メディアグランプリ

2043年の学校


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:カナコ(ライティング・ゼミ8月コース)
 
 
※この記事はフィクションです。
 
2023年10月9日、私は36歳の誕生日を迎えた。
教師になって、もう14年も経つのか。時の流れは早い。
朝はいつも通り、学校へ行き、8時10分の子ども達の登校に合わせて、門に立つ。
一人一人の顔を確認しながら、挨拶をする。
その内の男の子が、「先生あげる」と言ってヤモリを手渡してきた。
私は、思わず手を出してしまった。手の平には、ヒヤリとした感触とともにペタペタと動くヤモリが乗っている。そのヤモリは、私の腕を伝って耳まで辿り着き、私の耳たぶをぺろりと舐めた。その瞬間、私は気絶した。
 
目が覚めた時には、学校の保健室で横になっていた。やけに寝心地がいい。
よく見たら、体が宙に浮いていた。
え? どういうこと? 何で体浮いてるんだ?
疑問が続く中、保健室に教員らしき人が入ってきた。誰? 見たことがない顔だ。
「校長先生、そろそろ全校朝会が始まりますが、お加減はどうですか?」
え? 校長先生? 私が?
よく分からぬまま、「だ、大丈夫です……」と答える。
「じゃあ、これをつけて下さい」
寝たままVRのようなゴーグルを付けられた。
すると、バーチャルの世界で様々なアバターの子どもたちが体育館にいる。
しかし、整列はせず、それぞれ好きな場所で立ったり、座ったりしている。
 
とりあえず、朝の挨拶をして全校朝会は終了。
 
何がなんだか分からず、とりあえずトイレに向かう。
鏡を見ると、私の顔はかなり老けていた。
どういうこと?? 何が起きてるんだろう。
スマホを確認すると、日付は2043年10月9日。20年後の世界だ。
なるほど、20年後にタイムスリップしたのね。と冷静に受け止める。
 
とりあえず、校長室に戻り、学校要覧を見てみる。
表紙には、子どもの権利条約に関する4つの原則が太字で提示されていた。
1、 生命、生存及び発達に対する権利
2、 子どもの最善の利益
3、 子どもの意見の尊重
4、 差別の禁止
 
20年前にも、既に子どもの権利条約は締結されていたが、それを知っている教師は何%いただろう。
 
それが、まさか学校要覧の表紙に書かれる日が来るなんて。
 
ページをめくると、子ども達の学び方に関する基本理念が書かれていた。
・入学前に、WISCⅩという心理検査で、全員のIQを測る。その結果は、児童一人一人の名札に年齢と共に明記される。
・クラス分けは、IQによって行われる。但し、児童が自分のクラス以外に入室することを拒むものではない。
・登校は強制ではない。家庭での、オンライン通学も可とする。
・授業は、オンラインであればアーカイブで繰り返し受講することができる。
・学校にいる間は、児童がスマホを利用でき、どの教師とも連絡をとることができる。
 
など、主要な部分はこんなところだ。
 
私のいた時代は、WISCが第5版まで出ていた。ついに、第10版までいったのか。
と、どうでも良いことが気になる。
 
それにしても、IQでクラス分けをする? ってどういうことなんだ?
とりあえず、教室を回ってみることにした。
 
教室の前にぶら下がっている札には1年1組などとは書かれておらず、
「IQ80~85」などの数値が書かれていた。
中を覗くと、タブレットを使って一人で学習をしている児童がいるかと思えば、数人で集まり何かを話し合っている児童もいる。何を話し合っているのか聞き耳を立ててみると、運動会で実施する演目やルールについてだった。私が、「どう? 話し合いは順調?」と聞くと、
「いえ、みんなが楽しめる演目がなかなか決まらず困っています。とりあえず、ゆるスポーツを参考にしようと思って色々調べてはいるのですが」
そうか、20年後の学校では、子ども達が運動会を企画しているのか。
 
今度は、「IQ120~125」のクラスに行ってみる。ややIQが高い。
人数が少なめだ。しかし、年齢は6歳から12歳と幅がある。
年齢差はあるが、話し合いは真剣そのもの。
来年度、どんな専門性のある教師が必要かを議論していた。
「大分脳科学の理解も進んで、厳しい叱責が脳の扁桃体の働きを活発にしてしまうことは全員の教師が納得できたと思う。とりあえず、もう脳科学者は一旦お休みにして。そろそろ他の惑星から一人呼ぶのはどうかな。予算がかかるけど」
「そうだね。環境破壊も、なんとか現状維持の状態で留まってるし、今後どうなるかの見通しをもつには、一歩先を行ってる惑星TR298あたりが地球と環境似てるし、呼ぶのはありかも。オンラインなら、予算抑えられるっしょ」
 
どういうこと? 他の惑星に、人類的なものが発見されたの!?
 
児童の話し合いに気後れしながら、一度校長室へ戻る。
 
とりあえず、お茶でも飲もう。
深呼吸をしながら、お茶を飲む。
 
すると、机にヤモリが現れた。
気持ち悪!! と思った瞬間、あの時と同じく私の腕を伝って、ヤモリが肩まで登ってき
た。
「モトの セカイに モドって、ヤルコト ワカッタ?」
ヤモリは、早口で話しかけてきた。そして、また耳たぶを舐めたのだ。
そして、例のごとく気絶する。
 
目が覚めたのは、またもや保健室のベットだった。
見覚えのある部屋、養護教諭。
 
「先生、大丈夫ですか? 貧血かな。昨日は、睡眠しっかりとれましたか?」
養護教諭の優しい問いかけ。
「だ、大分良くなりました。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
 
私は、すぐにトイレに向かう。
元の自分の姿に戻っている。
夢だったのかな? とりあえず、4年1組の自分の学級に向かわないと。
代わりに教室に入ってくれている先生にお礼を言い、授業を進める。
 
黒板にチョークで文字を書いていると、上の縁を何かが伝って歩いた。ヤモリだった。
 
とりあえず、6時間目まで授業を終わらせて、落ち着いたら、これからのことを考えよう。
 
 
 
 
***
 
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2023-10-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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