メディアグランプリ

ノースリーブのふわふわタートルニットはいつ着るのか、っていう話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:桜井なな(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
「おしゃれは我慢だ」と誰かが言っていた。
 
痛いのを我慢してヒールを履くとか
寒いのを我慢して生足でミニスカートを履くとか
 
確かそんな例えで語られていたように思う。
 
私が四半世紀以上前から疑問に思っているアレは、
「おしゃれは我慢」問題とはきっと別の問題ではないかと思っている。
 
「ノースリーブのふわふわタートルニットは、果たしていつ着るのか」という疑問だ。
 
何言ってんの? と思う人もいるだろうし、わかるわーと思う人も、多少はいるんじゃないかと思っている。
 
私は、北国の出身である。
もちろん、田舎。
 
そんな寒い田舎町で育った私も、お年頃になれば、そりゃ人並みに恋だのおしゃれだの、そういうことに興味があった。
一応田舎でも、ティーンが読むような雑誌は売られていたので、二つ下の妹とそれぞれ違う雑誌を買って交換して読んでいた。
 
確か、「セブンティーン」と「non-no」だったかな。
時々「ピチレモン」とか。
(懐かしい!)
 
八頭身のモデルさんが着ている洋服を、ため息つきながら見てたんだけど、これ素敵! と思っても、ページの隅に書いてある取り扱い店は、東京に店を構えるおしゃれブランド。たいてい青山とか代官山って書いてあって、その響きだけで田舎者は若干ひるむ。
 
知ってるブランド名の時もあれば、これなんて読むの? ってこともあるし、いずれにしても、いろんな意味で手が出ない。
 
東京って、こんな人たちばっかり歩いてるんだろうか、
東京に行かないとこんな洋服は手に入らないんだよなぁ、
どうせ田舎じゃ買えないし着ていくとこもないわ、
と、半ば捻くれた気持ちで眺めていたものだ。
最近では、東北の主要都市でもだいたいのものは買えるんだと思うけど、四半世紀も前の話だし、そもそも私の家からその主要都市まで行くのも時間がかかったのだ。
 
厳しい冬が来ると、免許も持っていない、かつ遊ぶところもないような田舎の高校生は、家の中でテレビや雑誌を読む時間が多くなる。
はんてんを着てこたつに足を突っ込んで、雑誌の冬号を眺めながら思う疑問がアレだ。
 
ノースリーブのニット?
意味わかんない。いつ着るのよ?
 
という、もはやツッコミ。
 
ここは北国、ニットはもちろん、みんな着ている。
(ちなみに当時は多分、ニットなんて呼び方すらしてなかったと思う。全部、セーター笑)
 
ニットは着てるけど、ノースリーブだったら何の意味もない。
寒さを凌ぐ目的でニットは着るものじゃないのか? なら、ノースリーブとはなにごとだ? しかもタートルって、寒いのか暑いのかどっちなんだよ!
憧れていたモデルさんたちだったけど、この点ばかりは、この人たち頭おかしいんじゃないか? とさえ思っていた。
ごめんなさい……
でも、一度も田舎を出たことのない10代の私にとっては、マジでそのくらい不思議な光景だったのだ。
私だけじゃない。
高校の教室で同じ雑誌を見ていた時は、やはりクラスメートも笑っていた。
「こんなの、可愛いけど、この辺じゃいみねーよなー。どごで着るんだべな」って。
 
しかしその後、もう少し大人になった私は、ノースリーブのふわふわタートルニットには、寒さを凌ぐ以外の立派な目的があることを知ったのだ。
 
「男子をドキッとさせるため」
 
なんとー!!
 
そんな目的で使うのかー、と目からコンタクト……じゃなくて、ウロコがボロボロ落ちたよねー。
 
知らないって、怖い。
 
いやね、もちろん、全てのノースリーブニットが、男子をドキッとさせるために作られてるわけじゃないと思うし、そもそもそれは使い方の話であって、着る人がどんな目的に使ってもいいわけだけど、なるほどそういう考え方もあるのね、とまだまだウブだった私は感動すらおぼえたわけですよ。
 
寒い冬、ふわふわのタートルを着た女子が待ち合わせに現れて(なんならあごのあたりまでタートルで覆われて、ニットに埋もれてる感じの可愛さが演出されてるかもしれない)、お店に入って厚手のコートを脱いだら、おっとまさかのノースリーブ、それを見た男子はギャップにドキッ! って流れですね。
 
妄想でニヤニヤしちゃうなー。
いつの時代もギャップはテッパンてことよね。
 
でもなんか、バブリーな匂いもするのは私だけ?
 
なんて言ってる私は、その頃はまだ田舎の学生だったから、バブルの恩恵も何も受けちゃいないんだけど、だからこそ、そんな雑誌の中のモデルたさんちに憧れつつも、意味不明だわって毒づいてたのかもね。
ノースリーブニットや合コンがバブルの象徴なわけではないけど、そのころはまだ合コンとも、ましてノースリーブのふわふわタートルニットとも縁のなかった私は、要はひがんでいたのだろう。
今だったら、「機能」にまさる「意味」や「価値」を買っているのだっていうこともわかるんだけど。
 
もはや合コンに行く年齢じゃなくなったからなのか、単に意識をしてないだけなのかわからないけど、最近はノースリーブのふわふわタートルニットって、昔ほど見かけない気がする。
 
あの目的で使われることが減り、つまり需要が減ったからなのではないかという、超勝手で失礼な推測(笑)
単に、めぐりくる流行の谷間なのかもしれないけど。
 
ただ、ただですよ、今でもノースリーブもしくは半袖のニットって、売ってるわけじゃないですか。きっとまた、流行する時もくるとは思う。
そこに機能を超えた意味があることも、わかる。
 
それでも、北国出身の私は、やっぱり思っちゃうんだよなぁ。
 
それって、いつ着るの?
 
追伸:ノースリーブふわふわタートルニットの、「男子をドキッとさせるため」以外の用途をご存じの方がいたら、ぜひ教えていただきたい。
 
 
 
 
***
 
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2023-06-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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