メディアグランプリ

大願成就を果たすために1時間かけてすること


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:古川 実花(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「……長すぎん?」
 
隣で手を合わせ、目を瞑り続けている友人をうっすら横目に見る。
1分くらい経っただろうか。これが普通なのか切実な祈りなのかはわからないが、彼に合わせて神様に言うことをもうちょっと考えねば。
 
同じことを後20回はするのだから。
 
 
 
ドイツ留学中に出会った一回り年上の彼は、7年会わないうちに台湾でとってもエライ人になっていた。
世界中のメディアからも取材を受け、大袈裟ではなく、世界平和のために仕事をしていたのだ。
 
「旅行ではどこに行きたいの?」
 
現地の人と一緒に行けるならと、やれ美味しい小籠包が食べたいだの、やれ夜市を一緒に回りたいだの思いつく限りをリクエストした。
今思うと、相当忙しい人になんて贅沢なお願いをしていたのだろう。たとえるなら、東大の教授に20代の若者が「観光案内して」と、軽い気持ちで頼んでしまったようなものである。
 
リクエストの中には龍山寺というお寺参りも入れた。龍山寺は25の神様が祀られていることで有名だ。
台湾には台湾のお参りのお作法がある。
正直、本を少し読んだだけではわからなかったので教えてもらおうと完全に彼頼みだ。
 
「政治家の人からも先生、って呼ばれたりするんだけど、俺そんなにエラくないから嫌なんだよね〜」
 
きっと本当にすごい人なんだろうけど、そんな感じが全くしない。
留学中と変わらない彼の気さくな性格に、なんだかホッとした。
 
 
お寺に着くと、お経を唱える声がする。
中に入ると、声の主は赤い本を持ったおじいさん・おばあさんたちだった。ポクポクなる木魚のリズムに合わせて中国語が聞こえる。
ざっと50人以上はいたがうるさいと感じることはなく、耳に心地いい。
 
「まずはお供物を買うんだ。甘いものを供えるんだけど、このへんが有名かな」
 
そう言って、彼は代表的な台湾の焼き菓子を2つ買った。私は控えめに1つ。お金の問題というより、最終的に持ち帰ることになるからだ。甘いものが苦手なだけで、決してケチったわけではない。
 
「お供物は、今日メインにお参りする特別な神様、月下老人のところに置きに行くんだよ」
 
月下老人は縁結びの神様だ。
「色々な神様が祀られているけど、何祈願する?」と尋ねられ、仕事と恋愛、と答えた。
すると「縁結びが有名で、俺も祈るから良かったら真似して」と、恋愛に全振りの参拝コースになったのだ。ちなみに彼の片想いのお相手はテレビの中の有名人。スケールが違う。
 
「正面真ん中の神様。次に右側、で左側。そのあと、後ろに行ってここで空に向かって挨拶するんだ」
 
オーケー。
手を合わせて、目を瞑って。
 
「日本の〇〇、××市から参りました古川実花と申します。☆歳です。良縁を結びたく、参りました。よろしくお願いします」
 
ちらっと目を開けて、横を伺う。
彼はまだお祈り中だ。
終わり方がわからないため、正面を見たり、目を一瞬瞑ってみたり、また横を見てみたりしながら時間を過ごす。
 
時間を過ごす。
 
過ごす……。
 
 
……長すぎん?
 
1分くらい経っただろうか。立ちっぱなしで、特にやることのない1分は長い。
これが普通なのか切実な祈りなのかはわからないが、彼に合わせて神様に言うことをもうちょっと考えねば。どんな縁を結んでほしいか考えておこう。
 
と思ったくらいで、ようやく彼が目を開けた。
手を合わせながら3回お辞儀をして終了。
なるほど、そうやって終わるのか。
彼が3回お辞儀をした後、私も3回お辞儀をしてやっと終えることができた。
 
「それぞれの神様にも敬意を示すために挨拶をするんだ。順番に行くよ」
 
え、なんて。それぞれの神様だって。
 
覚えているだろうか。龍山寺には25の神様が祀られている。
つまり、同じことを後22回はする。
それぞれ2分かかったとして、22神様分で44分。1時間弱も1回のお参りにかかるのか。
 
祈り、願うためには本来このくらい時間をかけるべきなのかもしれない。お参りに対する初心を思い出し、1神様も欠けることなく挨拶に回った。
 
実際には、一部2神セットみたいなところもあったため20回程度で済んだ。約40分。お目当ての月下老人のところには5分くらいいた気がする。
 
心の中で言う内容も、20回もお参りすればバリエーションが豊富になってきた。
具体的に伝えれば伝えるほど神様も縁結びの相手に困らずに済む、と聞いていたため、最後の月下老人には、私も長めお祈りができた。
 
「日本の〇〇、××市から参りました古川実花と申します。☆歳です。良縁を結びたく、参りました。△△君のように穏やかで、自分の考えをしっかり持っていて、たまにちょっかいを出してきて笑わせてくれるような、そんな男性と一緒になりたいです。よろしくお願いします」
 
3回お辞儀をして終了。
 
 
約20回、同じようなことを丁寧に言って回って願った。恋愛に限って、一つのことに対して祈り続けた。
ここまで徹底してやると自分の中でもどうしたいのか、どうなりたいのかがお参りをしている間に明確になってくる。
 
祈りは、自分に言い聞かせる行為なのかもしれない。
 
自分の中にある想いを言語化し、具体化する。
忙しいと目の前のことに追われがちだが、理想の自分やこれからの目標を整理するだけで視界がぱあっと開けることもある。
 
それを神様のおかげとするか、自分の力と考えるかは、その人次第だ。
 
 
 
 
***
 
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2023-05-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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