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詰め込めるのも実力のうち


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:古川 実花(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
眠い。どうしよう。
明日が試験なのに。
 
どうしよう、と思いつつ、眠気に負けて昼寝をしてしまったのだから本心はそこまで焦っていなかったのだろう。
 
明日はファイナンシャルプランナー、通称FP3級の試験だ。
 
 
先輩から「所得税の仕組みって知ってる?」と聞かれて答えられなかったり、「FP3級の範囲は基礎教養!」と友人から言われたり、苦手なお金の勉強もそろそろと思い、試験に申し込んだ。
そして申し込んだはいいものの、仕事の繁忙期とかぶり、ろくに勉強していない。
私の性格上、お金を払えばもったいない精神が働いて勉強するはずなのに。学生の頃と違って稼ぐようになってしまったため、もったいない精神が働きにくくなったのだろうか。
 
とにかく、眠いのならいったん寝てしまった方が逆に効率がいい。
そう思って潔く昼寝したのに、夜になってもエンジンがかからない。
 
「やる気スイッチ」というのは実際に存在しないらしく、「えいやっ」と始めて5分くらい経つとエンジンがかかるらしい。
 
明日の試験に行かないことも考えたが、ダメ元で行くと決めたからにはできることをやろう。実技試験は捨てて、学科だけでも頑張ろう。
 
この動画を見るだけ。
寝転がりながら友人オススメのYoutube動画で勉強を始める。ハードルを下げて、ようやく勉強を始められた。
 
1.5倍速で3時間分の動画を見るとまた眠気が。残りは翌朝に回そう。
眠気との闘いを早々に放棄し、深い眠りについた。
 
 
 
 
翌日。
ベッドでゴロゴロしたいところを「えいやっ」とまたYoutubeの再生ボタンを押す。
昨日見れなかった分を1.5倍速で1時間だけ勉強した。
 
朝9:40集合に間に合うよう支度をし、会場までの電車でもYoutubeで勉強。知識を詰め込んでいく。
昨日今日で試験範囲のすべてを押さえられたわけではないが、いったん網羅できた。応用まではいけなかったが、基礎はわかった。
あとはもう、試験問題の運次第だ。
 
 
FP試験は学科、実技の2つに分かれており、それぞれ6割以上の正解で合格となる。
学科試験が午前中に2時間(10:00〜12:00)、実技試験が午後に1時間(13:30〜14:30)。試験形式はマークシート方式。実技というと面接のようなものかと思ったが、計算問題が中心の筆記試験だった。
 
学科試験の問題数は60問。うち30問は正誤問題、つまり2択だ。ほか30問は3択問題。
これで6割以上とれればいいのだから、36問以上の正解で合格。2択問題もあるため、ちょっと頑張ればいけるかも、と思えたのが学科試験だけでも頑張ろうと思った理由だ。
 
 
「時間になりました。試験を始めてください」
 
 
ページを勢いよくめくる。
慣れない言葉を読んでいると、また眠気がやってくる。昨日あんなに寝たのに。
 
2時間という十分すぎる時間があったため、1時間でじっくり解き、45分見直しをして用紙を提出し、時間が来る前に会場を後にした。
 
終わった後の手応えはこうだ。
 
 
「ワンチャン、6割いけたかも」
 
 
眠気と闘いながらだったが、学科試験の手応えは意外にもあった。
7割だったら厳しそうだが6割以上はギリギリとれている気がする。
学科で受かっているなら次の実技試験も受かりたい。
 
ただ、元々諦めモードで今日の試験だって受けに来ようか迷っていたくらいだ。
実技の試験対策なんて全くしていない。
 
でも受かりたい。
 
 
FP3級。国家資格。受験料8,000円。
 
 
 
ここで諦めるのは、もったいない。
 
 
 
スマホを取り出し、友人がオススメしてくれた動画のうち「実技試験対策」として上げられている動画シリーズを確認する。
 
【2時間】【完全対策】【FP3級】【実技試験】
 
いける。タイトルのキーワードだけ確認し、すぐさま動画のリンクをクリック。
学科試験を少し早めに抜けたため、次の試験開始まで昼休憩を含めて1時間半以上ある。
1.5倍速で確認して、はじめとおわりの宣伝部分を飛ばし見すればなんとか全部押さえられそうだ。
 
 
そこからの集中力は学生時代の試験勉強のごとく、眠気も吹き飛び全集中で動画にかじりついた。
お昼を食べながら動画を見て、トイレに入る時も動画を流し続け、席に座ってもギリギリまで動画を閲覧した。
 
 
「それでは今から試験の説明をします」
 
 
さすがに試験監督からの説明を無視して動画を見続けることはできない。
20分ほど見れていない分はあるが、見ていないのは得意分野の範囲のため、できると信じてイヤホンを外す。
 
一夜漬けならぬ、1時間半の浅漬けで挑戦だ。
 
 
「それでは試験を始めてください」
 
 
1番から解いていく。
出る問題のほとんどが先ほどの1時間半で学んだことばかりだ。Youtube上の実際には会ったことのない先生、ありがとう。
 
あっという間の1時間。
ちょうど時間ぴったりくらいで回答を終え、それなりの手応えを持って試験を終えることができた。
これは本当に、ろくに勉強してないけれどFP3級とれたんじゃないか?
 
解散後、電車に乗ると男子大学生っぽい4人組が試験問題を広げながらスマホを見ている。おそらく試験の解答速報を見ているのだろう。
 
家に帰ってからゆっくり確認しようと思ったが、目の前で点数を確認されると自分も確認したくなる。
 
問題用紙は持ち帰ることができるため、自分の回答はメモしておいた。
早速検索して、解答の信用率100%と載せられたサイトを見つけた。
 
合格基準は学科、実技ともに6割以上の正解。
 
学科試験60問分の回答を自己採点シートに入力していく。
「学科で受かってたらほぼ合格は決まったようなものだ」というポジティブな気持ちと、「これで落ちてても実技試験の努力は無駄じゃない」というネガティブな言い訳を頭に浮かべながら数字を入力していく。
 
2,3分かけて、打ち込みが完了した。
少し間をおき、緊張しながら採点ボタンを押す。
 
 
【採点結果】60問中41問正解です
 
 
え、41問って何パーだ。
3分の2くらいだから66パーくらい。
ってことは、学科受かってる……!!
 
感動も束の間。
こうなると、実技試験の結果も気になる。
 
20問分の回答を入力して、ボタンを押す。
 
 
【採点結果】20問中15問正解です
 
 
え、75パー正解してる! 合格や!
 
1時間半漬けとは思えない成果に驚いた。
そして、国家資格であるFP3級の合格が自己採点上で決まった。純粋に嬉しい。
 
 
 
最後まで諦めずに……、という言葉をよく聞くが、私の場合は最後だけ諦めずに勉強した成果が出たようだ。我ながらなんとコスパが良いのだろう。
 
いや、詰め込みとはいえ、詰め込めるキャパを持っているのも実力のうち。小さなコップに大量の水を注いでもあふれるように、しっかりと知識を貯められる容量があったのだ。
 
自分で決めた目標を達成したことで自己肯定感が上がり、帰りはマカロンを買ってるんるん気分で帰路についた。
 
さあ、次は何をしようかな。
 
 
 
 
***
 
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2023-06-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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