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ゴルフ沼に一番遠くからはまる


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:籔田聡(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
最近まで、ゴルフを楽しんでいる人が、世の中に結構いることが理解できなかった。
あの小さなボールを打てるのは曲芸に近い。
きっと自分とは体の構造が違う。
あるいは、みんな野球部だったんだろう。最近は女性も多いけど、彼女たちは天才か。
冗談抜きでそう思っていた。
 
ゴルフを最初に2度とやらないと思ったのは、大学生の時だった。
体育の授業にゴルフがあった。近くのゴルフ練習場に行って打つだけの授業。それで単位がもらえる。楽そうだな、ぐらいの軽い気持ちで受けることにしたのが間違いだった。
最初に先生がクラブの握り方、スイングのやり方をレクチャーしてくれた。ただ、その後は3、40人の生徒に先生が一人なので、細かく教えられるはずはない。
まず、ボールに当たらない。
空振りが当然の状態からスタート。
これだけでも、メンタルが安定しない大学生が、ゴルフを始めるには過酷な状況だった。
さらに良くないのが、4人1組で男女混ざってチームで1打席を打つ形式だ。
大学生だった私は、異性の前でカッコ悪いところを見せたくない!
と思えば思うほど、力が入ってしまう。最初は力まずに当てるところから教わったが、身体に力が入ってしまう。
毎週の授業でやれば少しはマシになりそうなものだが、同じ打席に気になる可愛い子がいると、余計張り切ってしまい結果は最悪である。
半年やったが全くゴルフは上手くならなかったし、気になる可愛い子とは仲良くなることはできなかった。
ゴルフは苦い思い出と共に、私の中では厳重に封印された。
 
その後社会人なって数年も経つと、いろんな場面でゴルフをやらないのかを訊かれる。ちょっと踏み込んでくる先輩などは、ゴルフを始めるように勧めてくる。
「ゴルフはお金と時間かかると聞くので手を出してないんです」
と適当に返していた。
そのうち自分の同期がゴルフを始めると、一緒にやろうと誘ってくる。
「サッカーが好きやから、走れるうちはサッカーをやろうと心に決めている」
と最もらしい回答でなんとか逃げていた。
実際、始めるのにお金がかかるスポーツなので、無理強いはできない。
私の中には、苦い思い出と2度とゴルフに手を出さない固い決意があった。
 
それでも一度だけゴルフにリベンジしようとしたことがあった。
社会人も5、6年目の頃になると、友達や会社の同期がそこそこの人数がゴルフを楽しいと言っている。そこでとある感情が芽生えた。
始めてすぐの彼らは楽しいと言うが、そんなに短期間でゴルフは上手くなるのか?
私は授業とはいえ、半年やったのにほぼボールを打てなかった事実がある。そこに納得がいかなくなってきた。
私は正しく教えてもらわなかったから、上手くならなかったんだ。
今はクラブもボールも進化してるから、あの頃よりも簡単になっているんだ。
色々と考えた結果、私でも今ゴルフを始めたらそこそこ上手くなるはずである。
という、都合の良い結論に至った。
そして、友人達に執拗にゴルフを始めるよう勧められたので、封印が緩んでいた。
ゴルフに再び手を出してしまった。
結果、教え方の問題でも、道具の問題でもなかった。
数回レッスンに通って、友人達に強引にラウンドに連れて行かれ、散々な目に遭った。
そして、今度は自分にはゴルフのセンスが全くないことを学んだ。
2度とやらないという封印は前よりも厳重になった。
 
それから長い年月が経ったある日、先輩から言われた。
「来年から俺がゴルフ始めるから、一緒にヤブタもやろうや」
「えっ」
忘年会で、酔っ払いながら話してるので、適当に受け流そうと試みる。
他の先輩達はすでにゴルフを嗜んでいる方々なので乗り気だ。形勢が良くない。
封印があるため、私にとってゴルフは一番遠い存在なのだ。ここは逃げ切らないと。
「いいですね、じゃ年明けたら予定組みますよ」
幹事を引き受けて、忙しいことを理由に有耶無耶にする作戦に出る。
しかし、現代は便利な世の中になっていた。その場でネットでゴルフをラウンドする日が予約される。
逃げ道が一瞬でなくなった。
与えられたのは3ヶ月の猶予だけだった。
決まったものは仕方ない。
ドタキャンもできるが、まぁそれも大人気ないので腹を括ることにした。
3ヶ月後のゴルフラウンドをどう乗り切るかだけ考えた。自分には経験もセンスもないので、時間とお金をかけるしかない。
最も通いやすいところでレッスンを毎週受けることにした。
真面目に毎週通ってレッスンを受け、教えられたことをノートにまとめ、空いてる時間には自主練もした。
しかし、私にはセンスがなかった。3ヶ月後のラウンドは前回行った時と状況はさほど変わらなかった。つまり、散々な状況だった。その日は、カートに乗ることはなくクラブを持って走り回った記憶しかない。
 
ところが前回と変わった点があった。この全くできない感じが懐かしい。
最近、仕事でも趣味でも自分の持ってるスキルを発揮することしかしていない。少し新しいことでも過去の経験を繋げれば、合格点は出せる。
0点に近い結果を突きつけられるのが新鮮だった。しばらく、経験したことがない感覚だった。
「これ全然できないぞ」と思いながら、笑っていた。
無駄に力む要素が無いことも良かった。
一緒にいる先輩も私が下手なことが前提なので気にならない。可愛くないおじさん達であることも逆に良かった。
そして、自分がセンスがない自覚があるので、変な期待もないので結果を素直に受け入れられる。
0点でも何も問題がなかった。最初は全然上手くならないことに絶望していたが、だんだん失敗を繰り返せるのが楽しくなってきた。
 
とうとうその時がやってくる。0点が1点になる瞬間。
具体的には、7番アイアンが狙った方向に真っ直ぐ80yd飛んだぐらいの話だ。
初心者はまず7番アイアンで120yが目標とよく言われるので、極めてレベルの低い話である。
ただ自分としては、「ちょっと上手くなったかも」と思った。
この時にゴルフ沼にハマっていた。
最初が0点だった分、伸び代が多かった。下手には変わりないが成長するので楽しくなってしまったのだ。
 
あれから1年が経ったが、今でもゴルフを続けている。
まだ15点ぐらいだが楽しい。
 
 
 
 
***
 
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2023-07-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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