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1人焼肉に行ってみた!


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:とみづか みほ(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
「あそこ、1人焼肉の専門店なんだよね」
 
街を歩いていて、ふと友人が言った。どんな話をしていたかは覚えていないが、なぜかそのフレーズが耳に残っていた。
 
その時の私は、店で食べる焼肉というと、家族や親しい仲間内でテーブルを囲むイメージを持っていた。
中には1人で行く人もいるだろうが、それは肉好きな猛者だと思っていた。6人用の座席を悠々と使える「強さ」という意味でも、2人前以上だってぺろりと食べられるという意味でも。
「1人焼肉専門店」なら、座席やメニューについてはどうにか解決しているのだろうが、そもそもイメージがさっぱり湧かなかった。
 
私はどちらかと言うと、1人行動に慣れている方だと思う。カラオケ、映画、1人旅はさらりと行ける。
ただ、飲食店となると話は別だ。ファストフードやカフェならまだしも、それ以外だと妙に緊張してしまう。旅先で行ってみたものの落ち着かず、そそくさと店を後にしたことがある。
 
そういうわけで、
 
「1人焼肉、気になるけどハードル高いな」
 
というのが第一印象だった。
 
ある日、所用で同じ道を通った、その時だった。
仕事の休憩中と思しき人が、あの1人焼肉の店に吸い込まれていったのだ。
 
私は思った。
1人焼肉しようとする人、初めて見た! と。
店が存在している以上当たり前なのだが、私が知らなかっただけで、きっと1人焼肉をする人は一定数いるのだ。
この日を境に、1人で行くことへの不安がぐっと小さくなっていた。
 
 
「今週は仕事もうまく進まなかったし、なんだか疲れたなぁ。
何か元気の出るものが食べたい……」
 
ぼんやりそう思っていた時、思い出した。
 
「そうだ、1人焼肉に行ってみよう!」
 
こうして、良く晴れたお昼時、私は初陣の日を迎えた。
不安が小さくなったとは言え、どこか敵地に挑むような気持ちで、店まで歩を進めていく。
 
大丈夫、“1人焼肉推奨”という看板が私の背中を押してくれる。
店のドアを開くのに若干緊張するが、入ってしまえばこっちのものである。
 
席に通され、初めての来店であることを伝えると、丁寧に説明してくれた。
注文は全てタッチパネルで行うこと。網の交換もそのパネルから可能なこと。
注文したものはカウンターまで自分で取りに行くこと。
 
メニューは肉の種類が一通りそろっていた。特別メニューなんていうのもあるらしい。量はもちろん一人前。食べる量がさほど多くない私でも、気兼ねなく選べる。私はタンとハラミを、塩だれで頼むことにした。
サイドは悩んだが、ごはんセット。ごはんとスープ、小鉢にキムチがついてくる。
 
注文を無事に終えてほっとしたところで、周りを眺めてみる。
1人焼肉というくらいなので、1人ずつ区切られた席に、私専用の網が用意されている。なんだかぜいたくな気分。
 
テーブルの脇には、たれが何種類もあった。
たくさん頼んでも味変できるので、飽きずに食べられそう。
私はタンにレモン塩、ハラミに醬油だれをセレクト。お昼だし、さっぱりいこう。
 
1人焼肉専門の店って何かとコストがかかりそうだけど、自分で商品を取りに行かせる半セルフにして、コストを抑えているのかもしれない。
仕切りのおかげで周りの視線も気にならず、偉そうにそんなことも考えてしまった。
 
 
ほどなくして呼び出しがかかった。喜び勇んで私のお肉を取りに行く。
 
さて、いよいよ出陣。トングで網に並べていく。
ところがタンが思っていた以上に薄く、すぐにチリチリと焼け切ってしまう。
火が強かったのだ、急いで弱める。
こういう操作も、1人なら自分のタイミングでできる。
 
危ない危ない、焦らず行こうではないか。
若干焦げたタンをレモン塩につけて、一口。相性は抜群だ。
 
続いてハラミを焼いていく。
ハラミは肉厚で、じっくり焼ける。
焼きすぎないくらいが好みだなと思いながら、じっくり育てる。
よき頃合いで醤油だれにつけると、これぞ焼肉の味! ごはんが進む。
 
よし、だんだんペースが掴めてきた。
タンとハラミを、交互に食べていく。
しょっぱいのと甘いのが交互に来るのが最高だ。そして時々キムチ。
 
ここまで来たらビール頼んじゃおうかな……と一瞬思ったが、
1人だし初めてだし、ここは何事もなくお店を後にしたい、という保守的な私が顔を出してきたので、ビールは次回におあずけとした。
 
1人でじっくり肉と向き合い、黙々と食べ進めていたら、あっという間にお皿は空になっていた。
でも、大満足。焼肉ってたのしい。
 
「次はもっとおなかを空かせて。それからハラミ多めでもいいな」
 
などと早くも次回の作戦を立てつつ、店を後にした。
 
 
これまで「1人飲食店」は敬遠してきた私。ところが、思い切って行ってみたら、1人焼肉も楽しめた。
こういうふうに少しずつ新しいところに行けるようになると、RPG(ロールプレイングゲーム)でレベルが1つ上がったような気分になる。
 
過去に遊んでいたRPGを思い返してみる。キャラクターの属性に合ったアイテムや技を身に着けていくと、プレイヤーのレベルが上がる。そして次のステージへ進める。ステージが進むと、得られるアイテムや技もレベルアップしていく。そうして強くなった状態で、ボスに挑む。
 
私にとっての1人焼肉は、RPGのイメージで言うと、
 
「よく効く回復薬を手に入れた! レベルが5上がった!」
 
というところだ。こういう場所はいくつあっても嬉しい。
 
こうして新しいアイテムを増やしながら、また、日常を頑張っていける私になるのだ。
 
 
 
 
***
 
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2023-09-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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