「眉間のシワ」から始まるストーリー
*この記事は、「絶対麗度ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:izmy(絶対麗度ライティング)
さて、この眉間のシワを取るにはどうしたらよいのか。
これはある意味「私は今すっごくがんばってるんですよ!」というアピールの表情だった。
仕事でもプライベートでも、自分のキャパシティを超えて取り組んでいる時は難しそうな顔をしようとしていた。
無意識ではなく、意図的に。
私はこんなに誰よりも動いている!
タスクをこなしている!
今忙しいから誰も話しかけるな、おりゃー!!
周りが気づいてくれないし、感謝もしてくれないから、眉と目をギュッと中心に寄せて、とにかく集中。
かわいくて素敵な笑顔、というものにずっと憧れていた。
そのためには、性格がかわいくあるべきで、心も行動も清らかでなければならない。
いやぁ、それは無理だ。
誰かにかわいく甘えることも苦手、心は澱む時が多いし、行動は叩いたら埃が出る。
心が美しくなければ笑顔になれない。
だけど……
絶対麗度で「デフォルト笑顔」と言っちゃったもんな。
調べてみるか。
とYouTubeやGoogle、AIに「眉間のシワの取り方」を尋ねた。
なんか一日数分のマッサージで良いらしい。
目の周りの筋肉が固まるとシワの原因になるからそこを優しくほぐす。
「笑顔の練習」も調べた。
笑顔がかわいいインストラクターさんの動画を気に入って、表情トレーニングをやることにした。
欲張って「おでこのシワの取り方」「ほうれい線の取り方」も調べてモーニングルーティンに取り入れた。
なんだ、誰も
「心を美しく、優しくありましょう」
とか
「いつでも清く正しく生きましょう」
とは言ってない。
むしろ筋肉の仕組みとか表情のクセとか物理的な要因を解決すれば良いのだった。
帰り道の自転車に乗りながら表情トレーニングをしていたら、口角を上げると眉間にシワが寄りづらい、という顔の筋肉の仕組みを実感。
「これだー!」
と思わず叫んでしまった。
笑顔も「心から」となると妙に気恥ずかったり、時には自分に嘘をついているみたいな気持ちになるけど、顔の筋肉をいい感じに整えるゲームであると思ったら、なんだかおもしろくなってきた。
眉毛の書き方で雰囲気も変わるらしい。
メイクの研究も始めると、試してみたいことが増えて朝を迎えるのが楽しみになっていた。
タイムマネジメントにモチベーションはいらない、と講座で聞いて安心したのと同じ。
自分を大きく変える必要はないんだ、形から入ってもいいんだ。
もう一つ気づいたこと。
毎朝の表情トレーニングで動く自分の顔を鏡で見たり、
秘めフォトで自分の表情と全身を見る。
だんだんと自分の顔や姿に見慣れてきた。
これまで、いかに自分のことを見ていてあげなかったか。
「私のこと見て!分かって!」
と他人に対しては思うのに、私は私自身から目を逸らしていた。
自分のことを大事するということは、けっこう面倒でもあり手間暇かかる。
求める言葉をかけてあげて
優しくほぐしたり
時には鼓舞して鍛えたり。
相手に対して「愛されたい」「分かってほしい」と思うのは、その労力を相手に求めてしまっていたのだろう。
自分自身のことをもっと見てあげよう。
絶対麗度への道を順調に進んでいるかのように見えたある日。
上司から告げられたのは、今期の昇進見送り。
年功序列の会社ではあるけど、実力のある人は昇進している例もあり、
業績成果は目標達成していたし積み重ねた評価も良好だったので期待していた。
絶対麗度の裏目標にしていたこともあってショックだった。
代わりに5歳年上の男性が役付になるのだか、あまりスマートに仕事をこなすタイプでもなく、私からの仕事の引き継ぎも受けてもらえていない。
なぜこの人が先に昇進するのだ、と強いモヤモヤを感じる。
数日後に秘めフォト控えているのに、浮かない気分。
この日は仕事が手につかないし、投げ出したくなる。
「デフォルト笑顔」からは遠くなってしまったな。
オフィスにいるのが耐え難くなり必達の仕事を早々に終えて、大好きなヨガのレッスンに向かった。
この日のレッスンは、3つ並んだバランスボールの上にサーフボードを乗せて、その上でヨガポーズやエクササイズを行う「ナイトサーフィン」というプログラム。
波乗りと称して、とにかくグラグラ揺れるのだけど、おかげで体幹強化につながる。
そのレッスン中、
「“揺れている”と感じるときは、今、自分はチャレンジをしているときなのだ、と気づきます」
とお話ししてくださった先生の言葉に泣きそうになった。
これまでもがんばって取り組んでいたし、今も新しい仕事の領域にチャレンジしている最中。
それは私が私を一番見ていて知っているよ!
悲しい時は感度が上がるのかもしれない。
先生の素敵な笑顔と言葉に強く励まされた。
Jamさんの「言いにくいことはっきり言うにゃん 仕事の悩み解決編」もたびたび勇気づけられる1冊となっている。
好きなパートを何度も読んでその日はぐっすり眠った。
果たして「昇進」は私の笑顔の源となるのか?
もちろん評価されたら嬉しい。
誰かに「すごいね!」と言ってもらいたい。
だけど、分かりやすく褒められ、できる人に見える肩書が欲しい、だけなのかもしれなかった。
また誰かの評価を求めちゃっているな、誰かと比較しちゃっているな。
今は「相対」と「絶対」の中で大きく揺れているのだ。
2月最後のエビデンス撮り。
数日前に「気乗りしない」と思ったのが嘘のように、楽しく高揚した2日間だった。
歓声のシャワーを浴びながら夜はスポットライト、朝はやわらかな白い光の中で、みんなそれぞれ自らのステージで表現している。
自分を愛するためのステージがここに存在することが、奇跡のように感じた。
モーニングルーティンの成果を発揮してみよう。
口角上げて笑顔になってみた。
写真の中の私は、ふんわりとした光の中で可愛く笑っていた。
できるじゃん!
落ち込む出来事があっても笑顔になれて、案外私、大丈夫じゃん。
もう秘めフォト卒業してもいいかも、と思えるくらいのお気に入りフォトを手に入れた。
それは、
「デフォルト笑顔」
という次のチャレンジへのチケットだ。
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この記事は、天狼院書店の「絶対麗度ライティング」にご参加の方が書いたものです。
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