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生理の辛さは我慢しないといけないものですか


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記事:小林 遼香(ライティング・ゼミ4月コース
 
 
「いま生理だから辛いねん」
多くの女性は、このセリフを口に出したことも、耳にしたこともあるのではないだろうか。小学校3年生の保健の時間、先生に「なんで生理のときお母さんは辛い顔するのか」と聞いたことがあった。
「子宮という場所から、血液が出るために力を出すの。この力が、お腹や腰周りに痛みを生じたり、気分が悪くなったりすることがあるから、とても辛いんだよ。お母さんをサポートしてあげてね」
まさか3年後にもがき苦しむなんて想像していなかったわたしは、給食のメニュー表を見ながら片耳で聞いていた。経験したことがない人には理解しづらいと思う。だから、男性が多い職場だとなかなかSOSを発信しにくい。わたしは「生理の辛さは理解されないもの」として我慢してきた。
 
「小林さんは明るくて元気です」
幼稚園から高校まで生活態度に書かれてきたわたし。自他共に認めるポジティブ・前向き・楽観という言葉を体現したような性格だ。
しかし、生理前になると「もう自分には絶望的な未来しかない」と思い始め、サイト上でうつ診断をすると「休養してください」というアドバイスをもらう。楽しみにしていた飲み会も「わたしなんか本当は来てほしくないんじゃないか」と思ってドタキャンをしたり、道端で捨て猫を見ると急に涙がこぼれ落ち、一緒に歩いていた友人を困らせることもある。そんな自分に嫌気がさし、また落ち込むという悪のループが回りだすのだ。
数日経って生理が始まると「もう自分には希望的な未来しかない」と元気になり始め、本来の基本的な性格に戻る。この一喜一憂のジェットコースターに乗車拒否ができるのであれば全財産を投じたいくらいだ。
 
新卒1年目の秋ごろ、生理の悪魔に襲われて朝起きることが困難な日があった。
「大事な商談もあるし、休むのは甘えだ」と言い聞かせ、電車のホームまで重い身体を運んだ。線路の先に電車が見えたときだろうか、「このまま飛び降りたら今日仕事行かなくてすむんだ」とそんな考えが一瞬頭をよぎった。自ら命を絶つことを考えたのは初めてだった。
すぐに頭の中に住むもう1人の理性的な自分が「何をばかなことを言っているんだ」と否定した。何とか上長と合流でき、商談も無事終えられた。
帰り際、「顔色悪いけど大丈夫なのか」上長から言葉を投げかけられた。「ありがとうございます。でも、ただの、ただの生理なんです」大粒の涙がこぼれ落ちた。突然の涙に困惑し「体調管理も仕事のうちだよ」と足早に立ち去った。
なんで逃げられないといけないのだろう。
情緒不安定さに追い打ちをかけるような出来事に、私の目は大洪水になった。
次の日、このプチ事件を別部署の同期に話したところ
「うちの上長なんか『CAやアナウンサーも生理で休んだことないだろ。生理休暇なんてもってのほかだ』って言ってたよ。まじで終わってるよね」
「結局、生理は男性には理解されず、我慢するしかない」そう言い聞かせた。
 
2年後、PR会社に転職したわたしは「働く女性の福利厚生サービス」のPR案件に携わることになった。
「月経困難症は全女性の約5割以上が経験しているそうなんです。なのに、職場では話しづらい。だから、オンラインで医師へ気軽に相談できると多くの女性社員は働きやすくなると思うんです。このサービスをどうか広めてください」
生理の辛さを理解してもらうことを諦めていたわたしにとって願ってもいない案件だった。
実態調査をしていくと、生理前後の症状について正しく理解したいと思っている男性が多いことがわかった。インタビューのなかでも何人かの男性はこう言っていた。
「月経はそれほどまでに辛い症状なことを初めて知った。でも、どう接したらいいのかはまだわからない」
「自分が生理前だ」と事実を伝えるだけでなく「普段より優しい言い方をしてくれると嬉しいな」と、要望も合わせることが必要なのだ。
「そうか、あのとき上長はどう対処したらいいかわからなかっただけなんだ」わたしを置いて立ち去った上長の謎が解けた気がした。
 
ひと昔前に比べて「生理」という単語を日常生活で発信しやすくなってきたと思う。しかし、それはまだ一部の人だけであって、特に職場では相談しづらいし、相談されても何て答えいいかわからない男性の上長が多いのが実情だ。
生理は本当に我慢しなければならないものだろうか。
周囲に理解してもらうことが必要なのではないか。
そのためには、女性は諦めずに伝え続けなければならないのだ。
わたしは案件をきっかけに「生理が重くて病院に通って改善をしようとしている」ことを上長に面談で伝えたり、パートナーには「生理前だからイライラしてる。そっとしてくれたら嬉しいな」と正直に伝えてみるなど、少しずつ理解者を増やすように行動している。一人ひとりが声をあげることで世の中が変わることを信じて。生理の辛さは我慢するべきではないのだから。
 
 
 
 
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2023-05-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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