おばさん構文という勿れ
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記事:前田三佳(ライティング実践教室)
「大好きよ(キス顔絵文字)(ハート2段重ね絵文字×2)」
「ひろみさん、おはようございます(キラキラ絵文字)(笑顔絵文字)(キラキラ絵文字)
(笑顔絵文字)昨日はありがとうございました(ハート絵文字3連発)!!!」
絵文字を言葉で表すのは難しい。
最近「おばさん構文」という言葉がネットで話題となった。
上記は「郷ひろみのインスタに溢れるおばさん構文」の典型的な例としてXに何度も晒された。念のため断っておくが私の投稿ではない。
私も郷氏のコアなファンであり「推し」などという言葉が生まれるずっと前から推しているが、そこを書くと2,000字ではとうてい収まらないのでやめておく。
おばさん構文の特徴としては主に以下がある。(Weblio実用日本語表現辞典調べ)
1. 赤いハート、キラキラなどの絵文字を多用
2.同じ絵文字をいくつか重ねる
3.「―」ではなく「~」を使う
4. 語尾に「○○よん」「○○だわ」「‼」「⁉」を使いがち
5. 記述が長たらしい
確かにこのインスタは煌びやかな絵文字で溢れ、誰もがその推し愛を惜しみなく披露している。その100分の1ほどの愛をダンナにもわけてやってくれと感じる。自分のことは差し置いて。
とくに中高年女性はインスタのみならずLINEにおいてもこの傾向があるという。
確かに私の友人の一部は、絵文字を機関銃のように連射するのでとても読みにくい。
なぜか専業主婦の友人のほとんどが、この構文ユーザーである。
そんな友人に絵文字をほとんど使わず返信していたら「怒っているのかと思った」と言われたことがある。もちろん怒ってなどいない。私はただの無精者なのだ。
逆に仕事をもつ友人は、あまり絵文字を使わない。端的な文にせいぜいスタンプをあしらうくらいだ。
先日30代の同僚にLINEについて尋ねてみた。
「そうですねえ……。確かに絵文字はほとんど使いませんね。使っても1個か2個」
「短い言葉のラリーの応酬って感じです」
なるほど。私たちおばさんは、やたらと長たらしい文を打ってしまうが若い方は違うのだ。
どうやら見た目だけでなく、言葉の扱いにもおばさん臭はダダ漏れしてしまうらしい。
今やLINEは私たちの貴重な連絡手段となった。
私だけではなく多くの方がそうだろうが、手紙はおろか私用で電話をかけることも少なくなった。
相手のタイミングや状況を気にしないで送れるLINEは本当に便利だ。
昔は要件だけなら5分で済む話を、延々と腕がしびれるほど長電話したものだ。
要件を話す言葉の行間に、気遣いやため息、興奮、励ましや共感といった感情を共有していたから長電話になってしまったのかもしれない。
その感情を今、LINEで表すとハートや顔の絵文字や「‼」「⁉」「~」となる。
インスタで見られる過剰な絵文字や符号は、推しに対して溢れる感情の発露とも言えよう。
つまり「おばさん構文」は気遣いと愛のしるしなのではないだろうか?
可愛い習慣ではないか?いったい何が悪いというのだと、あらためてひとり憤慨する。
面白おかしく揶揄する若い女性も、やがておばさんになるのだ。
その時にはまた新しい風潮が存在し、揶揄される立場にもなろう。
「男女に限らず他者の言動をカテゴライズして笑いものにするのは品がない」といった至極もっともなご意見もXに見られた。
だが実際この構文を最も使う「おばさん」はいちいち傷ついてなんかいない。
今日もあのインスタにはHAPPYな絵文字がてんこ盛りなのである。
知らなかったが「おじさん構文」なるものは既にメジャーらしい。
一例としては
「ともチャン、ゆっくり、休んでね!仕事は、大事。でも休みも、大事!!元気になったら、おじさんが、癒やしてあげるヨ。ナンチャッテ!!」
わかりにくいので割愛するが、やはりここには大量の絵文字が埋め込まれている。
その特徴とは
絵文字や顔文字が多い
意味不明な場所でカタカナを使う
句読点が多い
聞かれてもいない近況報告をする
一度のメッセージが長い
例文は確かに気持ちが悪い。若い女性にモテたいという下心が透けて見える。
そしてナンチャッテと結ぶことでセクハラではないからねと姑息なごまかしをしている。
夫がもしこんな文を打っていたら、即刻キツく処罰するだろう。
仮に下心なぞ皆無で紳士的に振る舞っていたとしても、このようなLINEを送ってしまったらアウト、相手の心証はガタ落ちである。よほどの大金持ちか竹野内豊でもない限りは逃げられる。
Weblioの解説によればどちらもガラケー時代のセンスを引きずっており、かつ異性に対する下心がにじみ出ている、とある。
しかしながら若い頃には無かった新しいツールに挑戦し、なんとかかんとか慣れて
明るさや軽いウケを狙って打った文が「キモ」「ウザ」の2音で返される悲哀よ。
まるで晩秋の海辺に忘れ去られたビーチサンダルのように 心寂しい。
ちょっとばかり使い方を間違っているが、おじさんもおばさんもそれなりに頑張っているのだ。
かつて「近頃の若いモンは」と年長者にお叱りをうけた我々が、今は若い世代に揶揄される。きっと優しすぎるのかもしれない。
時代に取り残されないよう努力するのは大切だが、若い世代におもねるばかりではなく
時を重ね経験を積んできたプライドも持ち続けたい。
ヨーシ! 私も若いひとに負けないようにガンバロウっと(力こぶ絵文字)!!
***
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