ライティングゼミ第1回でわたしが爆笑した理由
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:細谷珠子(ライティングゼミ・10月コース)
「おー、うん、超基本だぁ」
天狼院のライティングゼミ第一回。
わくわくしながらライブ配信を受講していたわたしは、思わずつぶやいてしまった。
そりゃそうだ。突然ライティングが巧くなる魔法なんかあるわけがない。
そんなこと、身に沁みて理解しているはずなのに。
そして普段わたしは、生徒の「え、それだけ?」というガッカリ顔を向けられる側で、「ごめんねー、でも結局のところ、自分で数をこなすしかないんだよ」とか諭しているくせに。
なにかものすごい「魔法」を教えてもらえるかもとムチャな期待をしていた自分がおかしくて、思いっきり笑ってしまった。
わたしは、学生・社会人向けに論文の家庭教師をしている。
ライティングゼミの第一回で教えられた形式は、受験業界における小論文対策メソッドとかなり似ていた。決まった名称はないので、わたしは「サンドイッチ形式」と呼んでいた。
受験論文の場合、この型に当て嵌めてしまえば、第一段階はクリアできる。
「サンドイッチ形式」では、とにかくまず「結論」を書く。そして、その結論になった理由を列挙する。具体的な根拠は多ければ多いほどよい。「反対意見」も盛りこめば、加点される。最後にもう一度、「冒頭とは少し違う言い回しで」結論をまとめる。
現在の小論文入試は、この形式でなければ、そもそも目を通してもらえない。それほどの基本型だ。
そして、「ライティング技術は自転車の運転のようなもの」ということも、「自分で書かないとスキルは身に着かない」ということも、普段、わたし自身が生徒にさんざん言っていることだった。
受験対策でも、技術以前の問題で、「自分で書かないと分からない」ポイントは多い。
入試対策指導としていちばん重要なのは、時間配分だ。
受験の小論文は、以下のような形式が多い。
ある論説文を読み、要旨をまとめる
その文章について賛成か反対か述べる
1と2に掛ける時間は、1:3くらい。それぞれさらに「考えをメモする時間」と「解答用紙に清書する時間」とに分かれるが、この清書が難物なのだ。
現代人は手書きに慣れていない。ほとんどの生徒は、自分が1,000文字書くのにどれくらい時間がかかるか知らない。そして、本人予想の2.5倍くらい、手書きのスピードは遅い。とにかく手書きに慣れて、スピードアップしてもらうしかない。
もちろん、要約にもトレーニングは必要だ。ただ、読解が苦手な生徒であっても、オリジナルのプリントを1ヶ月毎日続ければ、最低限の要約力はつく。ここでも重要な点は、なるべくキレイな字で書き、掛かった時間を把握することだ。プリントを眺め、頭のなかで答えを考えただけでは、本番に対応できない。こうやって、生徒の側にも「実際に書く」ことの重要性を自覚してもらう。
原稿用紙の使い方、語尾の統一、誤字脱字、時には論旨が破綻している場合でも、所要時間内に書きあげた後で、個別に指導していって理解してもらう。
最後まで書きあげなければ、受験小論文の場合は採点すらしてもらえないので、書くスピードをギリギリまで絞りあげる。
文字数配分も、自分で経験を積むしかない。
始めのうちは、冒頭・真ん中の証明・結論のそれぞれに何文字使うか、事前に指示する。その配分に沿って何度か書いてもらい、生徒が慣れてきたら、字数配分も自分で考えさせる。
そうすると、いきなりバランスがガタガタになる場合が多い。気持ちよく書いていると一部分だけボリュームが増えすぎて、竜頭蛇尾か、お腹の出っ張った肥満体のような文章になりがちだ。……個人としてのわたしは趣味で小説を書いているので、この症例はものすごく身につまされる。これも、実際に書いてみて、はじめて自分のクセが分かる。知識として型を習っただけでは分からないことだ。
受験対策では、冒頭と最後の結論は、ほんの少し言い回しを変えるだけにしたほうがいいと教える。
受験小論文に、おもしろさは要らない。「つかみ」は、あれば強いけれど、必須ではない。どれだけ単調な文でも、論旨が破綻していないかぎり、試験官は解答を読んでくれる。自由に書いて型を外すほうがリスクが高いので、受験対策としては安全策を取ってガチガチに型を守ることになる。
だから、AとBにはできるだけギャップを持たせる、という指摘は新鮮だった。
そのギャップを以て、「つかみ」を獲得する。
ギャップの説明に納得してもらえれば、読者の満足感を得られる。
これらは受験科目にはない視点だ。そして、わたしがこのライティングゼミに求めているものでもある。
仕事柄わたしは、論説文は得意だ。受験小論文は数学の証明問題のようなもので、結論ありき。AとBは課題文のなかで与えられている。あとはCの部分を読みやすくまとめるだけだ。
けれど、それでは「おもしろい文章」にはならない。
「わたしの文章って、つかみが弱いよな~……。リーダビリティが欲しい……」
と思ってこのゼミに参加し、AとBにギャップを持たせるなんて、これまでの知識と真逆のことを言われた。
目からウロコだったけれど、じゃあ具体的にやることと言えば、せっせと書きまくるしかない。
小論文の家庭教師を雇うとき、たいていのご家庭は、「要旨のまとめ方」等のテクニックを教えてもらえば一気に小論文が書けるようになる、と期待している。
たしかに理屈を教えるだけなら、時間も労力もかからない。初回の授業でサンドイッチ理論を説明して、初対面の生徒さんから「え? ……それだけ?」とガッカリされるのは、もはやお約束だ。小論文の家庭教師はここから始まる。
「実際に書いてみないと、実際に書くことの重要性は分からない」
卵が先か鶏が先か、みたいな話だけれど、そういうことなのだ。
第1回のライティングゼミでは、超基本を確認したと同時に、新しい“タネ”も仕入れられた。
第2回講義でも、また何枚か目からウロコが落ちて、でもいっそう書き方に迷うようになった。習ったことを自分の文章に落とし込むのは、思った以上に難しい。これまで使っていなかった部分の脳みそがしぼられる。とても楽しい。
そして、第1回課題にコメントが返ってきた。
「導入はまあまあ。結論はポジティブでいい。つかみが弱い(正確には逃している)」
思いっきり自分の弱点そのままの添削で、ちょっぴり自嘲の笑みが洩れた。
先は長い。
***
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