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メディアグランプリ

ぼっちのライブ参戦で推しが見せてくれた希望の光


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:パナ子(ライティング実践教室)
 
 
しまった。
会場に着いた途端、いつもはありがたく享受している太陽の明るさを呪った。その明るさのせいで、周りのファンたちの年齢層が丸わかりだ。
 
見渡す限り10代、10代、20代、20代、20代……瑞々しいオーラをこれでもかと放つ若者であふれていた。さすがは「Z世代に人気のロックバンド」と言われているだけはある。
 
ま、眩しい。
太陽と、若者が放つ光がおばちゃんには眩しすぎるよ。
 
この場に、四十越えの女が一人乗り込むにはあまりに場違い過ぎないか。
三連休の真ん中夕方4時の開演とあり、時間的に余裕のあった私は張り切って開場の一時間も前に到着してしまった。そんな自分を激しく後悔した。
 
推しの3回目のライブに来ていた。
過去2回は平日夜のライブだった為、子供の世話なんかをしていたらあっという間に時間になり、タクシーやらチャリやらを飛ばして開演の少し前、ヘッドスライディング同然で滑り込んだ。開演前の薄暗い会場ではここまでハッキリとファンたちの顔が見えることもない。だから私はスパイのごとく若者に紛れ込んでライブを楽しめたのである。
 
しかし、今日は、開場まで間、このまばゆいファンたちがキャッキャとはしゃぐなかを約一時間も孤独に耐えないといけない。どんな罰ゲームだよと一人肩を落とした。
 
これといってすることも無くなんとなくトイレの列に並ぶ。しかし、これが大誤算! 会場の外に設置してあるトイレは中の個室が極端に少ないようで、まあ列が進まない。となると、やはり気になるのは周りである。髪も肌もツヤッツヤの乙女たちが四十過ぎのババアを笑ってはいまいかと疑心暗鬼になる始末。何も争うことはないのだけれどビビりの私は心の中で独り言ちてみる。
(Z世代だか何だかしんねえけど! こっちは氷河期世代で鍛えてきてっから! 圧迫面接とか耐え抜いた人生送ってきてっから!!)
ババアがヤンキーになる事ほど寒いことはないのに、こうでもして自分を鼓舞しないと耐えられず、そんな事を妄想しながらとにかくトイレの個室に入れるのを待った。
 
さて、無事にトイレも済ませた頃にはいよいよ開場が始まっていた。
月々の料金も払ってファンクラブ会員となっていた私の手元には、スマホの中で神々しく光輝く電子チケットが鎮座している。前回よりも、また一段と規模が大きくなったその会場では一体自分がどこらへんに着席できるのかわからぬまま中に入った。
 
(アリーナ席9列……アリーナ席9列……アリーナ席9列!?!?!?)
 
うそ。アリーナ席9列ってめちゃくちゃ前やん!!
着席する頃には推しが立つであろうステージとの近さを目の当たりにし、全てを忘れて小躍りしたい衝動に駆られたが(ここですね)というあくまで冷静な淑女を装い、静かに着席した。
 
あとは隣に誰が座るか問題である。どうか! ババアを小馬鹿にするような! 乙女だけは勘弁願います!!
そう祈りながら待っていると、横に来たのはカップルだった。
カップルかー……。それはそれであれだな。彼女が推しの歌聞いて泣いちゃわない? そしたら彼氏が大丈夫だよって涙拭ってあげて肩抱き寄せたりしない? いや、いいんだよ。ちょっと、ね。おばちゃん邪魔になんないかなって心配なだけだよ。
 
そうこうしていると薄明りだった会場内が真っ暗になり、ステージ上にスポットライトが照らし出された。いよいよだ!
 
一人ずつ出てきたメンバーが出てきて拍手や歓声が起こるなか、満を持してボーカルを務める推しが登場した。
「キャー!!」会場内のあちらこちらから鳴り響く黄色い声援。
遠慮がちのババアにはまだその黄色い声が出せない。精一杯の拍手で迎える。
 
ジャーン!!
ギターの演奏と共に歌が始まると、さっきまでただの黒い箱だったライブホールが一気に隅々まで色めき立ち、それはキラキラと宝石のような輝きにあふれた。推しの声が真っ直ぐ胸に届く。自然と体は揺れ、手を天井に向かって突き上げる。あぁこの日の為に日常を頑張ってきたと言っても過言ではない。そんな気持ちにさせた。
 
ふと、横を見ると、先程のカップルの彼氏の方が頭を激しく上下に揺らしている。いわゆるヘッドバンキングだ。彼女も縦乗りでもはや他は眼中になさそうである。あ、君たちそんな感じなのね! と急に親近感が沸く。彼女の肩を抱く余裕は彼にはなさそうだ。
 
2、3曲を一気に歌い上げると推しがトークを始めた。和やかな雰囲気のなか推しが会場を見渡す。
「アラサー、アラフォーの方もいらっしゃるよね?」
私は心の中で叫んだ。ここにいるよ! 私! アラフォー!!
 
すると推しは次にこんな言葉を投げかけてきた。
「20代が盛り上げるだろ、じゃないんですよ。あなたの手にもかかってますよ」
 
うわぁ……。キモいのは百も承知で私は乙女のように瞳を潤ませる。
誰も傷つけず、誰をも主役に引き立ててくれたその言葉は私に勇気と希望を与えた。俄然やる気が出る。ここが花火大会の会場だったら
「たまやー!!!!!」と間違いなく叫んでいた。急激に胸が高まるのを感じた。
 
そこからはもう誰に何と言われようと自分の1000%を出し切ってライブを楽しむことに集中した。たまに隣のヘッドバンキングを見ながら。
 
ライブが最高潮に達した時、バァーンっという衝撃音と共に天から放物線を描いて銀テープが降り注いできた時には「キィヤァー!!」という黄色い声が出てしまった。
 
現地に着いた時、ボッチでどうしようと下を向いていたことなんかもう1ミリも覚えてなかった。楽しくて楽しくてこの時間がずっと続けばいいのにという浮遊感さえも感じさせた。
 
2時間強のライブが終わった時、私の体温は上がり体中に今日聴いた全ての音楽が染み込んでいた。推しからすれば1対nでも、ファンからしたら1対1であり、それも踏まえて私はもうボッチではなかった。
 
余韻に浸りながら帰宅するバスの中で決意は固かった。
年齢に関係なくやっぱり好きなものは好きだ。その気持ちは誰にも譲れない。だから胸を張ってこれからも私が推したいように推しを推す。それはもう私にとって人生の一部なのだから
 
 
 
 
***
 
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2023-11-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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