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「ガンダムベース」が台湾の1番の思い出の訳


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記事:石鍋ももこ(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
海外に最後に行ったのは結婚前だから、20年以上前だ。
独身時代の私は海外で感じる、自分が解放される感覚が大好きで、ひとりで毎年のように行っていた。
 
そして今年の夏、久しぶりに海外旅行に行ってきた。台湾だ。
しかしせっかく大好きな海外に行けたのに、不完全燃焼な感覚でいる。
 
初めは長男がいるカナダに家族で行こうと思ったが、あまりにも高くて断念。
でもせっかくパスポート取ったから海外には行きたい、ということで台湾になった。
 
唯一、海外旅行の経験者である私が、自然といろいろ手配する役になる。
よく行っていた頃と違って、今はなんでもネット予約だ。
まず航空券を予約。何時に出発するのが皆に負担がないだろう、など考えながら予約。
次はホテル。当然だけど土地勘が全くない中、空港や観光地との位置関係を考えて、さらに値段と口コミのバランスを見て、ホテルを予約した。
自分ひとりとは違い、夫と子どもが一緒となると、かなり慎重になる。
 
ネット予約なので当たり前だが、航空券もないし、ホテルの人と話した訳でもない。ちゃんと予約できているかちょっと不安だ。いつもなら入らない保険にも入る。
 
次に、台湾での移動方法や食事について調べる。ひとりで調べるには荷が重い。今はYouTubeでいくらでも見ることができるので、家族が比較的そろっている夕飯の後、テレビで見て予習をした。
ここ行きたい、これ美味しそうと、次々紹介される店をメモするが、情報の多さについていけなくなり、なんか、もうどこに入っても美味しいんじゃん? という感じになる。
 
そんなことを私と夫と高校生の娘は一緒に見たり話したりしていたが、中3の息子はあまり関心なさそうだった。そもそも中3男子は台湾に興味などない。彼は完全に付き合わされていた。
 
申し訳なく思い、「どこか行きたいところあったら、そこは絶対行くから教えてね」と言ったら「ガンダムベース行きたい」と言われた。
「ガンダムベース」とは、ガンダムのプラモデルを専門に売っている店で、お台場に世界最大級のものがある。彼はよくそこに行っていた。
台湾にもあるらしい。二人で場所を調べて、地図にチェックする。息子は少し嬉しそうな顔をしていて、私もほっとする。
 
行きの飛行機はちゃんと取れていて、無事に台湾に着いた。迷わず電車に乗れたし、ホテルも予約できていてひと安心。部屋もなかなか綺麗。家族も気に入ってくれる。よかった!
 
真夏の台湾は東京並に厳しい暑さだった。しかし旅行に来たのだから、東京のようにずっと部屋の中にいる訳もなく、炎天下を歩き回った。熱中症になりそうだった。
旅先を間違えたかも、と皆に申し訳ない気持ちになる。
 
そんな中、蒋介石の銅像を見にいく。息子は日陰に座り込み、汗をダラダラ流している。中3男子は蒋介石の銅像なんて全く興味ないのだろう。気の毒になってきた。
お土産コーナーで冷房に当たりながらアイスを食べる。
「次はガンダムベース行こうか」
 
東京のオフィス街にあるような近代的なビル。中に入るといきなり息子の推しのVチューバーのコーナーがあった。「あ! ちょっとまってて!」と中に消える息子。さっきまでのテンションが嘘のようだ。
息子を待つ間フロア案内でガンダムベースを探す。
 
「お待たせ~!」(満足そう)
「5階にあるみたいだよ」
「ありがとう!!」(嬉しそう)
 
ガンダムベースに着く。狭い。
お台場に慣れている息子からしたら、がっかりの規模の小ささだろう。大丈夫かな、と彼を見ると、そこには夢中でプラモデルをチェックする息子。輝いて見える。
ゆっくり選んでね、と伝え私達は下の階のカフェで待った。
 
しばらくすると、満足げな息子がやって来た。欲しいプラモデルを買えたらしい。きっと日本でも売ってるけど、まあいいか。私もなんだか嬉しくなる。
 
次の目的地のお茶屋さんに向かい、延々と続く台湾の古い町並みを歩いていると、どの店にもとんでもない量の乾物が置いてある。「また椎茸!」とつぶやく息子。
 
私の一存で、台湾の古い町並みのエリアに来たけど、子供のことを考えたら、学生街の方が楽しかったのかも。こんなに暑い中、街歩き、しかも行き先はお茶屋さん。子供は楽しくないに決まってる。私に皆を付き合わせて申し訳ないと思い、途中で「やっぱやめる?」と聞くと「なんで? 行こうよ。俺も塾の先生に買って行きたい」と息子が言ってくれて、驚く。
「ありがとう」
「気持ち切り替えて、楽しもうと思ったんだ」
これが推しのパワーか!と感動した。
 
この旅の全体を通して、私は家族が楽しめているか、不自由ないか、ずっと気になっていた。
結局食事も行き当たりばったりで、外れもあり、しっかり調べてこなかったことを反省した。
 
やっとのんびりできたのは帰りの飛行機だった。
それが不完全燃焼な感覚の理由だ。
 
いま、この旅を思い出すと、真っ先に思い出されるのはガンダムベースのあったビルだ。特に台湾らしさはない場所なのに。
息子が満足そうに楽しんでいる姿が、この旅でいちばん私を満足させたからだろう。
 
 
 
 
***
 
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2023-11-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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