メディアグランプリ

ビビりの私に思いがけず「5,000」いいねがついて考えたSNSとの付き合い方


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:パナ子(ライティング実践教室)
 
 
怖い怖い怖い怖い……。
私は手元のスマホを見つめながら気が遠くなりそうになった。心臓がドキドキして手に冷たい汗をかく。こんな事は初めてだ。
 
毎日活用しているTwitterである呟きをしたところ、普段にはない猛スピードでいいねがつき始め、その数はたった一時間程度で既に500を超えようとしていた。
 
その時の私のフォロワー数は約350。通常は相互にフォローし合っている方々と穏やかなやりとりをして、いいねが50も超えれば「お、今日はバズってるな~」とにやけるようなそんなゆるいSNS生活を楽しんでいたのに……。
 
それが今日だけは様子が違った。想定の範囲を超えて私の個人的な呟きが拡散されまくっているのである。怖いと思ってしまう心当たりが一つあった。私が呟いたものは何の飾り気もない感情丸出しの、ただの育児の愚痴だったからだ。
そう、これは決してバズっているのではない。炎上しているのだ。
 
そもそも、事件は兄弟を連れて訪れたドラッグストアで起きた。
 
会計している横でさっと買い物袋を持ってくれた7才の長男。
やるな、なかなかのジェントルマンだ。
「ありがとう、助かるよ」と礼を言って発生したほんわかムードが一転、不穏な空気が流れだしたのは7才自身が発した「俺は役に立つけど4才(次男)は役に立たない」という言葉だった。
 
心がスンッと下降するのがわかった。なんだよ、せっかく嬉しくて誉めたのに返って来る言葉がそれかよ。最初こそ冷静さを装い、そういう言い方はよくないよとたしなめたが、響く様子もなくふて腐れる彼に「いい加減にしなさいよっ!」とついキレてしまったのだ。
 
そして私はこの苛立ちを誰かに聞いて欲しくて、一連の流れをありのままにツイートした。「対応が難しい! 疲れる!」と感情を垂れ流しにしたのだ。
 
ツイートしてすぐはいつものフォロワーさんたちと、いつものやりとりだった。
「わかるわかる」
「そういう事もあるよね」
と、労いの言葉を掛けてもらい安堵した矢先、全然知らない人たちから辛辣なコメントが届き始めた。
 
「女のこういう一言が余計」「よくこんなんで親やってるな」「長男くんがひたすら可哀相」という言葉が視界に入ってきたとき、心臓はドクンと派手な音を鳴らした。
 
えぐい。なかなかにえぐい。
明らかに風向きが変わった瞬間だった。
 
Twitterは大海原みたいなものだ。
その性質上、海を越えて誰かと繋がることもあるし、何かを求めて彷徨えばどこかの港に着くように知りたい情報を得ることもできる。
しかし、海上が嵐で荒れることがあるように、Twitter界もバズったり炎上したりで荒れることもしばしばである。
 
ツイートする者、いわゆるツイ主はその大海原に船を出すキャプテンだ。
しかし大海原に船を出しているからと言って、みんなが百戦錬磨のキャプテンではない。見る専門だった私は日々のことを呟きだして数か月、まだ初心者と呼べるレベルだろう。
 
そして、これらをマルっと受け止められるだけのメンタルの持ち主かといえば、かなり怪しい。何か違和感があるとすぐに「あん?」とオラつきたくなる性分のくせに、それを公に出して戦えるかといえば微妙。きっとメンタルが厚揚げなのだ。「お豆腐メンタル」に自分を守る為の「揚げ」という鎧を身に着けている。
 
だからこそ、私は知らない人からの辛辣コメントには胸をえぐられた。
長年Twitterという大海原を航海しているベテランのキャプテンたちの中には、そういった声にストロングスタイルで戦う強者もいる。
「は? 憶測だけでものを言わないで欲しいんですけど」
「うちのこと何にも知らないのに、勝手なこと言いますね」
Twitter界には猪木や力道山が確かに存在するのだ。
 
私にそれ言える?
いや無理―! 中身ふよふよの厚揚げメンタルだから無理―!!
知らない人と戦うなんて怖すぎる。仕返しされたらもう立ち直れないかもしれない。
 
そこでキャプテン厚揚げが船に出した指令はこうだった。
「帆をたためー! いかりを降ろせー!」
この大海原での嵐をまともに受けていては危険だ。嵐が過ぎ去るまではこの場を動かずにじっと耐えろ。
 
私は件のツイートをミュートした。これでいいねやコメントといった全ての動きが視界から消えた。奥底では解決せぬままのドロッとした黒いものに蓋をしてとりあえず身を守ることに成功した。
 
数日間の炎上を終えてやっと通常運転に戻った時にはいいねが5,700を超えていた。
 
嵐が去ったあとの海はいつも通りの穏やかなものだった。更に数日が経った頃、やっと重い腰を上げてキャプテン厚揚げは件のツイートの確認に行くことにした。嵐で船がやられてるかもしれない。怖い気持ちはまだ捨てきれないが、やはり一度この目で確かめなくては……!
 
おそるおそる開いてみる。
コメントで一番目についたものは「わかる! うちもそれよくある!」という共感枠だった。兄弟で張り合った結果、語彙力の無い子供があまりよくない表現で下の兄弟を下げる、という流れは子育て界隈ではあるあるらしかった。
 
次に多かったのは、言い回しの提案枠。「こういう声掛けをしてみたらいかがでしょう」とみんななかなか真剣に考えてくれていた。その中には参考になる絵本まで紹介してくれた親切な人もいた。
 
少数派ではあったが、ありがたいことに「お母さん、正しいこと教えようとしてるじゃん」と応援枠も存在した。
 
そして、一番耳が痛かったのは、自身が長子であまりよい思い出がない人たちからの「お兄ちゃん寂しいんだよ。普段弟ばかり構ってんじゃないの?」というコメントだった。
もちろん、誰に何と言われようと長男も次男もすごく大事で可愛いことに変わりはない。どちらか一方ばかりを構うなんてことはしてない。そこに異論は唱えたい。
 
でも……、もしかしたら繊細な面がある長男に寂しさを感じさせていたということはあるのかもしれない。耳が痛いってことはきっと多分そういうことだ。
 
あとはまあエンタメとして見た方が良さそうなコメントも点在した。
知らない人たちが、どちらの意見が正しいかで殴り合いを始めたりしていて、もはやツイ主の存在はもうどうでもいいようだった。
しまいには私がツイートした文章について「この文はいらない。削った方がいい」などと添削する者まで現れて、それにはちょっと笑ってしまった。
 
結局蓋を開ければ、全てが批判ではなく玉石混交といった状況だったが、もしあれを暴風雨のなかリアルタイムで対応していたら私のメンタルはもっとやられただろう。いったん帆をたたみ、いかりを降ろした事は英断だった気がする。
 
では、猪木や力道山に一生なれない私はもうTwitterには懲りたのか。そう問われれば答えはハッキリNOである。
 
140字という限られた文字数の中で、子供たちの尊い一瞬、胸を熱くした出来事、自分の好きなものを語る時のワクワクした気持ち……ツイートには私のキラキラとした宝物のような日々が凝縮されている。そしてそれらを語った時に共感してくれ、応援してくれ、励ましてくれる人達がいるのもまた事実なのである。
 
思いや考えを綴ることは私にとって最高の創造である。
だから少しくらい苦い思いをしたところで私はきっとTwitterをやめられないのだ。
 
 
本日は雲ひとつない晴天! 波は穏やか。
沢山の宝に出逢うため、今日もキャプテン厚揚げは大海原に船を出す。
 
 
 
 
***
 
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2023-06-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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