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セカンドオピニオンの大切さ~あの日の決断が無ければ、私は左足首を失っていた~

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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:都宮将太(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
「もう大丈夫です!」
「大丈夫ですか? まだ痛むんですけど……」
「傷口を触ったばかりなので、しばらくは痛みますよ」
 
そう言うのは目の前で白衣を着た、おそらく50代のおっさん。おっさんの横で白衣を着た女性もほほ笑む。
私は10年以上経った今でも後悔している。
何故、あの時の会話を録音しておかなかったのか。と! 同時に、私を担当した、あの医者の顔は今後も忘れないだろう。
 
高校三年生の夏、部活動の合宿を兼ね、部員と監督、それに保護者も含め約100人近くで海に行った。
毎年の恒例行事で皆が楽しみにしているイベントだ。
練習が終わり、海で遊ぶのが恒例だった。
しかし、そこで事件が起きる。
 
「痛っ!」
海に入ってすぐ、左足の親指にガラスの破片を踏んだような痛みが走る。
何か踏んだようだ。私は右足と左足のかかとで陸に戻った。親指を見るとゾッとした。
そこには一本の棘が刺さっていた。ウニを踏んで、その棘が刺さったと当時は思っていた。(結果はウニではなく、ウニと同じ形をした生き物だった)
目に見えている部分だけでも、3センチほどの長さがあった。
目で見える棘を抜いたが、全部抜ききれず、親指の中に棘が入り込んでしまった。
 
私は慌ててその場にいた監督に相談した。
普段厳しい監督も、毒を持つ生き物の可能性を不安に思ったのか、すぐに病院に行くように言われた。
病院に到着し、待合室で待つこと約30分。名前を呼ばれ診察室に入り、私は事情を説明した。
棘を取り出すために仰向けに寝かされた私の左足親指に、ピンセット等で治療を行うとこと約15分。
 
「終わりました」
そう言うと、2ミリほどの棘を私に見せてくれた。
「こんなに小さい棘しか刺さってなかったんですか?」
「そうです。全て取れました」
医師は自信満々に言い放った。
「もう大丈夫です!」
「大丈夫ですか? まだ痛むんですけど……」
「傷口を触ったばかりなので、しばらくは痛みますよ」
医者からそう言われると納得せざる得ない。
本当に棘が全て取れたのか? そんな不満を残しつつも、治療費を支払うと、病院を出た。
 
だが、翌日になっても足の痛みは引かない。棘のようなものが刺さっている黒い影も見える。
当時高校生の私は母親に相談した。
そこで私は初めて『セカンドオピニオン』という言葉を知った。
「先生が大丈夫って言うなら、大丈夫と思うけど、不安やったら別の病院行ってみる?」
「そうやね」
母親の言葉に後押しされ、自宅から少し離れた病院へ向かった。
今思うと、当時母親から大丈夫と言われていれば、他の病院に行ってはいなかった。
その病院の医者が、私の足を観察して言った言葉。
「紹介状書くので、他の病院に行ってください」
そんなに大事なのか? 当時、恐怖心が襲ってきたのを覚えている。
 
すぐに私は紹介された病院に向かった。
「すぐに切開して、棘を取りましょう」
そこの病院の医師は、私の親指を観察するなり、そう即答した。
えっ? 棘があるのか? 最初の病院では大丈夫と言われたぞ!
医師の言葉に従い、ベッドに仰向けになった私に、治療を行うこと約20分。
「終わりました!」
医師がそう言いながら私に見せてくれたのは、一般的な爪楊枝の三分の一ほどの長さの棘だった。
やはり、棘が刺さったままになっていたのだ……。
自分で目に見えている棘を取ったが、その棘と合わせると、爪楊枝の半分くらいの長さだった。そんな棘が刺さっていたと思うと、恐ろしくなる。
「最初に通った病院では、棘が取れたって言われたの?」
「はい」
そう聞いてきた医師の顔が結構険しく、笑顔がなかったことを覚えている。
 
「あと一週間遅かったら、指が壊死していたよ。そのままだと、足首にも影響して、最悪、足首を切断することになっていた可能性もある」
 
私は鳥肌がたった。
今こうして文章と書いていても恐ろしく、鳥肌が立ってしまった。
もし、最初に行った病院の医師の言葉を鵜呑みにして、セカンドオピニオンという決断をしなければ、私は左足首を失っていた可能性もある。
そう思うと非常に恐ろしい。
 
「病院で大丈夫って言われたし……」
「もう一回行く時間もないし……」
「通いなれない病院に行くのは……」
セカンドオピニオンと聞くと、このようにマイナスな考えが浮かぶかもしれない。
だが、一度重たい腰を上げてほしい。
少なくとも、「あの時セカンドオピニオンの選択をしていれば……」といった後悔はなくなるはずだ。
一瞬の決断が、今後の人生を大きく左右するキッカケになるかもしれない!
 
ちなみに、その棘をとってくれた病院は、10年経った今でも家族全員がかかりつけだ!
 
 
 
 
***
 
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2023-06-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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