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メディアグランプリ

イケメン料理研究家が教えてくれた「ねばならない」から一気に抜け出す『サンシャイン!』という定義


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:パナ子(ライティング実践教室)
 
 
「最前列の方は、徹夜組ですか?」
イケメンが壇上から軽やかに繰り出すジョークにコクコクと無言で頷く主婦たち。後ろからじゃわからないがおそらくポッと頬を赤らめたりしているのだろう。その様子をさらにデレデレと締まりのない笑顔で私は見つめていた。
 
料理研究家コウケンテツさんの講演会に来ていた。テーマは「みんなで考える、これからの育児・家事~世界30か国の家庭を訪れて~」というものだ。
 
コウさんはNHKをはじめ多数のメディアに出演し、その確かで気軽なレシピに大勢のファンがいる人気の料理研究家だ。現在執筆中のコラムも数社あり、その活躍ぶりは多忙を極めている。
 
講演の冒頭、コウさんの日常について紹介があった。奥さんにマネジメントの全てを任せる一方で、コウさんは本業のレシピ開発や料理撮影などを自宅のキッチンでせっせとこなしながら、家事全般を担っている。イケメンの風貌に似つかわしく、てっきり涼しい顔で料理を作り悠々自適な暮らしぶりなのかと思っていたら、そんなことは1mmもなかった。
 
疲れた体に鞭打って起床、バタバタと子供たちに朝ご飯を食べさせた後、末っ子を保育園に送る。帰宅して本業に取り掛かり、夕方頃にはお迎え、夕飯の支度、洗濯、後片付けと山積みの家事と戦う。
しかも「ごはんできたよー」と呼んでもYouTubeに夢中な子供たちはすぐに来ないという嘆きを聞いた時、どこの誰よりも主婦らしい生活をしているコウさんの姿が目に浮かび、笑うと共に共感の嵐でいっぱいになった。
 
本題である世界30か国の家庭については、写真を交えながら教えてくれた。印象的だったのは外国の多くの家庭では本当に気楽なスタイルでご飯づくりが行われていたことだ。
 
ある北欧の町では大きな皿にデカデカとしたサーモンがドーンッと勢いよく乗せられているだけ。またある漁師の町では、1週間すべて2~3種の煮込み料理のみで賄っている。
これらの料理の写真を見て、やはり思うのは、日本の食卓がどれだけ彩りや栄養バランスを考えた繊細なものであるかということである。一汁三菜に代表される日本の食事は、すべての栄養素を体に取り込むには有効で素晴らしく、またその見た目も食べる人を楽しませるには申し分ないものであろう。
 
しかし、それを毎日担う人の労力はどうだろうか。主婦であれ主夫であれ、台所に立つ者の責任として考えてしまうと非常に肩の荷が重い話なのである。
ズボラ主婦を自認している私でも、主菜と副菜そして汁物と冷蔵庫の食材とにらめっこして頭を悩ます日々だ。
 
「家庭それぞれに色々なスタイルがあるなぁ」と感心しながら世界を回っていたコウさんは、衝撃の出会いをする。
パリで人気のパン屋を経営するマダムだった。
マダムとコウさんがパン屋で撮った写真もスライドに映し出された。赤を基調としたお洒落な店だ。
 
恐らく60はとうに越えているように見えるマダムだったが、その弾けるような笑顔と肌や髪の艶から、心身共に充実している様子が伝わってきた。パンにうるさいパリではおいしくないと店はすぐに潰れ、熾烈な競争が展開される。マダムはパン職人の夫と息子を従業員として雇い、店を繁盛させていた。
 
マダムの家で朝食をごちそうになったコウさんはその内容を見て思わず呟く。
「あれっ? おかずは? 栄養バランスが心配。」
 
マダムの準備した朝食はバゲットとコーヒーという超シンプルなものだったからだ。料理のプロとしてバランスを心配したコウさんの一言がマダムの逆鱗に触れた。
 
「それは一体誰が準備するの? それじゃあ私の『サンシャイン』が輝かないじゃない!?」
面食らったコウさんは「サ、サンシャイン……すか……」と返すのが精いっぱいだったそうだ。
 
マダムによると多忙を極める日々の中では、緩急をつけて楽をしたい時はとことん力を抜く。好きな事やりたい事にはきちんと時間を割く。まず最初に私が幸せでないと、家族の幸せは考えられないという話だった。
 
「サンシャイン」というワードが出た時、軽いどよめきと自然発生的に起こった拍手から、主婦たちがいかに自分のサンシャインを輝かせたいと思っているのかがわかった。いや、サンシャインという新たな定義を知って驚いたという方が合っているかもしれない。
 
コウさんは講演終わりにこう言った。
「もし疲れた時は、ご飯作りをしないでください。そして、家族にこう説明してみてください。『ごめんね、今日はお母さんのサンシャインが輝かなくて』」
 
みんなはどっと笑ったが、そうやって自分からも周りからもゆるく許される世界はどんなに優しく素敵だろうかと思った。
 
自宅に戻り(なるほどサンシャインかぁ……)と腕組みをして考えた結果、私はサンシャインの手始めに朝食でシリアルを食べてみた。悪くない。片付けも楽だ。しかし、普段朝からしっかりめに食べる者としては物足りない。少し違ったようだ。
 
次に試したのは好きなものの時間を増やしてみる戦法だった。いいなと思いつつ一歩踏み出せずにいた幼稚園のママさんコーラスを体験参加してみる。日頃から歌うのが大好きな私にとってこれはドンピシャだった。練習の一時間半が風のように早く感じた時、私は迷いなく入部を決めた。音楽好きな仲間との週一の練習は、間違いなくこれから私のサンシャインを輝かせてくれそうだ。
 
昭和の産物とも言われるサラリーマン×専業主婦という組み合わせは、共働きで崩れつつある。それにも関わらず、2023年の厚労省の家庭動向調査では家事において妻が8割、時間にして夫の5倍を費やしている事がわかっている。
 
好きでやる分には構わないが、もし疲れが溜まってきたら一度立ち止まって頂きたい。
「果たして、いま、私のサンシャインは輝いているのかしら」と。
輝きが薄れたことを自覚した場合は、目の前の家事を一旦脇においてでも好きな事をしてほしいと思う。長く続くであろう家庭生活のなかで到底無理は禁物なのだから。
 
 
 
 
***
 
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2024-02-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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