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それ、名古屋ハラスメントですよね!


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:大谷 達也(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
「出身地はどちらなんですか?」
 
「愛知県の方で……」
 
「あ〜名古屋ですね! そういえばこの前、東山動植物園に行ってきたんですよ。ゴリラのシャバーニがイケメンで〜」(以下略)
 
初対面でよくありがちな出身地の話題。愛知県出身の私はこれがたまらなく苦手だ。
なぜなら私の出身地は、“勝手に”名古屋ということになってしまうからだ。
 
それを感じるようになったのは、大学進学を期に愛知県の辺境から上京してきたころ。新しくできた友人との会話、サークルの新歓、ゼミでの自己紹介。その度に出身地についての話題が出たが、そのすべてのコミュニティで、私の出身地は名古屋だということになっていたのだ。愛知県出身だと言ったにもかかわらず。
 
理由は明確だった。名古屋市という日本でも有数の大都市の存在。そして愛知県という「名古屋をとったら何もないんじゃない?」という外から見たイメージのせいである。ときには「名古屋県」などと揶揄されることもある。でも、実際は「そんなことはないんだ!」と声を大にして言いたい。名古屋以外にも、愛知県の魅力はたくさんあるんだ。
 
名古屋出身の人は気を悪くしないでほしい。でも、ここまで名古屋名古屋と言われ、知らぬ間に名古屋出身のレッテルをベタベタと貼られると、いい加減うんざりした気持ちになってくる。なんだか自分の出身地を否定されたような気分になるのだ。そもそも、同じ愛知県内といっても私の地元から名古屋まではどう急いでも1時間半以上はかかる。これまで行った回数も両手で事足りるほどだ。だから、おすすめの観光地も、おいしい味噌煮込みうどんのお店も、聞かれても答えられない。
 
じゃあ、「否定すればいいじゃないか」という意見もあるだろう。しかし、考えてもみてほしい。なんの悪気もなく、「名古屋出身でしょ」なんて言われたことに対して、大の大人が全力で否定している姿を。それはもう、みっともないったらありゃしない。だから私は、自分の心を押し殺して自分が名古屋出身であるかのように振る舞う。でも内心は、母親におもちゃをねだる子どものように、地面をのたうち回って全力で否定したい気持ちであることを理解していただきたい。
 
そんな行き場のない感情が生まれる原因を、私は「名古屋ハラスメント」と名付けた。またの名を、「神戸ハラスメント」「横浜ハラスメント」「金沢ハラスメント」と言う。(※諸説あり)
 
近年はコンプライアンスの高まりから、さまざまなハラスメントが問題視されている。パワハラやセクハラ、モラハラをはじめ、カラハラ(カラオケハラスメント)やキメハラ(鬼滅の刃ハラスメント)なんておかしなハラスメントが存在する。そんな「〇〇ハラ」が問題になるのであれば、名古屋ハラスメントもまた問題にされるべきであろう。傍から見ればどうでも良いことに思えるが、私にとってパワハラより、セクハラより、モラハラより耐え難いハラスメントなのだから。
 
名古屋ハラスメントによる被害者は私だけではない。世の中には、さまざまな名古屋ハラスメントが横行している。その代表例が皆さんもご存知であろう名古屋めしだ。彼らもまた、人々の無意識な名古屋ハラスメントに頭を悩ませているに違いない。(※個人の意見です)
 
名古屋めしの代表的なきしめんは、発祥は愛知県東部の三河地方で生まれた「いもかわうどん」だと言う説が有力だ。もう一つの説も、三河で雉(きじ)の肉を入れたうどん「きじめん」が名古屋まで伝わり「きしめん」と呼ばれるようになったという話だ。いずれも名古屋が発祥ではない。
 
味噌かつや天むすの発祥も名古屋ではない。そもそも愛知県ですらない。名古屋の隣町である三重県のグルメであるが、これもまた「名古屋めし」と呼ばれている。そのほかにも、岐阜県の鶏ちゃん焼きという名物まで名古屋めしと呼ばれる始末だ。名古屋に近い都市の食べ物は、外から見ればすべて「名古屋めし」なのである。このように、皆さんの思っている以上に名古屋ハラスメントの被害は後を絶たないのだ。(※個人の意見です)
 
私が何を言いたいかというと、人に出身地を聞くときにはぜひとも慎重な気持ちで聞いてほしいということだ。あなたの無意識な「名古屋ハラスメント」が誰かを傷つける可能性があることに気づいてほしい。面倒臭いお願いだが、自分の地元を、愛知県を誇りに思っているからこそ伝えたいことなのだ。決して名古屋が嫌いなわけではない。
 
そんな私も上京して早8年。名古屋ハラスメントのかわし方も板についてきた。
 
「出身地はどちらなんですか?」
 
「静岡県です」
 
 
 
 
***
 
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2023-06-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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