メディアグランプリ

過疎化問題を解決へ導く、地元を愛する力

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:堀部佳野乃(ライティング・ゼミ 2月コース)
 
 
わたしは幼い頃から父の仕事の関係で、県をまたいでの引っ越しが多かった。
俗に言う、転勤族である。
だいたい4年ごとに引っ越しのタイミングが来るため、これまでに住んだ場所は5か所以上。
22歳にしては、都会から田舎まで多くの土地経験がある方だと思う。
正直言って、自分の故郷がどこなのか未だわからないのだが、転勤族だからこそ気づけたことも多くあるため、それをみなさんに共有したい。
 
小学生の頃に、相当な田舎に住んだことがある。
通っていた学校の生徒数は100人にも満たないため、全校生徒と友達であった。
また、学校に行くには徒歩で山道を30分以上。
猿や鹿などの野生動物と遭遇するのは日常茶飯事。
 
そんな田舎へ引っ越してきて間もない頃に、わたしは学校の放送係になった。
放送係は給食時間にラジオのような放送を行うのだが、そこで自分が考えたクイズを出すコーナーがあった。
わたしは、どんなクイズにしようかと一生懸命考えた。
考え抜いて思いついたのは、地元の県にある水族館に関するクイズ。
田舎へ引っ越して来る前に、友達がわたしが引っ越す場所にちなんだ本をプレゼントしてくれたのだが、そこに描かれていた、実在する地元の水族館の看板動物の名前をクイズにしようと決めた。
 
これは楽しんでくれるぞ! と 意気込んでクイズを出題したわたし。
 
しかし、放送後に周りから
「今日のクイズ、全然意味がわからなかった」
と言われた。
一生懸命考えたクイズだったため、とてもショックだったのだが、それよりも地元の人たちが水族館のことをほとんど知らないことにとても驚いた。
だって本にもなっているくらいだから、地元の人は当然知っていると思っていたから。
 
このように地元民よりも外部から訪れた人の方が、その土地に詳しいというのはよくあることである。
 
わたしより後に引っ越してきた友達がいたのだが、その友達は毎週末に必ず家族で出かけていた。
だからなのか、地元のことや、その周辺地域の観光スポットについて、わたしの何倍も詳しかった。
もちろん地元民よりも。
 
先日、父が言っていた。
とある田舎に出張で訪れたとき、タクシー運転手の方に
「そろそろゴールデンウィークが近づいてますけど、観光客とかが増えたりするんですか?」
と尋ねたら、
「帰省で帰ってくる人くらいしか来ないよ。ここらへんは何にもないからね」
という答えが返ってきたそう。
 
それを聞いて父は、地元民があきらめてたら、若者がその場所で夢をもてないのも当然だよな、と思ったらしい。
 
わたしがかつて住んでいた田舎でも、地元の人たちが
「ここには何もないから」
とよく言っていたのを覚えている。
 
長年そこに住んでいる若者はみんな
「早くここを出て、都会に行きたい」
と、地元ではない別の場所に夢を抱いていた。
さらに大人でさえも、娯楽は2時間かけて行く近隣の都市でしかできない、というような顔をしていた。
 
わたしは現在、引っ越しも落ち着き、福岡の箱崎という場所に住んでいる。
今年で移住してから8年目になるため、今まで住んだ場所では最長記録だ。
最初に箱崎に来たときは、快速電車も止まらない、がらーんとした駅を見てショックを受けたのを覚えている。
まだ子どもだったわたしは、福岡はどこも天神や博多のような、オシャレな街並みが広がっていると勘違いしていたから。
 
そのイメージがしばらく消えず、箱崎のことをずっと天神や博多と比べていたため、なかなか自分が住んでいる場所のことを好きになれなかった。
しかし、あるときサイクリングにハマり、せっかくなら箱崎を探検してみようとしたことがある。
その時に、箱崎について調べてみた。
すると、箱崎は「博多最後の下町」という誇りをもって、放生会という大規模な福岡のお祭りでも有名な筥崎宮の荘厳な雰囲気を大切に、地域活性のための取り組みを積極的に行っていることを知った。
昔ながらのお店はもちろん、若者が誘致した器や織物のお店など箱崎の風土を継承するようなお店や、インスタ映えするようなオシャレなカフェなどもある。
また月に一回、それらのお店が集まって、箱崎についてもっと知ってもらおうと、箱崎駅前でイベントを行っている。
 
相変わらず、箱崎駅に快速電車は止まらない。
だけど、わたしは箱崎のことを知れば知るほど、箱崎のことを好きになった。
 
最近は、地方の過疎化や高齢化が問題になっている。
それらの問題を解決する第一歩になるのは、もしかしたら、まずは地元民が自分の住んでいる場所を愛することから始まるのかもしれない。
 
愛するには、自分が住んでいる場所について知ることが大切だ。
ないものねだりで他の土地を羨む気持ちもわかるのだが、長年住んでいて地元について知ろうとする好奇心を忘れてしまうのはもったいない。
 
もし今あなたが、自分が住んでいる場所に不満があるのなら、まずは地元についてググってみたり、グーグルマップを開いて近くのお店を探してみたりしてはいかがだろうか?
意外な発見があるかもしれないですよ!
 
 
 
 
***
 
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2023-05-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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