メディアグランプリ

驚くことにTwitter廃人だった経験が役に立っているかもしれない

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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ハタナカ(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
私はTwitterにのめり込んでいた時期がある。
Twitterを始めたのは高校を卒業した時だ。ずっとSNSというものに不信感があったのだが、友達と離れるし互いの近況を知れるなら、ということでリアルの友達と繋がるアカウントを作った。
そしてそのタイミングでとあるアニメにドハマりした。元々アニメオタクの私だが、そのアニメはマイナーで話せる人いもなかったから速攻趣味用にアカウントを作った。そのアニメが好きな人をフォローしまくって日夜そのアニメの良さを語りまくった。SNS怖いとか言ってた時期から1ヶ月も経たない頃の話で、なかなかの即落ちっぷりであった。
 
しかしそのアニメ、本当にマイナーなのである。
自分でもたまたま見てうっかりハマっただけで、元々好んで見ようとは思っていなかったイロモノ作品だ。キャスト陣も有名ではなく、原作もないから最終回を迎えればその後の展開は何一つ約束されていなかった。
しかし、この作品が好きで堪らない。何よりTwitterで作品について語れる時間が本当に本当に楽しくて、気づけば作品が終わることに恐怖を感じるようになっていった。
 
そんな私が何をしたかと言うと、いわゆる「布教活動」だ。
Twitterを始めてから、自分の好きなキャラや作品の良さを紹介し、ファンが自主的に広めようとするツイートは何回も見ていた。そしてそれらは布教活動と呼ばれていることを知った。
だから私もやってみた。絵は描けないから文章付きの画像を自分で加工して作り、更にツイートの文面も考えた。私にとってその作品は今一番熱いものだから、見れば絶対好きになってもらえると当時は本気で思っていて、その強い気持ちが伝わるよう創意工夫を重ねた。
 
そして完成したツイートを投稿する時、胸がどきどきして、顔が火照って、手を震わせていた。これだけ頑張って作ったのに全く反応されなかったらどうしようと凄く怖かった。
Twitterに張り付いていると、1分も経たないくらいでリツイートをされた。それだけで良かったあ! と随分安堵した。すると驚くことにそこからリツイートはどんどん増え、気づけば100、200とリツイートされ、最終的には700くらいはリツイートされた。
一般的に見れば多くはない数字だが、フォロワーはそんなにいないアカウントで、添付した画像もほぼ文章で、内容はマイナーな作品のことで、リツイートなんてほとんどされたこともない私が初めてリツイートを狙ったツイートで、と考えると私にとってその数字はどこまでも大きく見えて、その喜びは計り知れなかった。
何よりリツイートを追ってみると「ちょっとこのアニメ気になってきた」とか「このキャラめっちゃ好み!」とか、その作品を知らなかった人に実際届いてるのを見て、目的が達成されたような満足感があった。
 
そこから私は定期的に布教活動の為のツイートをした。
作品やキャラの良さだけでなく、キャスト陣の魅力、作品についての制作陣の小ネタ、そして作品がどのサイトで見れるか等々、細かなとこまで宣伝しまくった。
とにかく一人でも見てくれる人を増やしたかった。人気になってほしいし、この面白さを分かって話せる人がもっともっと欲しかった。我ながらその熱量は凄まじかった。さらにプチバズる度にフォロワーも増えるから、若干の自己顕示欲も混ざり始め、当時の私はとどまるところを知らなかった。
 
そうして布教活動を続けていると、段々バズるツイートと思ったほど伸びないツイートの傾向も分かってくる。
「この話題は知らない人からもリツイートされやすい」、「こういう内容なら箇条書きの方が伸びる」、「140文字しかないんだから言葉選びは慎重に」、「平日昼過ぎは人が少ないからちょっとしたツイートは伸びづらい」「でも伸びる奴は初速が遅い場合でも結局あとから伸びる」……といった分析をかなり真剣にやっていた。
伸びそうなツイート内容を思いついては何度も推敲してタイミングを見計らい、ツイートを量産した。滑ることも多々ありつつ、気づけば月に何回も100リツイートが得られることも珍しくなくなった。数千まで伸びたものもいくつかある。
 
しかしそれだけの熱も永遠には続かなかった。
念願叶って作品は続編が作られ、リアルのイベントごとにも参加し、過ごした楽しさは計り知れない。しかし最初の1年ほどは良かったものの、そこから少しずつコンテンツが縮小し終わりに向かっていき、勿論ファン全員が全員私ほどのめり込んでいたわけではなく、多くの人は時間と共に新しい作品に興味が移っていった。
それは私も同じで、あの頭のおかしくなるような熱量を保ち続けることは流石に出来なかった……それでも十分な熱は保持していたと思うが。
その作品はもう実質的に終わって既に数年経っているが私は今もその作品のことは好きでいる。夢中になっていたあの数年間は大事な思い出だ。
ただTwitterでの布教活動に異常なまでの熱を入れていた数ヶ月のことは、すっかり冷静になっている今の自分には、少しだけ頭を抱えたくなる黒歴史になっていた。
 
ところが、である。
最近気づいてしまった。この2000字の課題、当時の布教ツイートを試行錯誤していた過程に似ていると。
 
当時の私は絵も描けない、Twitter経験も浅い、内容もマイナー、送れるのは140字+画像4枚……その条件で目に留めてもらう為にツイートの題材、文章、構成、配置、タイミングに全てをかけていた。
そして今の私は文章の実力も経験も無い自覚があるので、文字制限の中でもインパクトのある題材を選び、納得出来るオチを考え、書いた後はひたすら見直し、より効果的になるような構成を何度も組み直している。
……昔の私とやってることほぼ同じである。
 
何よりも熱量だ。自分が熱量を持って書けるものかどうかが、人に見せるものとしての私の最低限の基準になっている。それも作品が好きだからこそ生まれた数多のツイート達の影響だろう。
……文章に関しては完全素人の自分だが「人に見てもらうことを目的とした文章を作る」ことだけで言えば、経験があると言えるのかもしれない。黒歴史として扱っていたので、ちょっぴり複雑だが。
 
そんなわけで自身の過去が、意外な形で今に繋がっている衝撃そのままに、ここに書き連ねた。
ちなみに余談だが、そのハマっていたアニメの終わりと共に私はそのアカウントは消した。しかしすぐ別のアカウントを作り直し、フォロワーこそ大幅に減ったものの、当時から仲の良かったフォロワーと再び繋がった。
今はもう熱狂もないのでリツイートも滅多にされなくなったが、それでも満足度の高いTwitterライフを送っている。
 
 
 
 
***
 
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2023-05-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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