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夫婦円満のコツは師匠から教わった


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:前田直子(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「このまま結婚していいのかなーー」
 
遠距離恋愛中の彼氏との結婚が決まり、本来ウッキウキで過ごすはずの時期に、私はどんよりとした顔をしながら呟いていた。
 
今から20年ほど前、結婚式の準備や仕事の忙しさなどで、私も彼もお互いにピリピリし、喧嘩が絶えなかった。
当時、銀行員で朝が早かった私と、残業が多く帰りの遅かった彼とでは、同じ日本国内でありながら時差があり、彼が電話をしてくる時間には眠すぎた。忙しい中せっかく電話したのに反応が薄く眠そうな私に、ムッとする彼。
また遠距離恋愛であることから、彼とのコミュニケーションはメールが多かった。メールでの喧嘩は最悪である。読み手のテンションで、相手の文面が優しくもキツくも感じる。当然ますますお互いにヒートアップし、感情をぶつけ合い、喧嘩ばかりすることになったのである。
 
「結婚してもこのままなら、嫌だなーーー」
 
一時的なことならまだ良いが、一緒に暮らしてもこの調子だと困る。何しろ私は仕事を辞めて関東から関西に引っ越すのだ。彼以外に誰も知り合いのいない関西に。
それなのに喧嘩ばっかりだったらどうしよう、と、憂鬱にもなるというものだ。
 
そんな時に、年上のパートさんにアドバイスをもらった。当時50代後半くらいだろうか。オシャレで美人、若い頃はさぞかしおモテになっただろう。素敵な人だった。
「人を変えようとしてもダメよ。まずは自分の関わり方を変えなきゃ」
「人から強制されたことは長く続かない。本人にそうしようと思わせて、自分の意思で行動させるのがポイントなのよ」と。
 
「仕事が終わって家に帰る前に、連絡してほしい」という要望があり、それがなかなか叶えられないとする。
 
その要望を伝えると、しばらくは電話してくれるが、徐々にしてくれなくなってくる。
「連絡してって言ったじゃない!」と言うと、相手はむっとしつつも連絡をしてくれるが、またしてくれなくなる。その繰り返し。
 
それを解決する方法はただひとつ。相手への伝え方を変えること。
 
相手にしてほしいことをただ伝えるのではなく、主語を変え、伝え方を変えるのだ。
例えば「家に帰る前に連絡をもらえると、私はとても嬉しいわ。あなたが帰ってくるタイミングに合わせて、熱々の料理を準備できるもの」と言えば、夫は満更でもない顔をして、毎回連絡をくれるようになるのよ、といたずらっぽく、そのパートさんが言った。
「私の夫はこの方法で、毎日連絡をくれるようになったわ」と。
 
ほわーーーー。
相手に動いてもらうために自分の関わり方を変える、なんて考えたこともなかった私の目からウロコがポロポロと落ちた。
なにこの恋愛強者感。師匠と呼んでいいですか。
 
私はその後、師匠からの教えを心に留め、夫と結婚した。
夫へかける言葉はふんわりと優しく。要望は主語を自分に。
そして、相手に期待しない。
 
「期待する」ことは悪いことではない。ただ、相手に期待すると、それが叶わなかった時に腹が立つ。「~してって言ったのに!」と、ムカムカする。
一方、相手に期待していなければ、叶わなかったとしてもそれほど腹も立たないし、叶った時には素直に「ありがとう」と感謝の心が芽生える。
そもそも「期待する」ことは、する側の勝手な思いであり、される側にとっては知ったことじゃないのである。
 
感情のまま、夫に言葉をぶつけることもやめた。
イライラしている時でも、頭に浮かんだ言葉を一旦飲み込み、穏やかな言葉に変換してから相手に伝える。
家事のやり方ひとつとっても、自分と夫のやり方は異なる。そのやり方をぶつけ合うと戦争になるので、そこはぐっと飲み込み、やってくれたことへの感謝を伝えつつ、「~してくれると嬉しい」という伝え方にする。
そして期待していないので、それが直らなくても怒らない。また伝えればいい。完璧に自分の思う通りにしたいのであれば、自分がやればいいのだ。
 
師匠の言葉を実行するようになって、夫との喧嘩はなくなった。結婚して19年目となるが、喧嘩らしい喧嘩はほぼしたことがない。
一緒に住むようになって直接会話できるようになったこともあるだろうが、私のコミュニケーション方法が変わったことが大きな理由だと思う。私の言葉が優しいと、夫の言葉も優しい。強く言えば強く返ってくる。
今になって思えば、そんなことも以前の私は分かっていなかった。パートナーや家族という近い立場の人になればなるほど、それを忘れがちになる。大事な人との関係を円滑にするためには、自分の関わり方を工夫し、努力する必要があるのだ。
あの時、師匠にアドバイスをもらっていなかったらどうなっていただろう、とゾッとする。
 
師匠からの言葉は、夫との関係だけではなく、私が人とコミュニケーションを取る際のベースとなっている。現在、部下を抱える身となったが、上下関係であっても伝え方を配慮するようにしている。
 
ありがとう、師匠。
私は今も夫に、「夫が作った麻婆豆腐が食べたいな」などと言い、作ってもらっています。
 
 
 
 
***
 
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2023-05-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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