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言葉のチカラ


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記事:あこ(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「日本語理解って難しいですね」
私の言葉に、上司が返した。
「いや、簡単だよ。日本語を大事にしない人が多いだけだと思うよ」
「なるほど。大事にしない、とは、文章に主語がなかったり、言葉の定義が曖昧なことを言っています?」
「うん、そう」
上記の会話は、仕事での上司と私のやりとりの一部だ。
 
上司の言う「日本語を大事にする」とは、文法を正確に使う、言葉にこだわる、という表現に近い。
相手の話をよく理解できる人や、話がわかりやすい人というのは、実はこの「日本語を大事にしている」という共通点がある。
日本語は、曖昧な表現も多く、主語や目的語が省略されやすい、という「明確に伝わりにくい」という言語特性を持っている。
そのため、「相手の話をきちんと理解する」「言いたいことを明確に伝える」ためには、上司の言う「日本語を大事にすること」が必要となってくるのだ。
 
では、日本語を大事にする、とは具体的にどうすればよいのだろうか。
 
まずは、言葉を定義することである。
同じ言葉を使っても、人によって意味合いが違う、ということはよくある。
特に抽象度が高い言葉は注意だ。
例えば、「朝早くに集合してほしい」と言われた場合、具体的に何時を想像するか。
これは、人によって違うはずだ。
人によって意味合いが違う言葉は、具体的に相手がどんなイメージを持って、何を指してその言葉を使っているのか、ちゃんと定義をすることが大事だ。
わかりやすい言葉=認識が揃いやすい言葉、を使うことも効果的である。
 
次に、主語・目的語・述語を明確にすること。
特に会話の場合、日本語は主語や目的語の省略が起きがちである。
前後の文脈や、その場の雰囲気で理解ができるからである。
とはいえ、本当に主語や目的語は変わっていないのか、は話し手に確認をしてみないとわからない。
よく話を聞いてみると、話始めと話終わりの主語が変わっていた、ということもある。
話を聞いていて、主語や目的語が省略されている場合は、主語は誰なのか、目的語は何か、を確認した方が認識の齟齬は減るだろう。
 
指示語も可能な限り、減らすことが大事だ。
指示語とは「あれ・これ・それ」など、何かを指し示す言葉だ。
多用すると、何を指しているのか、わからなくなる。
とくに親しい人や、家族との会話は指示語のオンパレードになりやすい。
「あれとって」「あの時の話だよ」「この前もそういうことあったよね」
阿吽の呼吸と言えば、聞こえはいいが、本当に同じものを指しているのか、は疑わしい。
 
形容詞にも注意だ。
多い、少ない、新しい、古い、明るい、暗い、遠い、近い……これらは、人によって感じ方が違う。
ある人にとって多いものは、別の人にとって少ないかもしれない。
自分が「多く提供した」と思っているものが、相手にとっては「少ない」ということが、あり得るのだ。
 
接続詞は、文章を長くしてしまい、わかりづらくする。
たまに、使い方を間違っていても気づかないことがある。できるだけ使わない方がよい。
 
上記の点に気を付けるだけで、人の話がよく理解できるようになる。
正直、私は学生時代、国語の成績は良い方であり、話もわかりやすい、と言われることが多かった。
しかし、今の会社に入って「話が分かりづらい」「日本語がおかしい」と指摘をされ、上記の点に気を付けるようになった結果。
相手の話を理解しているつもりが、「全然具体的に理解していなかった」ということに気づいた。
それと同時に、自分の話にも曖昧な部分や、ちゃんと考えきれていない部分が多かった、ということに気づいた。
 
相手の言っていることを具体的に理解できるようになると、想像できることが増え、より理解が進む。自分の話の曖昧さが減ってくると、より思考がクリアになる。
結果的に、物事を理解できる範囲が広がり、見えている世界が広がったように感じる。
また、認識の齟齬が誤解を生んで、コミュニケーションのすれ違いを生んでいたのかもしれないなあ、と思うことも増えた。
相手の話を具体的に理解することに努めると、自分の思い違いから、相手を誤解していたことに気づくことが多くなったのだ。
 
最近は、「言葉の表現」についても、興味がある。
先日、友達からこんな話を聞いた。
彼女は、仕事で英語の報告書を書く際に、同僚のアメリカ人に「敗因」を英語でどう書くか聞いたところ「チャレンジ」と返答されたそうだ。
日本では、失注したり、売れなかった場合、「敗因=失敗」と捉えるのに、アメリカでは「チャレンジ=挑戦」と捉える。
起きている事実は同じだ。しかし、「失敗」と書くか、「挑戦」と書くか。
この表現の違いが、その後の考えや捉え方を変えるのではないだろうか。
失敗、という言葉の後には過去の反省やネガティブな話し合いが続きそうだ。
一方で、挑戦、という言葉の後には、未来に向かってどうすればよいか、という建設的な話し合いが続きそうな気がするのは、私だけではないと思う。
 
もう1つ、彼女から聞いた話がある。彼女の会社では、在庫のことを「罪庫」と書くそうだ。製造業にとって在庫はコストだからだそうだ。
営業としては、とても嫌な気持ちになるな、と私は正直に思った。
 
同じことを指していても、どんな言葉を使うか、どんな表現を使うか。
そのことが、考え方や印象に大きな影響を与える。
ポジティブな言葉を使えば、捉え方や考え方もポジティブな方向に繋がりやすくなる。
言霊、と言われるが、日頃どんな言葉や表現を使うか、は自分が想像する以上に、自分や周囲の考えや行動に影響を与えるのではないだろうか。
 
日本語を大事にすること。どんな言葉を使うか意識して選択すること。
そんな少しの意識で、理解できることが増えたり、世界の捉え方が変わったりする。相手に与える印象を変えたり、自分の考え方に影響を与えたりもする。
言葉には、私が考える以上に、大きな力が宿っている。
その力を、最大限に活かせるかどうか、は自分の使い方次第なのだと思う。
 
 
 
 
***
 
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2023-05-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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