メディアグランプリ

冷蔵庫の「あれ」を退治をしたら、料理の偏差値が上がった話。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:kana(ライティングゼミ・6月コース)
 
 
私の冷蔵庫には妖怪がたくさん住んでいる。
 
2年ほど前に一人暮らしを始め、
自炊を頑張ろうと張り切った。
「オムライス食べたいから、ケチャップ買おう」
「天津飯も作りたいから、オイスターソースも要るな」
その結果、あれよあれよという間に調味料が増えた。
 
しかし、一人暮らしだから料理の量は少なく、購入した調味料をなかなか使いきれない。
 
こうして、いつ買ったかわからない、おそらく賞味期限切れの調味料たちがひしめき合う、恐ろしい場所が出来上がった。
 
「そろそろ、なんとかしたい」
重い腰を上げて、妖怪化した調味料たちを退治することにした。
 
妖怪退治 其の壱、「カラシ」
納豆についている黄色の小袋を集め続けていたら、山のように。
両手いっぱいに掬うと、まるで、砂金を持つカオナシのようだった。
「これが砂金ならいいのにな……」
いくら妄想しても、カラシは砂金にならない。
どうやってこの子達を使い切ろうか。
 
カラシといえば、カラシ和え。
カラシ和えといえば、菜の花。
しかし、季節は夏。
菜の花は、ちょうどシーズンオフだった。
 
他のカラシ和えはできないのか……
調べてみたら、小松菜のカラシ和えというレシピが出てきた。
「小松菜ならちょうど家にある!」
 
作ってみると、菜の花とはまた違った爽やかな風味が広がり、美味しかった。
「チンゲンサイでも合いそう」
菜の花じゃなくても、青菜とカラシとは抜群に合うとわかった。
これまでは「カラシ和えといえば菜の花」というひとつ覚えだったが、「カラシ和えといえば青菜」という応用の効く公式にたどり着いた瞬間であった。
 
妖怪退治 其の弐、「ポン酢」
冷蔵庫にすでにあったのに、先輩に薦められた美味しいポン酢を買ってしまった。
新参者に先を越された彼は、拗ねて隅っこでうずくまっていた。
「大丈夫、ちゃんと忘れてないからね!」
 
冬は、水炊きに湯豆腐に使ったり、大活躍だった。
夏になり、白菜の消費減少とともに、ポン酢の消費も冷え込んだ。
課題は、「夏にさっぱりポン酢をたくさん食べる方法」を編み出すことだ。
 
実家では、父の好きな鰹のタタキをよくポン酢で食べていた。
しかし、「海無し県」での一人暮らしにおいて、鰹のタタキを食べる機会は少ない。
もちろん、食べたいとは思っているが、新鮮なものが安く手に入りやすい環境ではなく、閉店間際のスーパーでは、見当たらないことがほとんどだ。
実家から送られてきた鰹のタタキの画像を、指を咥えて眺めていると、
鰹の横にあるものにハッと気づいた。
 
「玉ねぎスライス」
これを鰹節とポン酢で和えたおひたしを作ってみた。
いつも鰹のタタキと共にポン酢で食べてきたのだから、この組み合わせが合わないわけがない。
冷蔵庫で冷やすとさっぱりして、いくらでも食べられそうだった。
玉ねぎはそう高くないし使い勝手がいいから、一人暮らしでもたいてい家にある。
こうして一人暮らしに優しい方法で、無事にポン酢を使い切ることに成功した。
 
妖怪退治 其の参、「粒マスタード」
ハニーマスタードチキンを作りたくて、買った。
しかし、そんなおしゃれなご飯を作る頻度は、決して高くなかった。
ノリと勢いで買った調味料ランキング、堂々の一位。
 
どうやって使うか考えて、まず思いついたのはポテトサラダだった。
しかし、めんどくさがりに定評のある私。
ジャガイモを茹でて皮剥いて潰すことをイメージしただけで、やる気を失った。
 
そうしてダラダラと検索を続けていると、あるレシピに出会った。
それは、「ブロッコリー」を、まるでポテトサラダのようにゆで卵とマヨネーズで和えるというもの。
ジャガイモと戦わなくていい気楽さから、やる気は復活した。
作ってみると、ブロッコリーもジャガイモに負けず劣らず、ホクホクしてとても美味しかった。
カリフラワーで作っても美味しいかも。
「ホクホク系の野菜は、ポテトサラダ風に和えると美味しい」
これまた活用しやすそうな公式が見出された。
 
妖怪退治 其の肆、「柚子胡椒」
いわゆる「味変」用に購入するも、日常遣いができていなかった。
そして存在すら忘れていた。ごめん……
 
前に柚子胡椒を使ったのって、いつだっけ。
確か、鶏胸肉の炒め物に使った。
「そうか、鶏肉と相性がいいのか」
そんなことをボヤッと考えながら、ファミマの前を通ったその時。
ある広告に目が吸い寄せられた。
 
女の子が手に持っているのは……「柚子胡椒味の唐揚げ」だった。
どうやらファミマの企画担当の偉い人も、「鶏肉×柚子胡椒」に注目していたらしい。
無敵コンビかもしれないと確信した私は、いそいそと帰宅した。
 
お酒、お醤油とたっぷりの柚子胡椒を揉み込んだ鶏もも肉を寝かせて、味を染み込ませる。
そして片栗粉をふんだんに付けて、カリッと揚げると……
「ビールに合いすぎる!」
思わず叫ぶほど、完璧な一皿ができた。
噛むほどに、柚子胡椒の風味が香り立つ。
こうして忘れ去られた柚子胡椒は、私に感動を与えてくれた。
 
そうこうしているうちに、調味料ラックはずいぶんスッキリした。
良かったことは、それだけじゃない。
「食材の相性を考えたレシピの水平展開」ができるようになり、料理に対する意識が根本的に変わったのだ。
 
これまでの料理は、
① 食べたいものを思いつく。
② レシピ検索して、材料を購入して揃える。
③ その通りに作る。
の繰り返しだった。
 
自分の頭の中にあるレシピしか作ってこなかったし、冷蔵庫にある物で組み合わせを考えられなかった。
 
しかし今では、
① 冷蔵庫の中にあるものを確認する。
② 食材の組み合わせを考える。
③ 作れそうな料理を工夫して作ってみる。
という流れに変わった。
 
冷蔵庫の中の調味料をどう使い切るか考える過程で、「食材の組み合わせ」という応用できる公式がたくさん頭に入ったのだ。
 
すると、俄然、料理が楽しくなって、どんどんレパートリーが増えた。
こうして、私の料理の偏差値は急上昇したのであった。
 
私の妖怪退治の話は、これでおしまいおしまい。
さぁ、今度はあなたの番。
冷蔵庫で息を潜めている調味料たちに、活躍の場を与えてみませんか?
 
 
 
 
***
 
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2023-08-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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