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不登校だった息子が私に教えてくれた大切なこと


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記事:なつなつ(ライティング・ゼミ 10月コース)
 
 
「あの学校の先生たちは子どもの気持ちを考えないで自分たちの都合ばかり押し付ける。信用できない。もうボクは学校を辞める」
小学校2年生の冬休みが明けて間もなく、息子は学校に行かなくなった。
 
息子は自分の気持ちをはっきり表す子で、小さい頃から手を焼いた。
イヤイヤ期は激しく、よく道端やお店でひっくり返り泣いていた。
三歳児検診の時は先生の問診が嫌で「いやだよー」と逃げ回り、保健士さんに「子育てが大変だと思ったらいつでも区役所に相談に来てくださいね」と言われたほどだ。
 
特に見通しが立たなかったり、急な予定変更が発生したりすると大騒ぎだった。
だから、私は先回りして次の予定を伝えたり、いつもと違う予定がある時は事前に説明したりして、できるだけ息子がイヤイヤ言わないように対策をしていた。
 
そんな息子も自由に遊ばせてくれる幼稚園に入り、随分落ち着いた。
運動会の練習など、イベントの準備の時は時々行きたくないと言う事はあったが、毎日ニコニコと幼稚園に通っていた。
 
しかし、小学校に入学して1か月くらいしてから行き渋りが始まった。
息子が通う幼稚園から同じ小学校にあがる友達が一人もいなくて、なかなかクラスに馴染めない。
みんなで一緒に何かをしなければいけない一斉授業が苦手。
実は後々発達検査で分かったのだが、手順を追って物事を理解するのが苦手なのもあって、授業についていくのも苦労していた。
 
毎朝泣く息子をなだめすかし、時には叱りつけながら学校に連れて行った。
 
あまりに毎日泣いて学校に行くものだから、教室に着くとお世話好き女子たちがハンカチで涙をぬぐってくれていた。今では笑い話だが、息子の人生最大のモテ期だったのではないかと思うくらい、みんな優しくしてくれた。
 
それでも息子は学校に慣れず、2年生になっても泣いていた。
 
徐々に「〇〇先生に大きな声で怒鳴られた」「友達に算数へたくそと言われた」「お友達が先生に叱られるのを見て怖くなった」などと言って学校を休むようになった。
 
そして、冬休みがあけて間もなく息子は完全不登校になった。
 
学校に行かなくなった当初は大好きな鉄道を見に二人で出かけたり、週に一回、放課後に学校に行ったりしていたが、時間が経つにつれて外に出たがらなくなり、「消えてしまいたい」と言い、髪の毛も爪も切らずセルフネグレクト状態になって行った。
 
あんなにニコニコ笑顔が可愛い子だったのに、見ていて辛くなった。
甘やかしすぎたのかと自分を責めた。
 
スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーに相談しても解決策は見つからない。
このまま何もしないと引きこもりになるのではと悩み、ついに私も「不安障害」と診断されるまで心が弱ってしまった。
 
そんな時、見つけたのが「親が変われば子が変わる」というある方のブログ。ご自身が子育てを見直して、お子さんの不登校を乗り越えたという内容だった。
それまで学校が悪いのではないか、息子に問題があるのではないかと思っていた私にとって思いもしない内容だった。
 
藁にもすがる思いでご指導をお願いした。
 
最初に挑戦したのは
・自分から子どもに話しかけないこと
・子どもとの会話の内容をメモすること
 
自分から子どもに話しかけないってどういうこと!?と思いながらもやってみた。
 
想像以上に難しい!
しかも、思わず口に出そうになる言葉は「〇〇しなさい」「〇〇さんが来るから〇時までに準備して」「〇〇した方が良いよ」「夜遅くまでゲームしてるから朝起きられないんでしょ」などなど、指示命令、先回り、アドバイス、正論のオンパレード。
 
息子から話しかけられて返した言葉もメモしてみると、やっぱり同じような言葉ばかり。
毎日無意識にしていた会話を意識することで見えてきた自分のクセ。
 
小さい頃から前もって予定を伝えてイヤイヤ対策をしていたのを、小学生の息子にも逐一していた。
息子が失敗して傷つかないように先回りしてアドバイスをしていた。
息子が大人になっても困らないように指示したり正論で伝えたりしていた。
 
とにかく「ちゃんと」子育てしたいという思いから口うるさい母親になっていた。
いわゆる過干渉というやつだ。
 
私がよかれと思ってしていたことは、息子にはどう伝わっていたのだろう。
何をしようとしても、いちいち口出し、ダメ出しされて自分はダメな人間だと感じていたと思う。
どうせ何を言っても聞いてもらえないのだから、自分で考えるのはやめて親の言うなりになれば良いでしょと諦めていたかも知れない。
失敗するのが怖いと思っていたのではないか。
 
息子の立場になって考えてみたら、とても苦しくなった。
 
「ちゃんと」育てたいという私の想いがこんなにも息子を苦しめていたのかと思った。
 
それから息子の言葉はすべて「そうなんだね」と受け止めることにした。
失敗しそうでも「やってごらん」と見守ることにした。
先回りしそうになってもグッとこらえて「お口にチャック」と自分に言い聞かせて見て見ぬふりをした。
 
そうやって私が変わったことで息子は元気になり、4年生の5月、コロナの休校明けに学校に戻った。
それから3年半経ち中学校1年生になった息子はサッカー部に入り、急に難しくなった勉強に苦戦しながらも毎日休まず学校に通い、友達と笑っている。
 
どんなあなたも大丈夫と親が子どもを信じて見守ること。
そして親は保護者ではなく応援者であること。
それが子どもの安心感につながり、チャレンジしたり、失敗を乗り越えてやり抜く力につながったりすること。
 
息子が私の子育てに「NO」と言って不登校になったことで気付くことができた。
あの時、嫌だと気持ちをはっきり示してくれてありがとう。
思春期の息子とくだらない話をして笑いながら思うのである。
 
 
 
 
***
 
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2023-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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