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君を守るためならいつだって「オラオラ系」になる


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:パナ子(ライティング実践教室)
 
 
それは、小学校から帰りランドセルを置いて一息ついた7才の息子の、ある告白から始まった。
 
「ぼくね、今日イヤなことがあった……。学校のトイレでウンチしてたんだけどね……、そしたらトイレ(個室)の前に何人か集まってきて……『誰か中にいるぞ』って。『名前は見えないけど、上履きの色が青だ』って言うんだよ」
 
ここまで聞くと、通常は隠し持っている私のオラオラが胸のあたりでドチャクソに暴れ出すのがわかった。
 
あぁん!? テメェどこのどいつだか知んねえけどよ! うちの可愛い息子がウンチしてるときに何ジャマしてくれてんだよ! 落ち着いてウンチできねーだろっ! ふざけんじゃねぇ!!
 
喉元まで出掛かった口汚い言葉を慌てて飲み込んだ私は、自分を落ち着かせるために「ケホン」と軽く咳払いをしてから息子に言った。
 
「えーっ!! それはいやだったね! お母さんでもそれは嫌だよ! 外が気になってウンチに集中できないもん! 言った人、誰かわかるの? わからないか、そうだよね。よし、お母さんから先生に言いに行ってあげるよ! それか連絡帳に書こうか!?」
 
口汚い言葉は飲み込んだものの、息子のプライベートな空間を脅かしたという事実に若干の怒りを滲ませたまま、私は息子にそう言った。
 
予想以上の反応が意外だったのか、息子は少し驚いたあと安堵の表情を見せた。
「そこまでしなくてもいいよ! ぼく大丈夫だから」
と言うと、背後にあったお菓子棚から好きなお菓子を見繕い、いつも通りに頬張り始めた。
 
実は、以前とある占い師に「オラオラの気質が強い」と言われたことがある私。四柱推命をもとに背後霊など含めて色々見える系のその占い師にはっきりと「オラオラ系」と言われたのだ。
 
仮に自分の事をオラオラ系と言われたら人はどう反応するだろうか?
「え、まさか私が!?」 と驚いたり、「そんなわけない!」と否定する人もいるかもしれない。しかし私は即座に爆笑した。
「ひゃははははっ! 耳が痛い~! 私って、ほんと、そういうとこある……」
思い当たる節がありすぎるのだ。
 
交通ルールはきちんと守るし、店員さんへの態度も謙虚(のつもり)、そしてご近所さんへの挨拶も欠かさない。普段は一応善良な市民の仮面を被っている。
 
しかし、タバコを平気でポイ捨てするおじさん、赤信号ギリギリで突っ込んできて横断歩道を脅かすドライバー、レジの列にしれーっと割り込む客……社会の正義からして納得できない事があるとき、ヤンキーよろしく首を斜め上に傾けながら内心は「あん?」と言っている自分がいるのも事実なのである。
 
占い師には「そういう所があるから気を付けた方がいい」という有難いアドバイスを頂戴したのだった。
 
なんで公的な場所でオラつかないかといったら、本物のオラオラ系にどやされるのが怖いからに決まっている。小心者の私にそんな真似できるわけないのだ。
 
さて、そんな私が安全な自宅内、しかも脳内でオラついてしまった「トイレ覗き見事件」についてお話をする時がやってきた。月に一回のカウンセリングである。
 
繊細な面を持つ7才は過去に不登校の経験がある。その当時私はかなり思い悩み、ありとあらゆる場所に助けを求めた。そのうちの一つが大学の研究機関内にある臨床心理センターだった。たくさんの方のフォローがあり今では登校できるようになったが、そういった経緯があるため今でも継続して相談に乗ってもらっている。そこではこの一ヵ月にあった出来事を臨床心理士の先生に聞いてもらい、アドバイスをもらうのである。
 
「トイレ覗き見事件」の一連の流れをお話すると、先生はうんうんと大きく頷いたあとこう言った。
 
「お母さん、とっても良いですね! 素晴らしい対応でした!」
先生はなんと私の対応に手放しで褒めてくださった。もしかしたら正直なところ、息子を産んでから初めてこんなにも子育てについて褒められたかもしれない、と思った。
 
四六時中ギャン泣きされてヘトヘトの赤ちゃん期を終えてホッとしたのも束の間、幼稚園では正義感からくるお友達への指摘が過ぎてトラブルが続き、私は毎日のように先生に呼ばれた。そして入学後すぐに彼は不登校になったのだ。
 
息子を育てていて自信が持てることなんか一つもなかった。いつも育て方がわからなかったし、いつも自分を責めていた。可愛い瞬間もたくさんあった気がするけど、それを上回る辛さだった。
 
先生の言葉は今までの苦労を一瞬でかき消すほどの威力があった。
「お母さんがね、自分より怒ってくれたおかげで、○○君の怒りがプシューって吸い込まれたんですよ。お母さんは味方なんだって認識ができましたね。もしね、ここでお母さんが『そんなこと気にしなくていいよ』って言っていたら彼は二重に傷つくことになっていたかもしれないです」
 
世界陸上で「地球に生まれてよかったー!」と絶叫した織田裕二に負けじと私も面談室の真ん中で叫びたくなった。
 
息子の母親やっててよかったーーーーーーーー!!
対応間違えなくてよかったーーーーーー!!
 
本当に今更ながらようやく彼の性格というものが掴めてきたところがあって、繊細な面がある彼に「気にしなくていいよ」とは到底言う気にはなれなかった。それよりも色々細かい点を気にする彼がトイレの件でこれ以上傷ついてほしくないと強く思ったのだ。そんな気持ちが、私にオラオラを発揮させたらしかった。
 
オラオラ気質自体は決して褒められたものではない。ただ、彼の繊細さと私のオラオラが生まれて初めてと言っていいほどピッタリとハマった。まるでパズルのピースのように。それはとても誇らしく気持ちのよい瞬間だった。
 
これでしばらくは安定した学校生活が送れるかと思っていたのだが、一難去ってまた一難。
今日も今日とて彼のお悩みは尽きない。
 
小学校の生活科の授業で、育てているきゅうりのイラストを描く時間があったらしく、彼はよかれと思って全体像とアップの画像を描いた。そのアップ画像をクラスメイトに「変なの」と言われたことに傷つき帰宅した。
 
おぉん? アップも描くのは素晴らしいクリエイティビティだろーっ!! うちの息子の創造性をバカにすんじゃねーぞ!!
 
お母さんモンスターペアレントになる気はないけど、君を守る為ならいつだってオラオラ系になるよ。だから、安心してお母さんに任せときな。私は私なりの愛情で彼を精一杯育てることに改めて覚悟を決めたのだ。
 
 
 
 
***
 
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2023-06-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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