メディアグランプリ

縁切りスポットを目の前にして私がとった行動


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記事:溝口弘子(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「縁切りの神社だったら○○」「あのお寺は縁切りで有名」「縁切りだったらあの場所」と、日本には何かしらの縁切りスポットが存在する。
 
私は趣味で神社仏閣を巡りだして20年を超えるマニアであるが、これまで「縁結び」(仕事の)にはいくつか訪れたものの、「縁切り」スポットにはフラグが立たなかった。
「縁切り」という言葉になんだか抵抗感があり、特に縁を切りたい人もいなかった。というわけで「縁切りスポットなんて自分には無縁だわ」と思っていた。
 
しかし、人生、何がきっかけで考えが変わるか分からない。
昨年、職場の異動と同時に責任あるポストにつき、いわゆる中間管理職あるあるの膨大な仕事の量と高い質を求められる毎日で眠れない日々も重なり、上下の人間関係にもしっかり疲弊していた。
 
ある日「このままでは自分が保てない。そうだ、旅に出よう」と、東北に行くことにした。
その時はまだ「縁切りスポット」は頭になかった。単にリフレッシュのための旅行計画だった。
やはり疲れた時や傷ついた時は北に向かってしまうのは日本人には演歌の血が流れているからなのか。例えば失恋して太陽の光が降り注ぐ南の島に行くイメージは、私の中にはない。
 
また、旅の計画は人の気持ちを少し上向かせる効果はあるらしい。
「この東北旅行までは事故にあったり病気で入院しないようにしよう」と、健康面や交通事故にも細心の注意を払い、栄養ドリンクを飲みながら仕事をこなしていった。
そんな中でも相変わらずエンドレスな仕事量と人間関係に振り回されっぱなしではあった。
私にとって疲れのピークのバロメータである過敏性腸症候群もやってきた。
 
そんな中、いよいよ東北旅行へ出発する前日の夜、ふと「縁切り」という言葉が浮かんだ。そして縁切りスポットを検索したところ、すぐに見つかった。
日本の各県に縁切りスポットはなぜかあるのだ。よっしゃ、ここで縁切りの願掛けをしてみよう。すぐに叶うなんて思っていないが、とりあえず願掛けだ、と変な勢いがついた。
よし、しゅっぱーーつ!
 
翌日、東北に到着してレンタカーを借り、最初に予定していた普通の観光スポットを散歩してリフレッシュ。そしていよいよお目当ての縁切りスポットへ30分ほど車を走らせた。
 
17時を回ったころ、現地に到着。そのスポットがある海の近くの駐車場にとめる。
夕方のせいか、50台くらいとめられそうな駐車場には車が1台もない。なんだか寂しい感じ。風も出てきて肌寒い。昼間はそこそこ観光客もいるのだろうが、夕方ともなると人が全くいない。
 
目指す縁切りスポットは駐車場から歩いて3分くらいなので海を見ながら歩く。
しかし、日暮れも近くなり肌寒いせいか海が切ないく見えて、なんだか寂しいを通り越して悲しい感じがする。
そんな事を思っていたら、縁切りスポットに到着。
スポットの周りには古い石仏が数体あり、向こう側には鳥居が少し見える島がある。
 
なぜか直感で立ち止まってしまう。
ここに願掛けをするために来たのだが、スポットを目の前に5分ほど立ち止まってしまった。
波の音しか聞こえない夕暮れ時。寂寥感が襲う。
 
あれ、なんか、違う。
違うというのは、想像していた場所と違うとかではなく、自分が今からやろうとしていることに対しての「違う」という気持ち。
 
もし、私がここで願掛けをして、それで気になる人達と縁が切れたとしても、それは本当に自分が心から願っている事なのか? 現状から逃げようとしているだけではないか。
 
そして、もし、私の縁切りの願掛けが叶ってその勢いで現在良い関係ができている他の仲間との縁もついでに切れてしまったりしないのか? と、様々な妄想が一気に暴走していった。
 
しばらく縁切りスポットの前で思案した結果、私がとった行動は、スポットに向かって
「えーっと、仕事も人もしんどい現状ではありますが、縁を切らずともほどほどにそこそこの距離感をとって何とかやっていける感じでよろしくお願いしますー。ぶっちゃけ嫌なことは嫌なんですけど私ももうちょっとふんばってみますー。ただ、今のチームメンバとのご縁は大事にしていきますー」と、どっちつかずの宣言のようなことを声にだして言っていた。
辺りも薄暗くなってきたので、宣言した後はさっさと駐車場に戻って車のエンジンをかけた。
 
今振り返ると、東北の海の近くまで行ったあの時間は何だったのだろうと思うが、あの思いは現地に行かないと浮かばなかったのだろう。
 
旅行から帰ってきて、相変わらずいろいろな人に揉まれて心身ともに疲弊しているが、尊敬する上司に言わせるとそれは「成長痛」らしい。
もし、今の私が成長する機会をいただいているとしたら、縁切りスポットで成長の機会を捨てることになったのかもしれない。成長しないまま年齢を重ねてもいつかまたきっと同じような事に躓くだろう。
だったら、今の成長痛がおさまるまで進んで行くしかない。
でも、やはり今の仕事や人間関係の距離は少し空けていただくと助かります、神様。
 
 
 
 
***
 
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2023-05-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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