メディアグランプリ

図書館というタイムマシンに乗って、私がたどりついた場所


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:鈴木 洋子(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「こんなところにこの冊子があったんだ!」
30代前半の転職活動中、地域の情報や講座、転職先のヒントを探しに行った図書館で、私はある冊子を見つけた。
 
私はこの先どんな仕事がしたいんだろう?
前職を辞め、休養期間を設けた私は、旅行に行ったり、転職フェアに行ったり、スキルアップ講座などに通ったりしながら、将来について模索していた。
 
私は、愛知県の稲沢市というところに住んでいる。古代、尾張国の国府が置かれ、歴史のある市である。私の住んでいる地区は、田畑などの自然が多く、日用品などの買い物ができるお店も適度にあり、生活しやすいところである。政令指定都市である名古屋市から電車で10分圏内にあり、程よく田舎で程よく都会にも近く、私は住みやすい街だと思っている。
子どもの頃は、地元のお店で家族と一緒に日用品や服などの買い物をしていた。大学以降は、名古屋市内に通学、通勤していたため、一人で仕事帰りに名古屋駅で買い物をすることが多くなっていた。
 
前職は電車で名古屋駅を経由して通勤していたが、退職して名古屋駅までの定期券がなくなったため、地元の稲沢市内で買い物をする機会が増えた。
子どもの頃よく行っていた地元のショッピングセンターで久しぶりにゆっくり買い物をしながら、店内を一周してみると、空きテナントが3軒ぐらいあった。商店街のシャッター街化は日本全国で問題になって久しいが、私の地元では、ショッピングセンターのシャッター街化がまさに起こっていた。
子どもの頃、そのショッピングセンターは小さなお店がひしめき合っていた。家族と日用品や服などを買いに行ったり、友達と文房具を買いに行ったり、賑やかな憩いの場だった。
 
子どもの頃は、市におそらく2つしかなかったショッピングセンターが、今は4つに増えた。周辺の都市にも新たにショッピングセンターができたり、名古屋駅周辺も再開発がされたりして、人が流れて行ってしまったのだろうか。
地元で買い物をしなければ、子どもの頃に賑やかだった地元のお店が廃れていってしまう、という危機感を覚えた。
私は、転職先の候補として、稲沢市の魅力を伝える仕事、街おこしにつながるような仕事がしたいと漠然と思った。
 
稲沢市周辺では、地域の観光情報やお店のクーポン券が載っているフリーペーパーが毎月発行され、家のポストに入っている。この冊子のように、観光情報、地域の人々、企業などを紹介するガイドブックが作りたい、と思った。魅力的な企業がたくさんあるので、色々な人に紹介したい、子どもたちや、私のように就職活動に迷っている人にも伝えたいと思った。
 
何か参考になる本がないかと、稲沢市の図書館に行った。市史関連のコーナーで順番に背表紙を見ていった。地域の企業を紹介する本として私のイメージしていたものに近い冊子があった。それは、市のとある中学校の「職業体験」の感想文集だった。会社の名前、仕事の説明、社員さんたちの様子が、中学生の言葉で分かりやすく表現されていた。
 
そしてもう1つ、見覚えのある冊子があった。それは、私が中学3年生の時に参加した「稲沢市子ども議会」の感想文集だった。「稲沢市子ども議会」とは、稲沢市の7つの中学校から5~8名ずつ選ばれた合計約50名で、市の議場を使用して、20年後の稲沢市について議題提起していくものだった。
その冊子は、議会終了後、参加者に配付され、家にもあったのだが、進学の過程で自室の本棚からいつのまにか行方が分からなくなっていた。
 
自分の感想文が書いてあるページを開いて読んでみた。
冒頭に、議会のメンバーに選ばれた経緯が書いてあった。卒業文集にもその議会に参加したことを書いていて、中学生活の中で特に印象に残っていたできごとだったのだが、メンバーに選ばれた経緯は忘れていた。
 
当時、私の通っていた中学校では、国際交流に力を入れていて、授業で書いた国際交流に関する作文が評価されてメンバーに選ばれた、と書かれていた。私は、中学2年生のときに先生に勧められて、同じクラスの仲の良かった友人と一緒に、学校同士が交流のあったアフリカ大陸のジンバブエ共和国の中学生と英語で文通をしていた。辞書で調べて悪戦苦闘しながら便せんに英語でメッセージを書いて手紙交換をし、遠く離れた海外に友達ができたこと、異文化に触れる楽しさなどをその作文に書いたことを思い出した。
 
議会では、私たちの学校は、20年後の稲沢市の国際交流について、議題に挙げた。当時1999年ごろは、今ほどインターネットは普及しておらず、スマートフォンもない時代である。
稲沢市に国際交流センターを作ったり、外国の人が住みやすい街づくりをすすめていきたい、という内容を中学生なりにメンバー7人で話し合い提議文を作成した。小学5年生の時、ブラジルからおそらく親の仕事の都合で来日した男の子が転校してきたが、彼も私たちクラスメイトも言葉が通じない部分でお互いの意思疎通ができず、うまく関係を築けなかった場面があったことも思い出した。
 
久しぶりにこの冊子と再会したのは、まさにその議会で提議した20年後だった。タイムマシンに乗ってやってきた20年前の中学生の自分が、将来の行く先を悩んでいる今の私に光を照らしてくれているようだった。
 
そして、この冊子は、その議会のメンバーに選ばれたきっかけになった作文について、思い出させてくれた。私は読書感想文が苦手で、いつも夏休みが終わる直前に苦しみながら書いていた。気持ちを文章にまとめるのは苦手だと思っていたが、文章を書いて認められたという原体験がそこにあった。
 
社会人になってから、仕事で議事録などを書く機会があり、要点をまとめて分かりやすく書く作業は、経験を重ねてすらすらできるようになった。しかし、思いを相手に伝わるようにまとめる、ということにはまだ苦手意識がある。
 
転職活動をきっかけに、今回の20年前の冊子に再開したできごとを始め、偶然なのか必然なのか、過去の点が線につながるタイミングが重なった。不思議な体験が多く、この不思議な体験を書き留めたい、だれかに伝えたいという気持ちが強くなっていった。
 
10ヵ月の休養期間を経て、ようやく転職先が決まった。街おこしに直接つながる仕事ではないが、自分の興味のある分野・商品のものづくりに関する仕事にめぐり合うことができた。業務をしていくなかで、さらに商品の魅力をアピールするため、チラシを改善していきたいという気持ちが芽生えてきた。チラシ作成のビジネス書などを参考にして作成しているが、よりお客様の興味を引く文章が書けるようになりたいという気持ちが湧いてきた。
 
そして、転職活動に模索していたときから5年後、私の目の前に再びタイムマシンがあらわれた。私は今、「天狼院書店」という書店の文章講座「ライティング・ゼミ」に通い、魅力ある文章の書き方を学ぶ、今までの不思議な体験を書く、という未来に立っている。
 
 
 
 
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2023-05-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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