メディアグランプリ

ナンパがこじらせていた私を変えた


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記事:松本萌(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
私のことを知っている人が「ナンパされる目的で銀座コリドー街に行った」と聞いたらびっくりするだろう。
自分で言うのもなんだが私の外見や性格から「ナンパされたい」と思っているようには見えない。むしろ「ナンパなんてとんでもない」と考えるタイプと思われているだろう。
冗談ではなく本気でナンパされることを目的にコリドー街に行ったことがある。
 
私は子供の頃から「真面目そう」「落ち着いている」「責任感強そう」と言われていた。外見や話し方がそう思わせるのだろう。
 
私の顔はいかにも日本人らしい顔立ちだ。目は一重で細く、鼻はさほど高くなく口は小さい。どのパーツも小さいためか少し笑ったくらいでは人に伝わらず、クールなイメージをもたれることが多い。
思いついたことを口にするのではなく考えながら話す癖があり、基本的にゆっくりで抑揚のない声で話すことが落ち着いた印象を与えるようだ。
 
子供時代は人見知りで表情が乏しく、真顔でいることが多かった。
中学生になる頃には真面目を超えて怖そうとか怒っているように見えると、同級生の男子にからかわれた。気にしない素振りをしていたが内心傷ついていた。
 
私の高校時代は「ギャル全盛期」だった。
多くの女子高生が髪を染めルーズソックを履き、ラルフローレンのベストにこれでもかと短くしたスカートを組み合わせて高校生活を謳歌していたとき、私は地毛の黒髪で白色のハイソックスを履き、膝丈のスカートで過ごしていた。
茶髪にルーズソックスや短いスカートに憧れはあったが、毎日部活で忙しくオシャレをする余裕がなかった。
女子校で異性の目を気にする必要がないことも影響していたのだろう。流行にのっていなくてもメイクをしていなくても気にすることなく、のびのびと過ごしていた。
 
大学ではインカレのテニスサークルに入った。女子大に入学したが男子と話してみたかったし恋愛もしたかった。
だが思うように振る舞えなかった。メイクをして女の子らしいファッションに身を包み、楽しそうに笑っている同期の女子メンバーに気後れし「私なんて」と思ってしまった。そして高校時代に克服したと思った人見知りを発症させてしまった。特に男性に対しての人見知りが強く、サークルメンバーと深い仲になることはなかった。
 
社会人になってもこじらせ状態から抜け出せなかった。好きな人ができても自分からアプローチができなかった。「恋愛は仕事よりも難しい」と真剣に悩む日々が続いた。
 
ある日気の置けない二人の友人に「男性と話すのが苦手なんだけどどうすればいい?」と相談した。友人の内一人は絶えず彼氏がいて、その日も付き合っている彼氏の話で盛り上がった。もう一人はよく男性にナンパされる友人で、女性である私も見とれてしまうほどの美人だ。
彼氏の途絶えない友人が「二人でナンパされにコリドー街に行ってきたら」と言った。男性と話すのが苦手な私にナンパなんてハードルが高すぎる。「無理無理無理、絶対無理!」と言う私に、美人の友人が「行こうよ!」と楽しそうに言い、あれよあれよという間にコリドー街に行く日にちが決まった。
 
初「ナンパされに行く日」が来た。
友人と新橋で合流しコリドー街に向かった。私達と擦れちがう男性陣の多くが友人の顔に釘付けになる光景を何度も見た。二度見、三度見する男性もいた。コリドー街に着く頃には何人もの男性に声を掛けられた。友人が、だが。
 
ある二人組の男性と飲もうとなった。
自己紹介をした後、飲みながらおしゃべりが始まった。ナンパをするだけあり、男性陣のトーク力は高かった。「どんな仕事してるの?」「休日はなにしてる?」「今日のファッションかわいいね」「スイーツ好き? オススメのカフェがこの近くにあるんだよ」
最初はぎこちなかった私もいつしか素で話して笑っていた。肩の力を抜いておしゃべりを楽しむことができた。友人に「楽しかったよ。自然に話せたよ」と伝えたら「よかった!」と自分事のように喜んでくれた。
 
「緊張せずに男性と話せた」という経験が私を変えた。男性と話すことに抵抗感がなくなった。以前はイケメンを前にすると全くしゃべることができなかったが、それもなくなった。その後彼氏ができた。
 
今年の6月にサークルの同期会があった。
以前の私だったら不参加にするところだが、今回は参加したいと思った。同期会の誘いが来たとき、大学の時に自ら壁を作ってしまったことに後悔の念を抱いていることに気がついた。後悔したままでいたくないと思ったのが参加の動機だ。
当時の思い出話や裏話、大学卒業後どんな人生を歩んできたのか、今どんな生活や仕事をしているのか、話がつきなかった。帰るころにはみんなと別れがたい気持ちになっていた。
 
「ナンパされに行ってきたら」という友人の提案に従っていなかったら、今でも私はこじらせたままだっただろう。
友人が男性慣れしていない私をコリドー街に連れ出してくれなかったら男性と楽しく話すこともできず、サークルの同期会にも参加せず後悔し続けたままだっただろう。
 
少しでも「変わりたい」という気持ちを持っていることに気がついたなら、変われない理由が「私なんて」というこじらせた気持ちであるならば、その時こそ変わるチャンスだ。
変わるには自分が「できない」と思うことに挑戦しなければいけない。エネルギーと勇気が必要だ。ただし一人で頑張る必要はない。私のように友人に助けてもらえばいい。私一人で悩んでいたら「ナンパされに行く」という変化球の解決策は思いつかなかっただろう。
本気で変わりたいと思って行動したら誰かが助けてくれる。
 
悩みや不安、もどかしい気持ちを感じたとき、信頼できる人に相談してみよう。出てきたアドバイスが突飛なものだったとしても軽い気持ちでやってみよう。思いのほかすぐ悩みが解決するかもしれない。私のように。
 
 
 
 
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2023-09-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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