ドタキャンは裏切りか救いか
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:やまだまな(ライティング・ゼミ12月コース)
「ごめん! 実は今朝から熱が出てしまって、まだ下がりそうになくて……。今日の予定延期してもらってもいいかな……?」
「親と喧嘩してしまって、明日の予定延期でもいいですか……?」
発熱、延期、泣き顔の絵文字。LINEに届くメッセージが、ドタキャンばかりの1年だった。
相手は同一人物ではない。先輩、後輩、年齢も知り合った土地もばらばらの、私の周りの仲間たち。いつも一緒にいる人というよりは、数ヶ月に1度遊びに行くような部活の仲間、バイトの仲たちだ。コロナも落ち着いてきた今日この頃、なぜ私の周りの人ばかり体調を崩してしまうのか。もちろん予定を延期することは構わない。しかし、あらゆる約束がいくつも延期されていくのはなぜだろう。私自身は体調を崩すことなく元気なのに。ただただ不思議で仕方なかった。
私は予定を立てることが大好きだ。友達と遊ぶ予定、サークルの予定、推しのアーティストに会いに行く予定。あらゆる予定を手帳に書き込んでは、手帳と見つめ合いっこ。「今週末は半年ぶりにあの子に会える!」「え! コンサートまでもう1ヶ月切っているじゃん⁈」とページをめくってはペンを走らせ、「あの子に会ったらこのお話ししたい!」「次はどんなお洋服着て行こうかな〜」と妄想を膨らませることが、日々の楽しみの一つとなっていた。
遊びの誘いは同期・先輩・後輩誰に対しても、私から持ちかけることがほとんど。いわゆる誘われない派の人種で生きてきた。「誘われない派」という字面では、マイナスなイメージを受ける人が多いかもしれない。しかし、会いたい人がたくさんいる私にとっては、メリットの方が圧倒的に多い。なぜなら自分の好きなタイミングで、好きなだけ予定を立てることができるから。
「人はごほうびを2カ月先に仕込んでおくとモチベーションを持続することができる」と、自己啓発本で読んだことがあった。
「この月の3週目はライブがあるから、1、2週目にバンド練習が入ると想定して……」
軽音サークルに所属する大学生だった私は、ライブの日を「ごほうび」として、ライブ日程が発表されるたびに、バンド練習をする時間や友達と会う時間を逆算し、予定を立てることが習慣だった。
遊びもサークルも勉強もアルバイトも、本気で頑張りたい。
そんな欲張りさが、裏目に出てしまうことになる。
大学生活が「人生の夏休み」と言われる理由を身に染みて体感したくらいには、自分で自由に決められる時間が無限にあった。しかし、やりたいことの数は山ほどあるし1日が24時間という事実は変えられない。そうすると、必然的に予定が詰まっていった。
「このスケジュール、乗り越えられるのかな……?」
今日は朝6時からアルバイト、11時から授業、15時からバンド練習、18時から地元で飲み会。明日は朝からアルバイト、先輩とお出かけ、課題提出の締め切りがある。自ら計画した遊びやアルバイトの予定のはずなのに、先の予定を見ては不安がちらつく。楽しみだったはずの予定が、もはやこなせるかどうか心配な予定になっていた。そんな時に限って、あのLINEを受信する。
「ごめん! 実は今朝から熱が出てしまって、まだ下がりそうになくて……。今日の予定延期してもらってもいいかな……?」
そうか、ドタキャンの原因は自分にあったんだ。
なぜ私の周りの仲間ばかりが体調を崩すのか、その理由に気がついた。
毎回のドタキャンは決して裏切られていたのではなく、自分が予定を詰めすぎている時、もしくは自分の生活がだらしない時に限って起きていた。
「タイトな予定をこなせる自信がない」「このスケジュールで課題をやる時間がどこにあるのか? このままでは学業が疎かになるに違いない」そう察した神様が、私のスケジュールにゆとりを持たせようと必然的に予定の数を減らしていたのだ。
しかし、連絡を重ねてやっと決まった約束だったのに、私の欲張りさが裏目に出た結果、仲間に辛い思いをさせている。むしろ、相手に対して遠回しに迷惑をかけているではないか。自分だけが救われて、私のスケジュールとは無関係な仲間が体調を崩すなんて、こんなのおかしい。けれど、私がドタキャンを受けるのは私が作り上げてしまった必然だった。
1日の予定にゆとりを持たせよう。周りの人を救いたいと宣言する前に自分のスケジュールを見直して、自分自身と向き合おう。
日常は当たり前の出来事の繰り返しだからこそ、失った時に初めて気がつく大切なものが多い。しかし、失いかける前に気づかせてくれたドタキャンは、必然であり救いであった。日頃のちょっとした気の緩みや欲望が不意に周りの人を巻き込んでしまう可能性があることを、戒めとして生きていきたい。
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