねるにつれて涙が一滴も出なくなる人間である。
これを読んでいるあなたはどちらだろうか？
私はと言うと、間違いなく涙が枯れ果ててしまった方の人間である。
幼いころは何かにつけて泣きべそをかく、いわゆる泣き虫だった。だが、いつの間にか涙を流すことはなくなった。最後に泣いたのはいつだったのだろうか。
なお、玉ねぎを切っていて流した涙はカウントしていない。
ここで私が言っている涙とは「情動の涙」というヤツだ。
世の中には2種類の人間しかいないが、実は涙は3種類ある。
1つ目は「基礎分泌の涙」
これはドライアイを防ぐためのもので、目の表面を潤すために常に少量ずつ流れている。人間だけでなく、目を持つ生き物は、犬も猫もみな同様である。
2つ目は「防御反射の涙」
これは目を異物から保護するために流す涙で、目にゴミが入ったときや玉ねぎを切っているときに流れる涙がこれに分類される。玉ねぎを切っていて流した涙をカウントしていないのにはちゃんとした理由がある。
そして3つ目が「情動の涙」である。
この涙は、心が強く揺さぶられたときに流す涙だ。自分の中で感情が湧き上がったときや、相手の気持ちに共感したときに流す涙だ。
そして人間だけが流す涙でもある。
ペットが飼い主の心を理解することはあるかもしれないが、人間の想いを汲み取って泣くことはない。つまりこの「情動の涙」とは、人間だけに許された特別な涙というわけだ。
そしてこの涙は実は、人生経験が豊富な人ほど流しやすい。
考えてみれば当然だ。長く生きていても涙を流すほど感情が湧き上がる瞬間はそんなに多くないだろう。親しい人や家族が死んだときや、何年も必死に準備してきたことが失敗に終わったときの悔し涙くらいなものだろう。感極まったときなど、他にもあるかもしれないが、いずれにしても頻繁に流す涙ではない。
となれば、情動の涙とは相手の気持ちに共感して流す方が圧倒的に多い。ここで言う共感の対象は、現実の人間だけでなく、映画やドラマ、漫画といったフィクションにも当てはまる。
大人が観て泣いた映画を小学生が観てもきっと泣かない。出会いと別れ、栄光と挫折など、様々な経験をしてきた大人が観るからこそ、共感できるポイントが多く生まれて、感情移入して、その結果として涙を流すのである。
これを読んでいて、涙を流すことのできない自分は経験不足なのではないかと、不安に思った人もいるかもしれない。
だが、そこは安心してほしい。
そういった人は涙をコントロールする脳の機能が非常に強いだけかもしれない。もちろん、本当に経験不足の可能性もあるが……
さて、ここまで3種類の涙について簡単に触れてきたが、一つだけ流すことでストレス解消になる涙がある。勘の鋭い人ならもうお気づきだと思うが、3つ目の情動の涙である。
副交感神経がどうとか、コルチゾールがどうとか、小難しい話はここでは避けるが、大泣きした後に心がスッキリする経験をしたことある人も多いのではないだろうか。
泣くことでストレスが解消されると、だいたい2～3日程度はスッキリした気持ちが続くともいわれている。
世の中に無数に出回っている「泣ける」映画で自分が泣けるとは限らない。やはり、共感できないことには情動の涙は出てこない。だが、せっかくなのだから、自分の「心の琴線に触れる」ものは何なのかを探し出し、涙を流し、心のデトックスをしてみてはいかがだろうか。
完全に終わる流れだったが、私が最後にいつ涙を流したのかをまだ言っていなかったので、最後にその話をしようと思う。
私が最後に涙を流したのは……
昨日だ。
私は昨日、間違いなく情動の涙を流した。数年ぶりに流した。
漫画「キングダム」を最新話まで読み返して、それはもう驚くくらい大粒の涙を流した。
涙が勝手に溢れ出して、止まらなかった。まだ単行本にもなっていない本誌の話なので、内容について何も触れられないのが辛くてたまらないが、あの男の、あの男たちの人間味に触れてしまって、心のダムの決壊を防ぐのは不可能だった。この文章を書いている今も、思い出して泣きそうだ。漫画を読んでいて、目がウルウルすることはあっても、はっきりを涙が頬を伝ったのはこれが初めてかもしれない。
キングダムを未読の人は何の話なのか分からないだろうが、私から言えることは一つだ。いや、これを伝えたいがために、この文を綴ってきた。
最近涙を流していないな、と感じている人は今すぐキングダムを全巻買って読んだ方がいい。そう感じていない人もぜひ読んでほしい。この漫画の累計発行部数がまだ1億部も突破していないなんて、にわかには信じられない。全人類必読だ。
最高にアツくて、カッコよくて、クールな男たちがあなたを待っている。そしてその男たちの勇姿に、あなたは間違いなく「情動の涙」を流すだろう。
＊＊＊
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか？賞を取れるのか？プロも通うのか？〜
お問い合わせ
■メールでのお問い合わせ：お問い合せフォーム
■各店舗へのお問い合わせ
＊天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね！」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
■天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL：03-6914-3618／FAX：03-6914-0168
営業時間：
平日 12:00〜22:00／土日祝 10:00〜22:00
＊定休日：木曜日（イベント時臨時営業）
■天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠２階
TEL：092-518-7435／FAX：092-518-4149
営業時間：
平日 12:00〜22:00／土日祝 10:00〜22:00
■天狼院書店「京都天狼院」
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL：075-708-3930／FAX：075-708-3931
営業時間：10:00〜22:00
■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間：10:30〜21:30
TEL：03-6914-0167／FAX：03-6914-0168
■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」
〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間：9:00～22:00
TEL：029-897-3325
