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高級レストランほどただのパンが1番美味しいと思ってしまう

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:村人F ((ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
お盆休みで実家に帰っているとき、母に高級レストランへ連れて行ってもらった。
ランチで1万円という田舎ではビックリの超VIP店だ。
もちろん予約も1ヶ月以上前にしなければいけない。
そういう素敵な場所を提供してくれた親には毎度のことながら感謝しかない。
 
出てくる料理もまあ豪華なこと。
野菜たくさんの前菜から盛り付けが素晴らしいし、メインの豚ステーキも上品。
デザートのスイカジェルまで全てにおいて一切手を抜いていないのがわかる。
これら高級な理由が実感できるコースを堪能できた。
 
ただ1番美味しかった料理を聞かれると、正直言葉に困る。
色々と凄いメニューも出されて、いずれも完璧だった。
しかし、これら全てを差し置いて最も印象に残った一品。
 
これがパンだったのである。
しかも、なにも飾り付けもしていない小麦100%の物だ。
それでもインスタ映えどころではなく豪華に盛り付けられた品々以上に美味しいと感じたのである。
これを恥ずかしくて言い出せない自分もいた。
 
しかし改めて考えてみると、自然なことかもしれない。
なぜならパンをいっぱい食べてきたからだ。
これは他の料理を見ればわかる。
 
例えば今回出されたメニュー「鮎とふきのとうのカッペリーニ」なるパスタは、いかにも高級店らしい素敵な名前の一品である。
見た目も美しく味も完璧だった。
 
しかし、あまりにも特殊すぎる。
名前を覚えられる気がしないし、そもそも次に食べるタイミングもあるのか怪しい。
味を説明しようとしても、調理法や味付けが独特すぎて言葉が思いつかない。
そのため全体としては最高という印象を持てるのだが、個々の料理に着目すると覚えていない、というのが正直な感想になってしまう。
 
その点、パンはいい。
人生で何回食べたかわからない。
明日も食べるかもしれない。
ゆえに僕の人生ですら、大量の比較対象がある。
 
だから、一口食べた瞬間に驚いた。
パンだけで、こんなに甘いのだと。
 
使っている小麦は地元秋田とイタリアのブレンドだという。
これを天然酵母で発酵させた自家製パンなのだが、もうスーパーとは次元が違うのである。
ご飯をよく噛めば甘くなるのは有名な話だが、このパンは3口目から甘い。
ああ、小麦って優しいんだ。
このような素朴な感動に浸りながら、ちぎる手が止まらない。
もちろんバターやらジャムなんて物はない。
ただパンだけでも美味しいのだ。
ゆえに1番と断言できる存在になったのである。
 
そして、これだけ感動できた最大の理由は、パンをたくさん食べてきたからである。
つまり経験を積んだからこそ、違いが理解できたのだ。
普通だったらジャムなどで味付けしないと美味しくない。
そういうイメージがこびりついているから、そのままでも味わえることに驚くのだ。
これも数え切れないほど食べたからこそできる芸当である。
 
そう考えると1番気を使わないといけないのは、実は皆が知っている物なのかもしれない。
和食でいうご飯とみそ汁。
このような基本的すぎて、もはや料理という意識すら無くなっている品こそ気合を入れる必要があるのではないか。
 
なぜなら、これらは誰もが多くの経験を積んできた食材だからだ。
そのため確実に比較対象を知っている。
だからこそ差を明確に認識できるのだ。
米の違い、水の違い、炊き方の違い。
これらプロの技に気付くことができるのも、作り方を知っているからだ。
 
だからこそ高級店は基本的な部分でも気を抜かず、むしろそういう場所こそ最大限にこだわるのである。
彼らは心得ている。
全員が知っているパンやご飯が、全ての土台になることを。
そしてメインをどれだけインスタ映えマシマシにしたところで、ここが不味ければ台無しだということを。
 
つまりパンで1番感動できたことこそ、このレストランが最高だった1番の証明なのである。
ハッキリ言って他に何が出たかは覚えていない。
しかしパンが美味しいことは永遠に忘れない。
そのため他の料理も間違いなく最高だったと断言できる。
これこそ全ての基本となる主食の力なのである。
 
こうして基礎の大事さを高級レストランで堪能できたわけだが、普段の仕事ではどうだろう。
結構、見た目や珍しい機能にはこだわるわりに、文章のちょっとした誤字を無視しているように思う。
しかしそういった基本的な部分こそ、みんなが気付く。
だからこそ、実は1番神経を使わない部分なのだろう。
 
そして、ここを丁寧に本気でやり続ければ、周りも信頼してくれるだろう。
なぜなら誰よりもしっかりとした土台を作り仕事をする証明になるのだから。
その上にある結果も立派に決まっているのだ。
 
これを証明した高級レストランを見習った仕事を私もしなければ、と心を改めるランチタイムだった。
 
 
 
 
***
 
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2023-08-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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