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総勢12名の大所帯日帰り旅行を楽しむ方法


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記事:花 橋子(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
7月の連休最終日。熱中症警戒アラートが出される中、わたしを含む女性教員6名とその子ども6名は、電車で伊勢を目指していた。
 
教師は聖職者といわれることもあるが、実際には教育を販売するサービス業である。学習環境を整え、楽しく効果的な教育を提供し、卒業後の進路まで確保する。何か問題が発生したときは、学生本人はもとより、保護者にも寄り添い、卒業まで教育サービスが受けられるように対策を練る。学校なんだから、先生なんだからと不条理なことを投げかけられるのは日常茶飯事だし、今のご時世、ちょっとした言葉の投げかけにも、細心の注意を払わねばならない。
 
当然、ストレスがたまる。
 
ということで、仲良しの教員で伊勢神宮にお参りに行き、悪い気を払おうということになり、猛暑の朝に、電車に揺られることになった。
 
こういったプライベートでの日帰り旅行は、初めてだ。6名のうち4名が子ども同伴だが、普段見られない同僚の「母の顔」が見られて、なんだかほっこりしてしまう。
 
子ども同士は、ニンテンドーSwitchの「あつまれどうぶつの森」というゲームを通して、自己紹介をしていた。口を利く前にゲームでつながるとは! と時代を感じる大人たち。令和のコミュニケーションに驚いている間に、伊勢に着いた。
 
 
猛暑の中、本宮を目指して総勢12人で歩く。日差しは強く、一瞬で汗が噴き出してくる。「暑い!」「ねえ、暑い!」と至極当然のことを言い合い、ありとあらゆる熱中症対策グッズで身体を守りながら進んで行く。連休最終日は混みあうことを覚悟していたが、熱中症警戒アラートが出されているせいだろうか、思ったより人は少なかった。
 
鳥居をくぐり、木立に入ると、幾分暑さが楽になる。ところどころで打ち水をしてくれているので、ひやっと涼しさも感じる。「神様の近くは空気が違う!」とテンションも上がって来た。子ども同伴の人は子どもの撮影に余念がなく、「夏休みの自由研究用に」と説明書きも丹念に写真に収めている。
 
本宮に着き、伊勢神宮の参拝作法に従って、二拝二拍手一拝。お参りをすると心が洗われたような気持ちになるのは、日本人だからだろうか。心なしか、みなの顔もすっきりした気がする。足どりもなんだか軽い。
 
そのあとは、お楽しみのおかげ横丁に行き、各々好きなものを食べたり買ったりした。猛暑の中ではあったが、子どもを含め、体調不良者が出ることなく、無事に伊勢の旅は終わった。
 
 
この12人の旅、「楽しそう」という人もいれば「子どもが6人もいて大変そう」という人もいて、はたと振り返った。
 
子どもがいて大変だったか?
 
いや、大変ではなかった。それほど、気にならなかったというのが正直な感想だ。
 
しかし、わたしは子持ちではない。そこで、子ども同伴で行った同僚に聞いてみると、「全然楽だった!」とのこと。そして、「家族で行く旅行の方が大変に感じる」とも言っていた。
 
はて、これはなぜだろう。
 
初対面の大人に囲まれた子どもたちが、緊張して大人しかったというのもあるかもしれない。
 
しかし、わたしは、大きな理由として、「教師」という職業が関係しているのではないかと思う。
 
教師は、学生を引率して出かけることも仕事のうちだ。市内のちょっとした引率もあれば、修学旅行のような宿泊を伴うものもある。10人程度の人数なら少ない方で、多ければ30名を超える学生を1人で引率することもある。
 
学生の行動は未知数だ。おしゃべりに夢中で迷子になる学生いるし、トイレに無言で行ってしまう学生もいるし、集合時間に現れない猛者もいる。スマホを忘れた、お財布を落とした、などのトラブルも発生する。
 
そうならないよう、教師は学生の動向に目を配る。誰がどんな服装で来たか、誰と誰がいっしょにいるか、体調はどうか、要注意な学生はどこにいるかなどを常に把握し、目と気持ちを離さない。まるで、ツアーコンダクターだ。
 
そんな教員のサガが、プライベートでも自然と出ていたのだと思う。
 
考えてみれば、わたしも全員がどこにいるのかなんとなく把握していたし、親と手をつながないで歩いている子どもには、声をかけていっしょに歩いたりしていた。
 
また、人が無言でいなくなる大変さを全員知っているので、トイレや売店に行くときは、必ず声をかけ合っていた。そのため、「あれ? どこ行った!」と慌てて誰かを探すということもなかった。この「場を離れるときに、必ず誰かに声をかける」ということは、意外にできていない人が多いものだ。
 
それぞれ楽しみながらも、お互いの動向を気にして行動すること。それができていたからこそ、この旅行は成功したのだろう。
 
 
大変楽しく旅を終えた私たちは、早くも次はどこに行こうと相談している。
6名のツアーコンダクター、いや、教員がいる旅は心強い。
 
 
 
 
***
 
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2023-07-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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