メディアグランプリ

半歩先を意識したら、平社員から部長になった


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:くろねこ(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
管理部門1人目の正社員として会社に入社した。
確か当時は30人にも満たない社員数で、管理部門は上場準備のために大株主からの出向組のエリートでガチガチに固められており、素人の私は入り込む隙などなかった。
 
事実、なぜ私は採用されたのだろう、と思うくらいに仕事がなかった。
仕事を振る人がいない。そういえば面接官だった社長は私のことは殆ど見ずにずっとケータイをいじっていたっけ。超絶ブラックな環境だった前職で疲れ切っていて、今はやる気のない私にぴったりの職場だろうと思って入社を決めたのだが、想像以上だった。
 
上司にあたる人に、何か仕事はないかと聞くと心底面倒くさそうに「じゃあ新聞から業界ニュースをピックアップして」と言われた。目的を聞くとあなたの勉強のためだ、とのこと。
 
 
1週間経っても、10日経っても、なんの仕事も振られない。時間つぶしに始めた社内の整理整頓もやり終えてしまった。どうしても暇なので、ピックアップした新聞記事をメルマガ風にして全社に共有することにした。当然ながら誰も読んでいる様子はみられない。
 
上司も読んでいなさそうだったので、勝手に社内で耳にした社員のニュースも付け加えることにした。Aさんが今週誕生日ですよ、とかBさんの好物はローソンの唐揚げ、とかCさんはお子さんの夜泣きで昨日2時間しか寝てないらしい、とか。本当にどうでもいい内容だ。
 
不思議なことに、仕事に直結する業界ニュースよりも身近な人のどうでもいいニュースのほうが気になるようで、購読率があがり、ランチタイムにちょくちょく話のネタとして使われるようになった。そのうちに「これを書いて」とか「このネタは書かないでね」とお願いされることも多くなってきた。いつの間にか私は社内のインフルエンサーになっていたようだ。
 
この影響力を利用して、私は社内ニュースとして求人広告を出すことにした。
「私ヒマです。だれか仕事をください」
 
すると雑用ではあるものの、ちょこちょこ連絡がくるようになった。
その雑用を+αで返すことにした。依頼された範囲の半歩先がターゲットだ。なんせ暇だから。
 
例えば営業さんに資料の印刷を頼まれたら印刷するのは当然として、訪問にちょうどよい時間の電車の乗換案内と地図を一緒に印刷してお渡しした(当時、乗り換え案内や地図はパソコンでみるものだった)。会食場所の手配をして、と言われれば、お相手のことを検索して最近の記事をピックアップしたり、お相手のインタビューやSNSなどから趣味嗜好が書かれた内容をまとめて送付しておいた。
 
気が利くねぇと言われたが、相手の行動を見ていれば依頼された仕事の先に何があるかなんてすぐわかる。だって私は暇だから、ずっと社員の動きを観察していたのだ。見えない範囲はそれとなく直接聞けば良い。
 
 
だんだんと仕事の内容も変化して、資料をイチからつくって、と言われるようになった。私が昔、美術で2を取ったことがあることは誰も知らないから、そんな思いきった依頼ができたのだろう。
幸いにして私の手元には、印刷を指示された資料が大量にあったのでテンプレート化することにした。
 
事業毎に資料を分類してパーツ化して、依頼がきたらそれらを組み合わせて再利用できるようにしたのだ。Aさんからもらった資料をBさんの依頼にも使い回す。テンプレート化により、資料完成までのスピードが上がり、あいつは仕事が早い、と言われるようになった。大半はただコピペしているだけなので、誰がやっても早くできるのだが、タネ明かしをしてしまうと仕事が減るかもしれないので黙っておいた。
 
 
そんな折、社内でクーデターが起こった。
結果的に社員の半数ほどが退職していったが、やる気のない私は色々あるんだなぁと思いながら淡々と日々を過ごしていた。しかし仕事が減ってしまった。暇なのは嫌だ。上の人とランチでも行って仕事がないか探ってみよう。この頃には入社時と比較すると信頼されるようになってきたので、上の人も本音で話してくれることが増えていたのだ。
 
詳しく状況を聞いていると「俺の言葉が社内に届かない……」とショックを受けているようだった。クーデターの一件が尾を引いているようだ。そこで新卒採用を提案した。元々私は人材会社の営業だったのと、前職でも新卒採用に関わっていたので、なんとなくの採用の流れも新卒の子の真っ直ぐさも知っていたからだ。
 
 
新卒採用プロジェクトは思っていた以上に大変だったが、非常に優秀なメンバーが加入してくれた。最初は私が彼らに仕事を教えることもあったが、元々のレベルが私とは違う。彼らはあっという間に階段を駆け上り、重要なポジションに就くようになった。頭だけでなく人柄も良い子たちだったので、採用した恩を感じてか私のことを立ててくれた。そんな彼らの活躍と後押しもあり、いつの間にか私も部長と呼ばれるポジションに就いた。
 
 
いま振り返ってみても、私は頭が良いわけでも、特別な能力があったわけでもない。
ただ、自分が今できることの半歩先の領域は取りに行く、という行動をしてきた。ここまでの道のりは本当に運と縁が良かったとしか言いようがないが、現状の範囲内で収まっていればきっと運と縁も取り逃がしていただろう。
 
現状維持は後退の始まりだ。
 
ウォルト・ディズニーも、松下幸之助も、ナイチンゲールも言っている。
世の中は日々変化しており、新しい技術や新たな才能は次々と生まれる。
 
ただ、人には「現状を維持」しようとする本能が備わっている。現状維持バイアス、という名前までついている。自分の現状から一歩先に踏み出してしまうと、体の半分が出てしまう。これは変化が大きすぎてちょっと怖い。
 
でも現状維持のままであれば、将来がもっと怖い。
今この瞬間に取り残されないために、自分の本能に気づかれない範囲の「半歩先」を繰り返してみる。
そうすることで、少しずつ未来は開けてくるのだと信じている。
 
 
 
 
***
 
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2023-07-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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