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よりによって日本に生まれてしまった。


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記事:山村みゆ(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
美味しい食事、丁寧な顧客サービス、夜一人で歩ける治安の良さ、生涯で周りきれないほどの個性的な観光地の数々。日本はなんて素敵な国だろうか。
私は日本で生まれ育った日本人で、この国が大好きである。海外に何度か住んだこともあったが、結局この地に帰ってくることを選んだ。やっぱりここは住み心地が良い。一生住んでいたい。
 
そんな私が年に3回ほど思うことがある。
「ああ、なんで日本なんかに生まれたんだ、最悪すぎる」
 
 
少し話は変わるが、皆さん、海外旅行は好きだろうか?
上述した通り、私は海外に住んだこともあり、外国の文化や人々との触れ合いが好きである。日本は良い国とはいえ、他国で得られる刺激はまた格別であり、人生に新しい視点をもたらしてくれる。日本での安心感から離れた、時にスリリングな体験は、自分を強くもしてくれる。だから私も例に漏れず、海外旅行をとても好んでいる。
運よく長期休みの取りやすい会社に入れたことで、社会人になってからも、家族や友人と一緒に、たまには一人で度々海外旅行をしている。できることなら全世界を周ってみたいくらい、海外への好奇心は強い。
 
私の海外旅行の頻度は大体年に3回。
その度に私の胸に湧き上がる感情。それが、「日本に生まれて最悪」だ。
 
別に日本と外国を比べてどうこう言いたい訳ではない。日本には日本の良さ、外国には外国の良さがある。私はそんな深い議論をしたい訳ではない。
ただ一つ知ってほしこと、それは、「この世には心の底から飛行機が嫌いな人間がいる」と言うことだ。そう、私もその一人である。
 
きっとこれを読んでいる人の多くが、飛行機をバスや電車と同じただの公共交通機関として捉えていると思う。もしくは、空の上を飛べて非日常が楽しめる楽しい乗り物と思っているかもしれない。映画も見られるし、機内食は食べられるし、景色も良い。そんなエンターテイメントを求めて、飛行機に乗ることが趣味な人さえいる。
 
そんなあなたに、一つ質問をしてみたい。
海外旅行に行く度に、一発だけ銃弾が込められた拳銃をこめかみにあて、トリガーを引けと言われたらどうだろうか。いわゆるロシアンルーレットというやつである。
突拍子もないし、何を支離滅裂なことを、と思うかもしれないが、ちょっと真剣に想像してみてほしい。
 
さて、そんな時人はどうなるだろうか。
生死を天に委ねるしかない状況の中、額からは汗が流れ、お腹も痛くなってくる。目はどこをみていいかわからず、呼吸は浅く荒く、少しでも落ち着こうと片方の手は服の端っこを固く握りしめているかもしれない。これはトリガーを引く直前だけではない。きっと、数日前からこのことを考えて、悪夢を見てうなされ、喉の奥がキュッとなって食事をすることさえままならないだろう。
 
これらは全て、私が飛行機に乗る度に経験することである。
全く誇張していない、リアルな飛行機嫌いの実態である。むしろ全然描ききれていないかもしれない。
 
ちなみに「海外旅行」と限定したのは、私が日本国内では飛行機に絶対乗らないと決めているからである。私からしたら、地続きで行けるところにわざわざこんな辛い思いをして、命をかけて飛行機で行く意味がわからないのである。現に、新入社員の時に福岡出張を命じられた私は、会社を早退させてもらい、上司とは別に、一人で6時間かけて新幹線で博多へ向かった。帰りももちろん新幹線である。大阪に友人と旅行に行った時は、飛行機で帰る彼女と心斎橋の上で現地解散した。
私はとにかく早死にしたくなかったし、数日前からずっと緊張感に襲われるなんてもってのほかだったのである。
 
ただここで問題が出てくる。
日本は、島国なのだ。
 
日本国内は沖縄などを除いて99%地続きで行くことができても、海外には飛行機で行くしかない。(船という選択肢は一応あるが費用がかかるし行ける場所も限られる。)だが、私は最初に述べた通り、海外旅行が大好きなのである。
 
そんな時にいつも思うのが、「なんでよりによって日本なんて島国に生まれてしまったのだろう」ということである。日本がヨーロッパか中国あたりにあったら、電車で簡単に他の国に行けたのに。というか、せめてユーラシア大陸の端っこにでもくっついてくれていたら大体世界のどこでも地続きで行けたではないか。なんでよりによって島なんだ。私は大体日本のことは好きだが、島国である点だけは年に3回、本当に嫌になる。
 
こんなことを言うと、「じゃあ海外なんて行かなければ?」と言われるが、そういう問題ではない。何度も言うが、飛行機は嫌いでも海外旅行は大好きなのである。
 
これを読んでいる人の中で、私の飛行機嫌いを治せる人がいたらぜひ教えてほしい。私だってストレスを感じず、色々な場所に旅行へ行って、できれば飛行機の中でぐっすり眠ったり、窓の外の景色を楽しんだり、空へ飛び立つわくわく感を味わったりしたいのだ。飛行機嫌いを克服したら、人生が変わるだろう。
 
そもそもなぜ私がこんなに飛行機嫌いになったのか、と思う人もいるだろう。最後にとても簡単にそのことについて触れたい。
私は幼少期から父に口酸っぱくこんなことを言われて育った。
「飛行機は落ちる時は落ちる。諦めるしかない。誰が死ぬかはロシアンルーレットと同じ」
 
そんな彼は元パイロットである。
 
 
 
 
***
 
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2023-06-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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