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地元の夏祭りではしゃぐ大人が、今の私の憧れです


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:とみづか みほ(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
「ひかりもの、いかがですかー!」
 
私は食いしん坊なので、ひかりもの、と言えば真っ先にお寿司が思い浮かぶ。が、これはお寿司の話ではない。
 
場所は、お祭りの出店である。
 
先日、移住してからお世話になっている方の頼みで、夏祭りの出店の売り子を手伝った。
商品は、暗いところで光るブレスレットや、LEDを仕込んだ風船。それに昔懐かしいシャボン玉や、吹き流し(息を入れると紙が長く伸びる笛)や、水笛(鳥の形をした笛。水を入れてしっぽから吹くと、ピヨピヨピヨと鳴く)等があった。
 
売り子は私以外にも5、6人いて、大半がお世話になっている方の同級生だった。50代くらいの良い大人の、お兄さんお姉さんだ。
冒頭のセリフは、そんなお姉さんの一人が思いついた、キャッチーなフレーズだ。
 
こんなふうにはしゃいでいる大人は久しぶりに見たな、と思ったのだが、
プラスチックの小さな水笛をみんなで一生懸命吹いて、(子供向けの)客引きをしていたのが、本当に楽しそうだった。
中には息が漏れ出て音にならず、カスカスした鳴き声の鳥もいたが、それもまた一興。蒸し暑い夜に、素面の大人が、笑い合いながら店先に立っている姿はとても愉快だった。
 
 
さて、これを読んでくれているあなたには、地元と呼べる場所はあるだろうか。
 
私には地元があるようでない。
出身は神奈川県だけれど、父親の仕事の関係で移り住んだ場所だったので、よく知っているかというと、そうでもない。
 
さらに、小学校はなんだかやんちゃな同級生も多く、「先生大変そうだな」ということばかり思っているような冷めた子だったので、周りからちょっと浮いた感じで過ごしていた気がする。
 
そんな感じなので、自分が小さい頃に住んでいた場所を地元と呼ぶなら、
地元に帰って暮らそうかな、と思ったことは今までなかった。決して嫌いなわけではないのだけれど。
 
今回私を誘ってくれた方は、数年前まで別の土地で暮らしていた。
売り子の一人でもあった友人に「戻ってきたら?」と言われたのをきっかけに、地元に戻ってお店を開いたらしい。
 
様々な経験を積んだ年齢で、帰ろうと思える地元があるというのは、私にとっては驚くべきことだった。と同時に、うらやましいなとも思った。帰ってきた地元に、集まれる仲間がいるというのも、みんながみんな出来ることではないと思う。
 
 
お兄さんお姉さん方を見ていて「いいなぁ」と思った理由はもう一つある。
 
気持ちが良いことだ。
 
今はもう、自分と全く同じ人生を歩む人はいないんだと気づいて割り切れてきたけど、
私は20代の頃なんか特に、あの子にはあって自分にはないもの、みたいなところに目が行きがちだった。
 
結婚している、子どもがいる、いい家がある、いい仕事に就いている、周りの人に恵まれている、とか。
必死に隠してきたけれど、どこかでうっすら見えていたんじゃないかと思う。
 
世代的なものなのか、性格なのかは分からないけれど、ひとまわりぐらい年上のお兄さんお姉さんは、
そういうところから離れて、純粋に水笛を楽しんでいるように見えた。少なくともその一瞬は。
打算などなく、友人と楽しくやろうという、明るいあったかい空気でいっぱいだった。
 
 
振り返ってみると、夫の地元に引っ越してきた当初は、大げさなようだけれど、アイデンティティがかき消されるような感覚に陥っていた。
 
風土が違う、訛りが違う、知り合いがいない。
そういう土地で生活してみると、どこにいてもよそ者で、根無し草で。都会とは違う意味で、自分が匿名の存在になったように感じた。
もしかしたら、海外に留学したての時に味わうのはこんな気持ちかもしれない、とも思った。
 
ただそれには自分の思い込みも大いにあって、関わろうとしてくれている人は周りにたくさんいたのだ。
半年くらい経ってみて、ようやくそのことに気づく余裕が出てきた。
 
その時に参加した夏祭り。
この土地には、自分よりも少し先の人生を歩んでいる人と関わる機会が、東京よりもずっとたくさんある。
その姿を見て、こんな大人になれたら楽しいだろうな、とか、こんな年の重ね方をしたいな、と考える。
 
この土地に馴染んでいけたら、
 
「ここが私の第二のふるさとです」
 
なんて言える日も来るのかもしれない。
 
 
「売り子をお願い」という話はある意味口実で、まだまだ知り合いの少ない私を夏祭りに誘ってくれたのだと、後から気づいた。どこまでも素敵な大人だ。
 
ちなみに、そんな愉快な大人たちと一生懸命売った風船や水笛だったが、収支は赤字に終わったとのこと。来年こそは黒字にと、楽しみもできた夏の日だった。
 
 
 
 
***
 
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2023-08-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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