メディアグランプリ

コントラストは補完しあうって、どういうこと?

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:小川りか(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「メッチャわかりますぅ~。私も、そうだったんですよ。つい、やっちゃいますよね」
やたらニコニコしながら近づいてきて、半音上げた営業音声で言われたセリフに、私は正直かなりの不快感を感じていたのです。
彼女は、私の苦手なタイプトップ3に食い込んでくる一人だと確信さえしています。
相手には大変申し訳ないことを承知で表現するとすれば、なんとなく、生理的に苦手な人という言い方が、一番近いかもしれません。彼女の言い回しがどうもカンに障るというか、私をイライラさせてしまうのです。また、彼女はそのことに全く気付いてもいないのです。
もし、パーソナルトレーナーとして、彼女がクライアントの私の苦悩に共感し、安心感を与えようとしているなら、全くもって逆効果なのですが、もちろん、そのことにも気づいてないのです。
 
そのことを伝えることもできず、パーソナルトレーナーの費用も払っているし、何より彼女に落ち度がないのに、変えてくれと言える立場でもないので、週に1回このセリフにさえ我慢すればいいと思って、半年通ったのが1年前のことです。そのトレーナー契約が終わるころには、彼女のいろんな言葉を、結局聞き流していました。つまるところ、あまり「パーソナルトレーナー」のメリットを得ずに終わってしまったのです。
 
このような自分が苦手とする人は、自分と似ているか正反対かのどちらかだと、よく言われます。
私もたぶんそうだったと思います。ただ、どちらかといえば、反対だということも気づいていました。昔から、ぶりっ子的な可愛い系は苦手の極みで、自ずと避けていましたから……。 一時期、カワイイは正義! なんて言われることもあり、日本カルチャーの代名詞にもなっていましたが、その文化にはなかなかのれずにいた私です。
 
さて、その自分とは「反対」と思っている彼女に、相容れることもなく、仕方ないじゃんと、一線引いてあきらめてしまった頃、ある学びを始めました。
カラーの学びです。カラーといっても、似合う色とかのパーソナル診断とかではなく、色がもつ本来のエネルギーを感じることで豊かな生活に活かそうとする、新しいカラー活用の学びです。
 
そこで、色の基礎を学んでいるとき、反対色というものについて、疑問を持ってしまったのです。
「反対色の色って、どういうこと? 赤の反対色は緑、黄色の反対色は?」
そう、何をもってして反対なのか定義がよくわからなかったのです。
 
しかし、この疑問自体は、実はあっさり解決しました。
色でいう反対色と呼んでいるものは、色相環図で真反対側(つまり逆位)に位置する色のことだと、カラーの師匠に教えてもらったのです。
 
え? 逆位? それだけ?
 
おそらく多くの人が、中学の美術の時間に目にしたことがある20色ほどの色が並んでいる色相環図。このある色の反対側にある色をその色の反対色と便宜上読んでいるだけ。
そう、つまりは「反対色」という色が存在するのではなく、色相環図で反対側(逆位)にある色を、そう呼んでいるだけ。
ですから、カラー的には「反対色」よりも「補色」と呼ぶのが一般的かもしれないとのことでした。
補色は、字のごとく補うこと。反対で相容れないのではなく、お互いを補うという相補完の関係だというのです。
 
ちなみに、色での補色は、その色にないものを補うことで、際立たせるコントラストという表現もされています。例えば、赤を選んだ時、補色は緑になります。この二つを一緒に使うことで、お互いの色を際立たせているといえば、真っ赤な薔薇はどうでしょう? 枝葉のつややかな緑に、ビロードのような柔らかい質感の鮮やかな赤い花びら。想像だけでも、美しさを感じることができます。赤と緑というコントラストの為せる技です。
 
反対と言ってしまうと、有るものが無いイメージを受けてしまう。けれど、補色として際立たせるために、無いものを補って活かすという発想になると、なんだか物事さえおもしろく見えてくるのです。
 
「あ、これって、人間関係も同じじゃないのかな?」
 
私が苦手と思っていたパーソナルトレーナーさんは、私に無いものを持っている反対側の人と思っています。私が無いものを持ってる人は、私にとっての補色ですよね。そう、彼女の存在は私のコントラストになるんじゃないのかって、思ったわけです。
それを客観的に実感をもって、目の前に存在してくれているのかもしれないと考えた瞬間、イライラしていたことが、逆かもしれないと思い始めたわけです。だって、そうですよね。イライラして、気分が良くなかったのは、私の持ち合わせていないカワイイだったり、フレンドリーな接客だったりしたわけですから。
だからと言って、彼女のようになりたいわけではないと理解もでき、改めて自分が持ち合わせてない事実と自分が望んでいないものを認識することができたのです。そう、補色側にいる彼女に出会うことで、そのコントラストによって相補完のイメージを展開してもらえたから、気づけたのです。
 
反対側にいる人に出会っても、これからはきっと大丈夫と思えるのです。
イラつくことや、むかつくようなことがあったとしても、また一瞬はこのヤロウ! と怒りを感じたとしても、落ち着いた時に、自分を見直すタイミングだと思えるはずだからです。
 
薔薇の赤が、エネルギーであり、情熱であり、時には嫉妬を伴うような強い命の色であっても、枝葉の緑は、落ち着きや優しさ、そして調和として安定に働く補色なのです。そして、お互いがお互いを干渉せず、際立たせるコントラスト(対比)を放つからこそ、美しいのです。
 
自然界の法則は、人間にも当てはまると思っています。だから、反対側の人に出会えた時は、自分をもっと活かすタイミングだから、この人に出会ったと思うことも有効です。そうすれば、相手の言葉も、もっときちんと聞ける気がします。反対側と言うより、補完しあうという見方は、とてもやさしく明るいエネルギーさえ感じるのです。
 
このことに気づいた時には、もう彼女の言葉は、私の中にはほとんど残っていなかったですが……。今となっては、なんだか、もったいないことをした気分で、残念で申し訳ないと思っています。なのに、何故か、やたら明るい彼女の「大丈夫ですよ~」の声だけが思い出せてしまうのは、私が本当に欲しい言葉であり、誰かにかけてあげられなかった言葉だったのかもしれないと、しみじみ感じています。
 
 
 
 
***
 
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2023-06-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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