メディアグランプリ

文章作成に関する個人的パラダイムシフト

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:深尾暁子(ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
すごい。見事なまでに、書けない。
ライティング・ゼミの最初の課題で既にこんなに苦しいなら、全部で16もある課題に加えてほぼ毎週来る締切に、どうやって立ち向かうことができるだろう。運営ルールを一読すると、できれば毎日記事を書き、厳選したものを投稿することとある。そんなことクリア出来る受講生いるのかな。いそうだな。
 
私はといえば、毎日コンピューターに向かってはいるものの、情けないことに記事はひとつも書けていない。講義を聞いてからすでに4日も経った。画面をただ見つめて、書いたり消したりして過ごした時間を数えると、あまりの無力感に笑えてくる。事前課題でさえ随分手こずったのはこれの予兆だったのか。「コンテンツとは」「文章を書くのは得意か」「ライティングをどう人生に生かすか」……どれも考えたことがなかった。
 
さらに恐ろしいことに、私はライティングを教える仕事をしているのだ。具体的には、学術論文の書き方を指導している。学術論文作成のポイントとは次のようなものだ。
 
主張は段落の最初に、一文で簡潔に言い切ること
事実などのエビデンスを用いて論証すること
ひとつの段落には最低3文書くこと
読み手の理解力に頼るのではなく、誤解や疑問を生じさせないよう書き手が責任を持って説明すること
あくまでも論理的に説得力のある文章を作成すること
 
これらの(そしてその他沢山の)ルールに沿わない文章は改善の余地ありと指摘し、書き直しを促す。20年以上もそんな仕事をしているせいで、知らない間に「ライティング=学術論文を書く」という思考が出来上がっていたようだ。ライティング・ゼミの最初の講義で、講師の言葉がすっと頭に入ってこないのだ。
 
「2000字を最後まで読んでもらう可能性を高くすることを目標に」←学術論文は一応全部読むことを想定しているんですけど……
 
「最後まで飽きずに読めるように」←学術論文ってそもそも楽しむために読むものじゃないし……
 
「ギャップを作って読者に疑問を生じさせましょう」←読者にその手の疑問を生じさせてしまう学術論文ってどうなんだろう……
 
ライティングの説明が自分のイメージとあまりに違うので、頭がバグってくる。そもそも「バグる」なんて言葉、学術論文では使わないので、書くだけで不安になる。
 
1時間半の講義視聴中に焦る気持ちが強まっていくのをひしひしと感じつつも、ライティングに対する考え方のパラダイムシフトが必要なことだけははっきり理解した。
 
落ち着いて考えてみれば、ごく当たり前のことだ。世の中に存在する文章のうち、学術論文など非常にニッチなタイプの文章だ。書く人も読む人も限られているマイノリティの存在だ。基本的には研究の報告書なので、一にも二にも真実が書いてあることがマスト。独創的で研究分野に貢献する研究内容は当然高く評価される一方、書き方については、既に決められている形式に則っていることが求められる。内容に集中できるように、画一的で一向にかまわないというか、むしろそれが正解なのだ。
 
翻って、これから私が学ぶライティングとはどんな感じの文章作成だろうか。サンプル記事を読んで特徴を探してみると、こんなこと(つい「以下の点」と書きそうになる)が見えてきた。
 
自由な構成
読む人の心に訴えかける内容
書く人が楽しい文章
多少の嘘が混ざっても構わない(多分)
 
真逆とまでは言わないが、控えめに言ってもだいぶ違う。学術論文が機能性重視の制服だとすると、これから学ぶ文章は、ランウェイを歩くために作られる衣装のように思える。または、栄養管理の行き届いたお弁当と、美味しさ重視のコース料理。駅前のビジネスホテルとマリーナベイサンズくらいの違いを感じる(マリーナベイサンズには泊まったことないけど)。要するに、キラキラしていてかっこいいのだ。そして、そんな文章を読むのは文句なく楽しい。
 
綺麗な服を身に纏ったり、美しく盛り付けられた食事を味わったり、サービスの行き届いたホテルに泊まる時に「いいものに触れた」と感じるのと同じように、素敵な文章に出会った時は心が動かされる。そして、私は素敵な文章から得られる喜びを読者としてよく知っている。
 
キラキラ文章を読むのは大好きでも、読むのと書くのが大違いであることは嫌というほど分かった。与えられた時間内に、結局たったひとつの記事を完成させることしかできなかった。課題1でこれだけ苦労している私が、ライティングが得意なわけがない。
 
けれど、ここ数日ライティングについてたくさん考えたことは無駄ではない気がしている。何より、読んだ人に喜んでもらえる文章が書けたらどんなにいいだろうという憧れのような気持ちを見つけることができた。ライティング・ゼミの4ヶ月で、新しい書き方を学ぶというパラダイムシフトに加え、読み手から書き手へのパラダイムシフトを体験していく覚悟も決まった。
 
そして、書くプロセスの大部分は苦しかったが、同時に少し楽しくもあった。事前課題で問われた「ライティングを人生でどう生かそうとしているのか」への今の私の答えは、「ライティングで人生にキラキラした喜びを増やしたい」。
 
 
 
 
***
 
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2023-12-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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